- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022646750
作品紹介・あらすじ
小学校になじめない帆奈と高校を中退した元・引きこもりのトムおじさん。生きづらさを抱える二人は、懐かしい建物が集まる「明治たてもの村」で一緒に暮らし始める。帆奈の成長と共に起こる小さな事件の数々。ゆるやかに流れる時間が二人を少しずつ変えてゆく。
感想・レビュー・書評
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再読本。平成から令和になろうとしているいま読むと、どうにもノスタルジックな気分になる。ややもすると重くなりがちな要素を含んいるが、少しばかり人間関係のすれ違いはあれど、嫌われ役がひとりも登場しないので、イライラせずに読めるのはありがたい。
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明治たてもの村に住むハーフの小学生、帆奈とトムおじさんをはじめとする、優しい周りの大人たち。
小路ワールド全開で、設定もキャラも出来過ぎくらいだけど、それでもよい話だなーって素直に思える展開だった。
思ったより長い時が流れて、大人になった帆奈に会えてよかった。 -
「待つ」ということを考えさせられる一冊。
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子どもは明るくなるのが仕事なら、私はまったく勤めを果たせてなかったんだな。
だから大人の仕事である優しくなるということは全うしたいなと思えました。
小路さんの願いが悩める人々に届くといいな。 -
「ぼく、が、あの二人のためにできることが、今はあるんだよ。昔は二人に頼りきりで何もできなかったのに、そういう自分になれたんだよ。大人なって」
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ハーフの帰国子女で小学校になじめなかった帆奈と、高校の時に引きこもりになったトムおじさん。他人との距離の取り方が苦手で悩んでいる人たちの物語。
舞台が昔の建物を移築した「明治たてもの村」ということもあり、ちょっと現実離れした空気が広がります。そんな中で現代的な生きづらさの悩みを抱える人の物語を展開することによって、重く深刻になり過ぎない効果があります。かと言って決して軽い訳ではないのですけどね。場が救いの力を持っているのでしょう。そしてそれは、その場に集まった人たちの力でもあるのですが。
無理に背中を押すのでなく、寄り添って本人が進むのを待ってくれる。そんな雰囲気が良かったです。 -
面白かった。
場面が前後するので読みにくい部分もあるけど。
子供の作文風の書き方で、それがマッチしており、みずみずしい感じがした。 -
弱者や子供を満遍なく認め、あるがままを優しく応援する小路氏らしい作品です。
特に子供の描き方がとっても上手です。
悪意とは無縁の世界なので、気持ちが疲れているときにオススメです。