新聞記者の流儀 戦後24人の名物記者たち (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022617293

作品紹介・あらすじ

現場で「敗戦」を見つめた毎日新聞・藤田信勝から、天声人語の名コラムニスト・深代惇郎まで、今は亡き24人の名物記者を列伝でつなぐ。彼らは、何と戦ってきたのか-。時代背景に迫りつつ、新聞が力を持っていた時代に活躍した記者たちの群像を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 再読

  • 読み捨てされるのが日々発行される新聞の運命だ。時々、連載
    記事の スクラップをすることはあるが、ほとんどは古紙回収の
    日に新聞販売店 が引き取りに来てくれ、何個かのトイレット・
    ペーパーに変身する。

    新聞の宅配も年々購読者が減っている。仕事先では新聞購読をして
    いない人の方が圧倒的に多い。近年はインターネットの影響もあり、
    大新聞といえども発行部数が落ちている。

    新聞が、新聞としての役割を持っていた時代があった。戦中は大本営
    発表や軍国主義国家へのヨイショ記事を書くことが仕事だった。

    終戦 となり、そんな戦中の自分たちの記事を恥じ、むのたけじのよう
    に新聞社 を去った者もいれば、そのまま新聞社に残り、戦後も記事を
    書き続けた 記者もいた。

    「書かない」と約束したことは絶対に紙面に記事にしなかった後藤基夫、
    第五福竜丸の被曝をスクープし「死の灰」という言葉を生んだ辻本芳雄、
    身辺雑記は新聞コラム向きではないとされていた常識を覆した「よみうり
    寸評」の細川忠雄、そしてその文章を読むたびに打ちのめされた気分に
    させられる朝日新聞きっての名文家・深代惇郎。

    それぞれに個性的な記者24人のミニ評伝は、古き良き時代の新聞を
    懐かしむ著者の感傷も加わっているので、読みようによっては「昔は
    よかった」の懐古趣味とも受け取れてしまう危うさもある。

    文章がいささか読み難いのも難点。それでも、無頼が通用した時代の
    記者たちの人生と仕事を知るにはいい。

    今の時代に現役の記者たちの中で、後年、この24人のように名を残す
    記者が何人現れるだろうか。楽しみだ。あ…その頃、私は生きているか?

    「報道すべきかどうかを決める標準は、それが政府の利益になるか
    どうか、ということではなく、それが民衆の利益になるかどうか、
    という ことである」

    本書冒頭に掲げられた何人かの新聞人の言葉のうちの、ニューヨーク・
    タイムズ ジェームス・レストンの言葉だ。この冒頭の言葉集を読む
    だけでも考えさせられるね。

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著者プロフィール

1945年生まれ。早稲田大学卒業。70年、朝日新聞社に入社。企画報道室編集委員、編集局特別編集委員、論説委員を歴任。94年4月から7年、書評委員を務め、2003年1月から5年、コラム「素粒子」を書いた。著書に『読んだふり』(洋泉社)、『何度読んでも、いい話』(亜紀書房)、『新聞記者の流儀』(朝日文庫)、『夜ごと言葉に灯がともる』(彩流社)、『酒と本があれば、人生なんとかやっていける』『持つべき友はみな、本の中で出会った』(以上、言視舎)などがある。

「2023年 『読んだ、知った、考えた 2016~2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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