リバタリアン宣言 (朝日新書 32)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.09
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022731326

作品紹介・あらすじ

「国がそこまで口出しするなよ」「そんなの個人の自由に任せればいいの」一日に3回以上、そう考えるあなたは、リバタリアンの素質、十分である。日米の勝ち組エリートの多くが、実は密かに支持する「リバタリアニズム」。その実像を、気鋭の学究が懇切丁寧に解説。

感想・レビュー・書評

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  • 一読して、本書は実はアンチ・リバタリアン宣言なのではないか、と疑った。なぜなら、本書のどの頁にも稚拙な論理やたとえ話、また即座に反論したくなる突込みどころがあふれており、些かの説得力も感じることができなかったから。本書を手に取った人の多くは「リバタリアン」なる主義に対し、今後かなりの警戒心と反発をもって望むことになるだろう。
    詰まるところ、本書の主張は公共領域の極限までの縮小ないしは廃止であり、それはとりもなおさず国民一人一人が辛うじて行使しうる主権=選挙における1票の価値を極限まで軽くし、あるいは消滅させ、金で横っ面を叩けば全てが通る社会を目指す企みに他ならない。累進課税が私有財産の侵害だなどと泥棒呼ばわりされるのであれば、労働力の搾取=ピンハネを業とする派遣業者はより悪質な泥棒だと言いたくなるが、リバタリアンの主張に照らせば、それは「派遣業者」の職業選択の自由が優先されることになるらしいから、呆れるのを通り越して笑ってしまう。
    本書のようにあからさまではないにしろ、新聞やテレビには「リバタリアン的」ともいえる言説があふれている。イデオローグたちはそれと気付かれ無いように「リバタリアン的」思考を大衆に刷り込もうと日々懸命であるが、一部の「勝ち組セレブ(本書の帯より(笑))」ではない大多数の皆さんには、うっかりと騙されたりしないよう、彼らの主張のエッセンスをわかりやすく詰め込んだ本書をワクチン替りに一読しておくことをお勧めする。読みながら突込みを入れることを忘れずに。

  • [ 内容 ]
    「国がそこまで口出しするなよ」「そんなの個人の自由に任せればいいの」一日に3回以上、そう考えるあなたは、リバタリアンの素質、十分である。
    日米の勝ち組エリートの多くが、実は密かに支持する「リバタリアニズム」。
    その実像を、気鋭の学究が懇切丁寧に解説。

    [ 目次 ]
    1 日本の政治の現状とリバタリアニズム(小泉構造改革の勝利とリバタリアン;「小さな政府論」の背後にあるもの ほか)
    2 リバタリアンな社会とは(現代国家の役割;古典的リベラリズムの変質 ほか)
    3 リバタリアンの倫理(リバタリアンは身勝手な人たちなのか?;慈善活動は自発的に ほか)
    4 国家の起源とアナーキズム(ダーウィン以前の社会哲学の曖昧な前提;ではいったい利他性はどこからくるのか? ほか)
    5 社会契約説を再考する(税を払わない永遠の旅行者;日本の財政破綻で日本脱出 ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 立ち読み:2011/1/24

  • 0703

  • リバタリアンとは、他者の権利を損害しない限り、各個人の自由を最大限尊重しようとする思想のことです。
    アメリカでは、大人気の思想のようで、熱狂的に支持する人や政党までも存在しています。
    民間に任せることをできるだけ進めていくという点では、フリードマンやハイエクから影響を受けている思想だとも言えます。

    この本は、入門書的役割を果たしていると思います。

  • 活字中毒で駆け込んだ本屋で見かけて購入。
    自分は政治的には反全体主義ということで、リバタリアンに近い。といってもマジメに省察しているわけではないので、啓蒙書は参考になります。

  • 読みやすい文体で書かれたリバタリアニズム入門。説得力には欠ける。リバタリアンについてはもっと色々読んでみたいですね。

  • 「何でこの権利が政府なんぞに制限されなきゃならんのだ」みたいなのばっかで、これが本当にリバタリアニズムなのかいまいち判然としない。もうちょっと理念的な話をしてくれないと。

  • 今年読んだ本の中で1,2を間違いなく争うだろう勘違い本。著者は本当にここにか書かれている内容を信じて教鞭をとっているかと思うと、一回講義を聴いてみたくなる。とりあえずまず読んで(買う価値はまったく無いが)みることをオススメする。

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著者プロフィール

蔵研也(くらけんや) 自由自由主義研究所所長、主任研究員。

「2023年 『国際政治と進化政治学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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