- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022514837
作品紹介・あらすじ
【文学/日本文学小説】目をこらすと今も見える、あなたの隣の幽霊……鬱蒼とした原宿の館に出没する女の子、戦時中活躍したミシン、ぼけたおじいちゃんの繰り返す謎の言葉、廃墟と化した台湾人留学生寮。温かいユーモアに包まれ、涙がこぼれる七つの幽霊連作集。
感想・レビュー・書評
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ゴーストと言っても全然怖くない。思わず涙が溢れることはなかったけど、優しくて切ない7つの不思議な物語でした。
人や物にも思いがあって、それを伝えられる時にきちんと伝えよう、また聞いてあげよう、死んでしまったらもう何もできないのだから。
ゴーストはみんなのまわりにたくさんいる。彼らの事を思い出してあげて欲しいということかなぁ。難しい。
「キャンプ」の話が一番心に残った。マツモト夫人の痛みがひしひしと伝わってくる。辛くて苦しい。
「第一話 原宿の家」結局幽霊か幽霊じゃないのか不思議な話。
「第二話 ミシンの履歴」誇り高いミシンの歴史。
「第三話 きららの紙飛行機」育児放棄されている女の子の前に現れた優しい男の幽霊。
「第四話 亡霊たち」高齢のおじいちゃんに訪ねてくるのは幽霊?最後便箋に書かれていた言葉が哀しい。
「第五話 キャンプ」苦労した人たちが辿り着いたキャンプでは。
「第六話 廃墟」廃墟に惹かれるのはどうしてか。
「第七話 ゴーストライター」ゴーストとは?この物語で伝えたかったのはこれかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
少し奇妙で、謎のまま終わってしまったお話もあり、個人的にはインパクトが弱く感じ、あまり話に入っていけなかった。
でも、第5話の「キャンプ」は、話が進むに連れて状況が分かってきて、最後の1行はぐっときて、涙がこぼれそうになりました。
そして、最終章以外のすべてのお話に戦争が絡んでいて、作者の社会や政治の動きに無関心な人が多い事に危惧されている気持ちがすごく伝わってきました。 -
思っていた雰囲気と違ったためか、とても読みにくかった。
(私の家では何も起こらない、風かと思っていた)
女の子とミシンの話は読みやすかったものの、その後から進まず。
不思議な読後感はあったものの、涙があふれるほど感動することができず、私の無知さなのかなぁと思ってしまった。
幽霊連作短編とあったため、
個々で出てきた話が絡み合って一つの何かになっているのかと思ったら幽霊が出てくるという意味で連作で話自体に繋がりはありませんでした。
幽霊というよりも戦争の話が色濃かったように感じる。 -
幽霊にまつわる7つの短編をおさめた1冊。どこかで紹介されていたので手に取ってみたのだが、思っていた以上に良い作品集だった。捨て作なし、どの掌編も味わい深くて余韻がよい!
中でも好きな作品は…となると、読者の好みによって分かれるんだろう。俺はしいて上げたら「きららの紙飛行機」「ゴーストライター」かな。
それにしても、中島京子という作家をマークしてなかった自分の不見識さがもう!こんだけエエ短編を書くのだから他の作品も期待大!過去作追いかけることにしよう。読みたい本がまた増えるぞ(笑 -
うーん、普通。良くも悪くもない。
幽霊にまつわる話について短編が7話。
「きららの紙飛行機」と「亡霊たち」が好き。 -
7つの短編を収録。一編ずつ独立した話だけれど、タイトルの通り、どのお話にもゴーストというか幽霊というか、この世にはもう存在していないものが共通して出てきます。不思議で悲しいけれど、全然怖くはありません。祖父に会いに来ていた「リョウユー」のことを想う孫娘の話と、少女きららと少年の霊の話が好きでした。キャンプのお話も印象に残りました。
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「幽霊」がテーマの7つの短編集、どの作品も戦中・戦後の雰囲気を色濃く感じ、直木賞作品の「小さいおうち」を思い出した。個人的には「小さいおうち」のスピンオフのような印象を抱いた。
中でも好きな作品は、戦争を生き延びたミシンの歩みを綴った「ミシンの履歴」、育児放棄された女の子と戦争孤児の霊の出会いを描いた「きららの紙飛行機」、難民キャンプでの女性の回想に胸が締め付けられる「キャンプ」(ここで語られるハンスとマルガレーテとはあの名作の…!)、曽祖父の「リョーユー」という謎の言葉に隠された意味を探る「亡霊たち」。
全体的に物悲しいけれど、決して湿っぽくはなく、ちょっと無気味だけれど、どこかあたたかく…中島さん作品特有の、読後の余韻だ。様々な感情が渦巻いてうまく言葉にはできないが、「ゴースト」という存在が現在と過去を繋ぎ、忘れてはいけないことを私たちに伝えてくれているのだなと感じる。
巻末の参考文献が興味深かった。「忘れてはいけないこと」をしっかり心に刻み直したいと思い、いずれそこに挙がった作品も読んでみたい。 -
ゴースト、幽霊に関する短編。
第一話の『新宿の家』が好き。
こんなにうっとりしたのなら、相手がゴーストであってもいいじゃない。都会の中で時間が止まったような場所ってそれだけで味があっていいもんだな。 -
短編7作。
切ない哀しみ。
立ち行かない歯がゆさと、悔恨。
ふとした温かみが胸を抉る。
戦争は何も生まない。