- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022579294
作品紹介・あらすじ
フセイン大統領が捕まったとき、日本人外交官が殺害されたとき、若者三人が誘拐されたとき、いつもそこにあった-。「悪魔の銃」、カラシニコフ。ひとびとや国家にとって、銃とはいったい何なのだろう。朝日新聞大好評連載、待望の書籍化。
感想・レビュー・書評
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学校教育の可能性を私に教えてくれた本。
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AK47、カラシニコフ。銃器に詳しくなくともなんとなく聞いたことがあります。
単に銃器の一つとして認識していましたが、振り返って見た時に、人間の歴史の中でエポックメイキングな出来事だったという事が分かりました。
扱いが簡単、故障しない、整備が簡単、量産しやすい。これだけのプラス点があれば、それは流通するだろうと思うし、道具の世界で言ったら正に「名機」であると言えると思います。
問題なのは人の命を奪う道具としての優位性であるという事です。祖国の為にと研鑽を重ねてAK47を作り上げたカラシニコフ氏は、その努力によって数えきれないくらいの人々の命を間接的に奪ってきた訳ですが、彼が悪魔的な人物な訳ではありません。典型的な技術屋であったというだけの事でしょう。
しかしその優秀な手軽さが、無数の少年少女兵を生み出した事は事実です。簡単に弾をばら撒いて人の命を奪う事の出来る兵器・・・。
世界に1億丁のAKシリーズが有るそうです。増える事はあっても減る事はあるんだろうかと考えこんでしまいます。敵が攻め込んで来たら、AKが手元に有ったら、我々だって撃つという選択肢を選ぶでしょう。そういう意味では何も特別な事ではないです。間接的には我々の手も血で汚れているも同然だと思います。 -
失敗国家の見分け方は兵士、警官の給料と教師の給料とか。なるほど。
面白い本だと思ったら、「アフリカを食べる」の著者だった。納得だ。
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紛争の裏にゴート札、ではなくカラシニコフありと言われて来たが、このカラシニコフを主題に世界の崩壊した国における銃の問題を追及した本。以前、朝日新聞の書評欄に載っていたので読書予定に挙げていた。前半はカラシニコフ銃を中心に、メンテナンスも含めてこのように子供でも簡単に扱える銃の普及を問題にしていると感じられる口調であるが、途中から銃の問題ではなく東西対立をベースにした大国のせめぎ合いこそが本当の根源であるのではないかという論調に変わってくる。途中で、昔(20年以上前です)、英会話の先生がアメリカ人の牧師であった頃のことを思い出した。牧師さんらしく話は穏やかで、いろいろな話題を豊富に持っており印象に残っていた教室であったが、ある時アフリカの独立国家が話題になった時に、突然厳しい顔になり、『アフリカ民族はいまだ国家の概念を持っておらず、把握可能な最も大きい集合は部族である。かれらの指導者層と民族の間で、このあたりの意識が広まるまでは欧米の先進国の指導を必要としている。独立することは簡単だが維持することは彼らには無理だ。』という論旨であった。この本を読む限り、紛争の裏に列強資本主義の影が見え隠れすると言えども、やはり牧師さんの意見はある意味当たってているのかなと感じてきた。待てよ(プルプル)!最後のソマリランドの話は希望を抱かせてくれるではないか。
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カラシニコフ(AK47シリーズ)という途上国でよく使われている小銃を切り口に、設計者へのインタビューや、AK47がよく使われているアフリカの様々な国で、安くて壊れにくい銃が生み出す、少年兵や貧困層による犯罪などの問題、身を守るために銃が必要なため、銃社会から抜けられない国々の問題などが丁寧な取材で語られる。国として機能していない「失敗した国家」という言葉が印象に残る。「政府がないからパスポートがなく、他の国で働けない」という人が出てくるが、それを思うと日本人がいかに恵まれているのか分かる。また、最後に出てきた自らの力で銃社会から抜け出した「ソマリランド」という国。公用車を持っているのは大統領だけで、大統領以下、公務員全員が薄給で国民のために必死で国作りをしているそうだ。必要ない戦車や戦闘機に多額の税金を使っているどこぞの国の首相は見習って欲しいものだ。ソマリランドが早く国際社会に認められることを願う。
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この本を読んでから映画「ブラックホーク・ダウン」を観てみたところ、最初に観た数年前より内容の理解度が格段に上がっていました。
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手入れが簡単で扱いやすい為にばら撒かれ、多くの犠牲者を生んだ自動小銃AK47。
アフリカのダイヤや油田といった利権をめぐり引き起こされた内戦においても、大量のAK47が先進国によって持ち込まれた。
そして多くの子どもが無理矢理ゲリラ軍に拉致され兵士に仕立てられる。
彼らが狙われたのも「扱いやすい」がためだ。
目先の欲得に動かされた指導者のせいで、老若男女問わず暴力に蹂躙され続けるアフリカ民の姿が衝撃的だった。
政府は国民生活に無関心で治安が悪く、教育体制がぼろぼろで、当然武器回収も進まず。
政府は、国民を守る存在…そんな幻想を打ち砕かれる。 -
高野秀行さんだったか、ソマリアの本を今年出してるけど、読まないといかんなあ。少女兵士が切ないのだなあ。そして「カラシニコフⅡ」も読もう。
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実質的にはアフリカ内戦のルポであり、カラシニコフ氏とAK47については一章のみ。元少年少女兵、「手首切り」の被害にあった一般市民、NGOやフリーの護衛兵などへの取材が元になっており、皆銃で撃たれた経験があるなど生々しい。AK47が生産性や過酷な状況下での使用において優れた銃であったために、発展途上国に普及し、小さな大量破壊兵器とまで呼ばれている現状を描いている。詳細な感想はブログに書いてます http://bear-path.blogspot.com/2012/05/blog-post_13.html