- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022511713
作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学小説】引き裂かれた心は、取り戻すことができるのか? いま文庫で爆発的に売れている『乱反射』から5年──《小口テロ》が日常化する社会に生きる人々の出口なき感情を描く社会派エンターテインメントの傑作にして、著者の新たな達成が、いよいよ全貌を現す!
感想・レビュー・書評
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サクサク読めるタイプの本ではない。
431ページの長編で、更にテーマが重い。
私に似た人、というタイトルは彼らの不幸はいつでも自分の隣にあるということと理解した。
たまたま良い時代の日本に楽に就職し、たまたま健康にも恵まれて、たまたま快適な部屋で読書をしている私だっていつ息子を過労死で無くすかもしれないし、テロで両親を失うかもしれない。
貫井徳郎氏の他の作品も読みたくなった。
でも次に読む本はちょっと軽いあさのあつこ氏の本にします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「小口テロ」をキーワードに、10人の立場から話が進む。確かに、現実社会でも正社員になれない若者や母子家庭など、貧困が問題になってきているので、考えさせられるテーマでもあった。でも、加害者側にどんな理由があろうと、やっぱり罪もない人がテロで犠牲になるのは良くない。
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読んでいる時にちょうど似たような事件があったのでいろいろ考えさせられました。
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2021.5.3 読了
日本にもテロが そこここで起こっている。
大規模なテロじゃなくて、トラックで
ビルに突っ込んだりというような<小口テロ>が
流行ってる?ような日本が 舞台。
連作短編で、主人公が 入れ替わる。
それぞれ 別人だけど、
微妙にテロと関わったような人たちが
描かれていて、
結末が気になり どんどん読んじゃいました。
ラストは それなりに衝撃でしたが、
いまひとつかな??(笑)
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きっと、近々こんな世界になるんやろう。
色んな視点でテロについて考えさせられる本やった。
最後の展開には少しびっくりした。
どうやっていったら、少しでもみんなが住みやすい世界になるのか。。
考えること、知ることを放棄して、自分主義・身内主義で生きていくことはものっすごい怖いことなんやと改めて実感できた。 -
最近読んだ本の中で一番面白かった
今の時代を生きている私たちにも当てはまることは多いと思う -
確かに、どんなに頑張ってもどうにもならないことはあります。社会のせいだと思うのもわからなくはない。今のままじゃいけないのもわかるし何かしなければいけないけれど何ができるかもわからない。でもどうしても一線を超えていく気持ちがわかりません。罪のない人を巻き込むテロに結び付けるのは絶対に違うでしょう。社会的メッセージを受けてこの中に自分に似た人がいると思うことはちょっとできませんでした。しかしながらミステリとしての要素はきっちりしていて驚かされましたし一気に読ませるリーダビリティはさすがだと思います。
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社会の底辺で暮らす事を余儀なくされた人々の横顔の断面とその反対側にいる人々の傲慢さと底辺への憐憫と社会への憤懣が交錯した物語。
何か共感するところがあるかといえば、今回は特になく、ただ現状に満足できるのもできないのもしんどいことよなと感じた。チャレンジが善で諦めが悪とも言い切れない。その逆もある。人間は一括りにできない複雑な生き物だ。 -
ノンフィクションかと思うようなリアリティー!社会に疎外された人々をネットで煽り、小口テロを教唆する"トベ"とは誰なのか。最後に明かされる犯人と動機に、張り巡らされた伏線が収斂する。読み終えた後、ある章を読み返したくなる。