算学武芸帳 (朝日文庫)

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  • 朝日新聞出版
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感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022645869

感想・レビュー・書評

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  • 内容は1人の和算の研究者の生涯を描いた連作短篇集です。
    最初に小さい頃からの話から始まり、伝記調に語られるので、えっと思いましたが、この話はこういうスタイルが良いのかも。話しは数学の面白さに目覚めた後、遊歴和算家(各地を回って和算を教える人)となり、和算勝負に勝ちながら、最後には一箇所に住んで行くというスタイル。話しはさきほどもいった通り淡々としてますが、和算の部分
    はしっかりと取材しているのか、詳細です。特に主人公の
    研究している、楕円曲線の形が円周を考えるのと対応がある下りはなんとなくフェルマーの最終定理の証明を思い起こさせるような面白さがあります。
    で、最後にはその術を秘伝にしようとした支援者に怒って、帰り道に谷に落ちて暗転というところでおしまいです。最初に師匠の秘伝書を見たとき、あまりにも幼稚で、隠しといても誰かが見つけるということを知ってるから怒ったんですが、この辺りは数学や他の学問でも言えるような・・・。この流派主義が日本の和算の発展を妨げてたんだろうなと思わされます。

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著者プロフィール

1956年東京生まれ。1997年『算学武芸帳』(朝日新聞社)で朝日新人文学賞、2006年『抗蒙の丘―三別抄耽羅戦記』(新人物往来社)で歴史文学賞、2014年『13歳の娘に語るガロアの数学』(岩波書店)で日本数学会出版賞を受賞。そのほか『小説日清戦争ーー甲午の年の蜂起』(影書房)、『13歳の娘に語るアルキメデスの無限小』(岩波書店)、『方程式のガロア群』『世界はeでできている』(いずれも講談社ブルーバックス)など、数学分野の著書も多数。

「2023年 『「複雑系」入門 カオス、フラクタルから生命の謎まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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