サンダカンまで わたしが生きた道 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022619129

作品紹介・あらすじ

【文学/日本文学評論随筆その他】大ベストセラーとなった『サンダカン八番娼館』の著者の波瀾に満ちた自伝。顔を切られるアクシデント、朝鮮人青年との結婚と別れ、そして再婚・出産を経て女性史の道へ。どんな困難にもめげずに自立し続けた女性の半生。解説・城戸久枝。

感想・レビュー・書評

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  • 「サンダカン8番娼館」の著者として有名な山崎朋子氏の半自伝。

    同業のライターであるご主人から「君は別の人の人生ばかり追いかけているけど、君のような女性の戦後半生記も興味を持ってもらえるのでは?」という一言から書き始めたそうだが、まさに、ほんとに面白い。

    名家の出でも、立派な学歴があるわけでもない女性が、自分らしい生き方を追い求めていく姿がかかれていて素晴らしい。

    でも、鈴木京香似の華やかな美人だったためか、恋愛、男がらみの事件にいくつも巻き込まれていて、今でいうストーカーに顔を切られたり、かなりショッキング。

    在日朝鮮人の彼との悲恋とか、もうドラマみたいだし、新宿風月堂のバイト時代とかも楽しそう!

    貧乏不遇にもめげず、旦那さんと古家を借りて、女子学生を住み込みシッターに、女性史研究会を作って活動に励むなんて、アイデア豊かで尊敬する。

    戦中育ち、古い価値観や女性観をはじきとばし、戦後の民主社会の第一世代の女性がこんなにがんばった、という記念碑のような本。



  • 単行本で読んだ。筋の通った志が感じられてすばらしい。

  • だいぶ以前に『サンダカン八番娼館』を読み終えていて、たまたま本屋で手にとった本作。
    本棚を見ていただければわかる通り、堀川恵子氏のノンフィクション『原爆供養塔』を読んだことをきっかけに、このところ広島原爆について書かれたノンフィクションを集中的に読んでいたところだった。全くそれとは関係なく、手にとったというのに、つい先日読み終えたばかりの『広島第二県女 二年西組』、山崎朋子は原爆投下わずか2ヶ月前に、奇しくもそのクラスを疎開で離れたというではないか!つまり私は彼女のクラスメイトたちの最期を知っているのだ…。こういう運命のタイミングとはなんなのだろう。クラスに在籍しながらも生き残り、ジャーナリストとなり級友の最期をまとめた関千枝子。違う運命を得てのちにノンフィクション作家となった山崎朋子。書き残す者に与えられた運命だったのだろうか。

    その後、級友たちの生きられなかった戦後を生きた人生も波乱だ。
    今でいう毒親に育てられ、奔放に恋愛をし、彼が一生を捧げた政治活動のために彼と別れ、また別の男に女の顔を傷つけられ…。
    時代というのもあっただろうが、ちょっとした小説なんかよりはるかに波瀾万丈な人生。
    思うままに生き、そのときやりたいことを選んだ。羨ましい。

    後年、彼女と結婚相手の上笙一郎と付き合いがあった人物として、見覚えある名前が出てきた。
    私の出た学校の初代校長だった。これもまた不思議な縁だった。

  • この作家の著作物のなかで一番面白かった

  • ありえない出来事に出会った人が、その苦難をどうやって乗り越えていったのかを知りたくて読んだが、どうやって乗り越えたのかが読み終えて数日経った今では思い出せない。
    おそらく、事実を中心に回顧として書いてあるため感情や気持ちの切り替え方、前向きな気持ちへの持続の仕方などが書いてあったけれども、それより事実の強烈さの方が浮き出てしまって強い記憶になってしまっている。
    パートナーとなる人の支えは大きいのだなと痛感した。

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著者プロフィール

山崎 朋子(やまざき ともこ)
1932年1月7日 - 2018年10月31日
長崎県佐世保生まれの女性史研究家、ノンフィクション作家。広島県で育つが、1945年広島市への原子爆弾投下前に母親の郷里福井県に移り終戦。福井で小学校教員を勤め、1954年女優を目指し上京するが、結婚・離婚、そして怪我が元で断念。1959年、児童文化研究者・上笙一郎と結婚。
女性史の研究を始め、社会の底辺に生きる女性達の姿を記録し、日本での第一人者となる。夫との共著『日本の幼稚園』は1966年毎日出版文化賞受賞。九州地方の「からゆきさん」の聞き書き『サンダカン八番娼館』で1973年大宅壮一ノンフィクション賞受賞、熊井啓監督により映画化されベストセラーとなる。
2018年10月31日、糖尿病で逝去。

山崎朋子の作品

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