物語のおわり

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.55
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本棚登録 : 2559
感想 : 359
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512215

作品紹介・あらすじ

妊娠三ヶ月で癌が発覚した女性、
父親の死を機にプロカメラマンになる夢をあきらめようとする男性……
様々な人生の岐路に立たされた人々が北海道へひとり旅をするなかで受けとるのはひとつの紙の束。
それは、「空の彼方」という結末の書かれていない物語だった。
山間の田舎町にあるパン屋の娘、絵美は、学生時代から小説を書くのが好きで周りからも実力を認められていた。
ある時、客としてきていた青年と付き合い婚約することになるのだが、憧れていた作家の元で修業をしないかと誘いを受ける。
婚約を破棄して東京へ行くか、それとも作家の夢をあきらめるのか……
ここで途切れている「空の彼方」という物語を受け取った人々は、その結末に思いを巡らせ、自分の人生の決断へと一歩を踏み出す。
湊かなえが描く、人生の救い。

感想・レビュー・書評

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  • 2024年4月21日
    すごい仕掛け本だ。
    夢と現実。どこに折り合いをつけるか。
    作者の作品なのにイヤ感無し。
    人はそれぞれ悩みを抱えている。
    どうしてこんなに人の悩みを内心を見抜けるのだろう。
    等身大の悩み。
    終わりのない物語が悩み人の間をめぐりめぐって自分で終わりを見つけた。
    そして最後に終わりをカミングアウト。
    幸せな終わりだった。
    相手を愛で包む終わり方。
    それを語ることによって、続きも示唆された。
    夢はいつも持って追えるもの。
    過ちは誠意を持って伝えるもの。
    本当に一気読みにあたいする良書だった。

  • 最初に歯切れの悪い出だしから始まります。
    とある人物の物語が色々な状況に置かれた人たちに渡され、それぞれが一歩を踏み出すきっかけになってるように感じました。
    ※ 一人一人の物語を受け渡す方々のエピソードはざっくりです。

    人生いろいろな悩みがあり、客観的な相手のエピソードからの気づきが自分の人生のアドバイスになる場面もあると改めて気づきました。
    最後はハッピーエンドでよかったです。

  • 物語が見事にリレーしています。多くの語り部達に送られて、その物語は、終わります。

  • いつもの湊かなえの物語は後味悪い感じの、人間のドロドロした感じのものが表現されているのに対して、この本は心が暖かくなるような、人間の前に進む力を表現しているような、そんな本だった。
    私ならどのような物語の終わりを願うだろうか。。。

  • 北海道を旅行している気分になれました。 
    おそらく一度でも北海道旅行の経験があるのなら記憶の軌跡とともに。
    原稿が佐伯の元に届くのは奇跡というより運命的なものであろう。この物語を読むと偶然は必然で引き寄せている、と。

  • 正解、不正解の基準はそれぞれの生きてきた人生によって変わるんだなあと

  • 「空の彼方」
    書き連ねた作品を。
    実物を読んだことがあるうえ良い噂を聞かない相手となると、警戒し嘘の可能性も考えるのは当たり前だろうな。

    「過去へ未来へ」
    一人旅ではなくて。
    こんな選択を迫られても答えなど簡単に出るわけもなく、我儘と言われようが一つに決めることなど難しいだろう。

    「花咲く丘」
    決められていた事。
    想う事があるからこそ残した道だったとしても、話し合いの場に一度でも呼ばれる事なく告げられるのは辛いだろ。
                        
    「ワインディング・ロード」
    辛口の意見は不要。
    たとえ文才がなかったとしても、素直に想ったことを綴ったものを読んで上から感想を言える立場ではないだろう。

    「時を超えて」
    素直に応援できず。
    親として想うことは沢山あるだろうが、理由など知ろうともせずに否定してしまったら何も始まる事すらないよな。

    「湖上の花火」
    何よりも金が一番。
    時間をかけて出来上がってしまった思考だったとしても、贈り物にすら価値を見出し始めたら流石にやりすぎだろ。

    「街の灯り」
    手元に残った小説。
    言い訳や甘やかしていると想うのは勝手だが、目に見えない心の傷を癒そうとすることを邪魔してはダメだろうな。

    「旅路の果て」
    物語は続いていて。
    ここまで酷くなることを予想して教えたのであれば、行動に移したのは違っても首謀者であることに変わりないな。

  • 世の中、色々悩みを抱え生きている。
    1つの史記を読んでも感じ方は十人十色
    考え方や感じることはそれぞれ違うなー

  • 結末の記されていない小説が色んな人の手に渡っていく話。読む人達が自分の人生と照らし合わせ各々の結末を思い描くのが面白い。私ならどういう結末にしようかな、と想像してしまう。緩やかに、けど確実に繋がっていく展開が好き。

  • 『空の彼方』という物語を受け取った人たちが結末に思いを馳せる話。ただでは終わらないのが湊かなえ作品の引き込まれるところ。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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