春に散る 下

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 234
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022514424

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学小説】残された人生で何が成せるか? 夢を見るときに人は強くなる──。4人のもとに現れた、才能あふれる若きボクサー・翔吾にボクシングを教え始めた4人は、いつしか彼に世界チャンプの夢を託すようになる。著者渾身、現時点での集大成たる一冊!

感想・レビュー・書評

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  • ボクシングとは縁遠かったが、楽しく読み進めることができました。

    織り込んでくる人生観や人となり、沢木耕太郎らしさが溢れています。
    この度は映画化され、横浜流星さんが演じているとか。
    中心となるチャンプの家も、そこに住まう人々の人生模様も着眼点が素晴らしい。

    旅をたくさん描かれた影響を感じる作品でした。

  • 下巻からやっとボクシングの話らしくはなってきましたが、新聞の連載だからか途中中弛みのような部分もありました。佳菜子のエピソードはボクシングというリアルなストーリーとかけ離れていて少しオカルトっぽくて、なくても良かったような気もします。
    佐瀬、藤原、星のそれぞれのエピソードはよかったし、クライマックスにかけての、スーパーライト級の世界タイトルマッチのシーンも臨場感があってとても良かった。

  • 上下巻、まとめての感想。

    新聞連載の1回目から読み始めた。
    主人公の仁一がまだアメリカにいる時から始まり、帰国してからの、かつて所属していたボクシングジムの、元会長の娘である現会長との再会、不動産屋での部屋探し、ボクシング仲間たちを探して会いに行く過程、そして翔吾との出会い。
    毎日、朝イチで欠かさず読んだ。ボクシングには1ミリも興味はなかったけど、仁一の、不完全燃焼さを抱えたままの人生が、少しづつ動き出していく様が読んでいてワクワクした。
    見た目おじいちゃん達が、かつての必殺技パンチで不良を撃退するところは、前半での一押し場面。そこから、物語が大きく動き出す。
    翔吾がチャンピオン戦に挑むまでは、わりととんとん拍子。ご都合主義的な展開もないわけじゃないけど、仁一達四天王と翔吾を応援しているいち読者の私は気にならない。気になるといえば、佳菜子ちゃんの過去のエピソードはいらなかったのでは?と思った。佳菜子ちゃんというキャラクターは好きなだけに、ちょっと惜しいというか、蛇足というか‥。サセケン、キッド、次郎の話の掘り下げは良かった。人生ままならないよね、から、仁一との再会を経て再生していく過程は、素直に、良かったね!と言ってあげたい。

    翔吾のチャンピオン戦は、文字通り手に汗握った。新聞連載を読んでいたものだから、続きが気になり過ぎて、いっそのこと連載が終わるまで封印しといて一気に読むか?と思ったほど。結局1話ずつ読んだけど。試合が終わった場面を読んだ時は、はあ〜〜と大きなため息が出て、自分が戦った様な爽快感だった。

    ラストは‥まあ、本のタイトルからして想像はついてたけど、みんなにもう一度会わせてあげて!と切に願ってしまった。仁一の遺言を読んだみんなの反応や、その後も知りたかった。ちょっとサッパリし過ぎの終わり方だったかな。

    佐藤浩市と横浜流星での映画化は、イメージぴったりじゃん!と嬉しかったけど‥いろいろ言いたいことはあるけど、2時間でまとめるって難しいんだなと実感した。でもね、チャンピオン戦の描写は凄かった。勝敗わかってても、息を止めて見入ってしまった。

    なんか、とっ散らかった感想で、読んでいただいた方、すみません。この物語、とても良いですよ!と伝わっていたら幸い(^ ^)

  • 元ボクサーのそれから。広岡仁一に寄り添った視点で書かれていて、不安で心許ない思いに共感できた。

  • 上巻よりは、一気に読めました。

    何でしょう…感想らしい感想がないなぁ。

    読むきっかけが、
    映画が公開されるとニュースを見てだし。
    映画を見ようと思います。

  • もちろん、深夜特急は私もバイブルだが、沢木氏の小説も結構好きだ。ストーリーだけではなく、文体を楽しむことができる著者のひとり。

    チャンピオンになれなかった主人公が日本に戻ってきて、以前所属していたジムの仲間を集め、再びボクシングへの希望を見る話。

    タイトルが物語を暗示しているので、ワクワク読みながらも陰を感じてしまうが、私も主人公も歳をとったからだろうね。人生のどうにもならない部分の受入やそれでもやはり良いものだと想う感じ、切なさ。

  • 若者は高校3冠の逸材だった。ボクシングをやめて放浪していたところ広岡と出会い、情熱を取り戻す。この後も、財産の整理をしたければ弁護士が現れる、世界戦がしたければライバルが譲ってくれる、と都合のいい展開が続く。文句を言いつつも読み続けるのは、無垢な存在の広岡を放っておけないから。この話は全部が40年前、アメリカで無一文になった広岡が、最後の10ドルで泊まったホテルで眠り続けている時に見た夢はないのか。ラストシーンのあと、彼はホテルで目覚め、無銭宿泊の後始末をどうつけるのか、頭を抱えるのではないことを祈る。

  • 下巻です!

    上巻よりも面白く読めました。
    著者の意図した主題である、時の流れとの折り合いの付け方、というテーマからは離れますが、才能ある若手ボクサーの登場で、皆のボクシング熱が再燃していく様がとてもよかったです。
    お爺達が若い子に指導する姿にもわくわくしたし、戦術や練習法など、試合に至るまでの展開もリアルでよかったし、実際の試合も手に汗握る感じでドキドキしました。

    面白かったんだけど、佳菜子の存在の意味だけは最後まで見出せませんでした。
    登場早々主人公のおじいちゃんに接近してくるところから違和感があり、その後明らかにされた彼女の過去にも鼻白んだし、結局怪我治せないし・・・
    この小説にあの子必要?
    彼女の存在しない、もっと男臭い世界でよかったんじゃないかなーと、沢木さんに言ってみたい(ウソ・笑)。
    (紅一点玲子さんがいればいいと思います!)

  • 命を全うするために生きるのでしょうね。

  • ニトログリセリン…
    ってことだけが 腑に落ちない。
    他は良かった。

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著者プロフィール

1947年東京生まれ。横浜国立大学卒業。73年『若き実力者たち』で、ルポライターとしてデビュー。79年『テロルの決算』で「大宅壮一ノンフィクション賞」、82年『一瞬の夏』で「新田次郎文学賞」、85年『バーボン・ストリート』で「講談社エッセイ賞」を受賞する。86年から刊行する『深夜特急』3部作では、93年に「JTB紀行文学賞」を受賞する。2000年、初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行し、06年『凍』で「講談社ノンフィクション賞」、14年『キャパの十字架』で「司馬遼太郎賞」、23年『天路の旅人』で「読売文学賞」を受賞する。

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