- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022647634
作品紹介・あらすじ
嵯浪藩・西野家の一人娘・紀江は小太刀の名手。かつての想い人を忘れられぬまま妻、母となり葛藤を抱えつつも穏やかな日々を送っていた。しかしある朝思いがけず-。過酷な運命を生きる女性が示す一つの夫婦の形を美しい四季と共に描いた傑作時代小説。
感想・レビュー・書評
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弥勒シリーズで注目している著者の、時代小説ということで、この作品もまた印象に残る好編だった。
現代小説では、陳腐となってしまいかねないテーマでも、時代小説では心の琴線に触れ、余情が溢れる作品となる。
それにしても何と、美しく哀しい物語だろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あさのあつこが、どんな時代小説を書くのだろうかと思って読んだ。藤沢周平を尊敬しているあさのあつこが、藤沢周平を意識して書いているのはわかったが、内容的には、底が浅くて面白くなかった。叙情的に書こうとしているのはわかるが、描写が幼稚。やたら擬音を使っていたりすると、時代小説の興がそがれる。
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割と淡々とした文章で綴られており、読みやすい。
内容としても大きく驚くことは無いが、退屈させるようなものでもない。
時代小説だがリアリティはあまりなく、あくまで「物語」なのだと感じさせる内容。リアルな時代小説と比べると少しファンタジーというかフィクション調が強く感じられた。
終わり方は切なくハッピーエンドとは言い難いのでそれを求めて読むと辛いかもしれない。それでも綺麗な終わり方だったと思う。モヤッとすることはなかった。 -
切ない。
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運命はなんと残酷なものか…
美しくも切ない世界 -
苦しくて綺麗で悲しい物語。
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印象的なのは恋愛部分、展開への没入感は弱かったが、
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主人公が武士の妻なため仕方ないのかもしれませんが、すごく世界が狭い。狭い世界で小さな価値観を握りしめているため、すごく女性的な内容に。なんだかもったいない生き方だなぁと感じました。
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剣を通じて自分の全てをやりとりするような、若い日の立会いのシーンに圧倒され、その後の紀江の心のゆれや思いが、じんじんと伝わってきます。
詩のように美しく、そして、どこか悲しげな物語。
あさのさんの描く人物像は、結晶のように美しい。 -
久しぶりのあさのさんの時代小説です。
最初の頃ほどではないにしろ。文章の靭さは相変わらずですね。物語としては好きな作家さんなのですが、あまり手を出していないのはそのせいです。どうも文体に疲れてしまうのです。
エンディングは素晴らしい。でも、そこに至るまでの過程がちょっと。
事情で結婚できなかった昔の人を思うあまりに、現在の夫に馴染みきれない主人公。でも、夫はとても良い人なのです。
過去は忘れられなくても、夫の愛情、そしてその誠実さや包容力にじんわり愛情を深めていく。その方が、最後への流れも素直に行ったような気がします。
その辺りは女性と男性の感性の差かもしれませんが、最後が綺麗なだけに、ちょっと勿体無いかな。