- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022516756
作品紹介・あらすじ
日本で唯一のプロ野球意匠学研究家である著者による、野球帽(ベースボールキャップ)の歴史を網羅した完全図鑑。野球黎明期の貴重なキャップから、メジャーリーグ、日本プロ野球、マイナーリーグまで、膨大なイラスト・写真で変遷をたどる。NEW ERAほか、主なメーカーのブランドストーリーも掲載。
感想・レビュー・書評
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資料としての価値も高い本だと思います。
読み応えがありすぎましたが、野球帽の歴史を知られておもしろいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シンプルだからこそ奥深い帽子のデザイン。日本プロ野球全球団の帽子デザインの変遷をまとめた永久保存版の大作。700点のイラストは圧巻。
なぜ野球選手は帽子を被るのか?
実は公認野球規則には明文化された規定はないという。ただチーム全員のユニフォームの統一という規定があるのみ。必ず帽子を被るスポーツというのはよくよく考えると珍しい。
帽子のデザインを構成する要素は至って単純。本体とツバと飾り文字。あごヒモをつけたり空気穴に色をつけるぐらい。それが実に奥の深い世界。
本書は野球帽の歴史とブランドの解説のほか、なんと言っても白眉は球団別帽子年代録。戦前、戦後の1リーグ時代や幻の国民リーグを含めほとんどの野球帽を網羅している。
昭和の時代の子供は必ず野球帽を被っていたように思う。懐かしいデザインも多い。今にして思えば巨人は当然として、阪急ブレーブスの帽子が散見されたのは昭和50年前後の黄金期だったからだろうし、日ハムの帽子はファンクラブが充実して会員の子が多かったからだろう。
飾り文字のデザインにも流行と伝統がある。巨人のYGマークや阪神のTHマークは微妙な変化(本書でなくては誰も気づかなかっただろう)はあるが、長期間使われている。個人的には南海ホークスのNと車軸に見立てたHの組み合わせ、豊田泰光が考案したという西鉄ライオンズのNLマークは名作だと思う。
近年のイベント用の帽子はもちろんだが、本書で筆者が苦労したと思われるのは、戦中と戦後まもない時期。球団が乱立し短期間で消滅する時代、白黒写真や関係者の証言からデザインとカラーリングを復元した労力は素晴らしい。
野球帽という限られた要素へのデザイン、シンプルだからこその美しさがここにはある。
ちなみに冒頭の、なぜ野球選手は帽子を被るのか?の回答。アメリカの野球関係者の異口同音の理由は、「それが伝統だから」だという。