- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022592392
感想・レビュー・書評
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https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/17472詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エッソ・スタンダード石油株式会社のPR誌である『Energy』の特集をまとめた本です。
巻頭には、安東次男、川村二郎、高階秀爾、水尾比呂志、山本健吉、大岡信の座談会「日本の伝統文化と色」が収められています。日本の文学を中心に、ときに芸術や思想史にも立ち入りつつ、日本における「色」のとらえかたについてそれぞれの論者の見方が提示されています。とくに「色」と「匂い」との関係についての指摘や、「移ろい」の時間性に着目しながら日本における「色」の理解の特質が指摘されているところは、興味深く感じました。
つづいて、「色と文芸・芸能」「色の文化史」「世界の色と日本の色」という3つのテーマにそくして、18人の論者による論考と、磯崎新・大岡信の対談が収録されています。小説家の中井英夫やサブカルチャーにもくわしい評論家の草森紳一、エッセイストの森本哲郎らも寄稿しており、ヴァラエティに富んだ執筆者のラインナップとなっているのですが、気ままなエッセイのような内容のものも多く、やや期待はずれでした。
巻末には、岡村吉右衛門の「日本の色名―素材色彩学ノート」が収められています。ただし、雑誌特集号に掲載されていた前田千寸の『日本色彩文化史』(岩波書店)からの抜粋は割愛されてしまっています。前田の著作は、このテーマにかんする記念碑的な業績といえるものだと思いますが、現在にいたっても簡単には入手できる状態になっていないのが惜しまれます。 -
巻頭の座談会「日本の伝統文化と色」、大野晋「日本語の色名の起源について」のみ読む。
巻頭の座談会はセンセイたちが若干無邪気に日本の色を語りあう内容。みなさんおいくつくらいだったんだろう。1979年当時(この本の初版)の研究者たちを取り巻く空気が想像でき、その意味でもいろいろ面白かった。