- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022734020
感想・レビュー・書評
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僕は記者会見の映像を見ていないので詳しいことはなんとも言えないんですけれど、一つ言えるのはあの場で言ったことを家や仕事や故郷を失った福島県の人の目の前で同じことを繰り返せますか?ということです。
この本が朝日新聞の記者が東京電力のすべての会見現場に立会い、東電側の社員と自分を含め貴社との一ヶ月のやり取りをつぶさに記録したものでございます。何の本からは忘れましたが
「東電の人間は官僚以上に官僚的だ」
という言葉が、この本を読んでなるほどなと納得するにいたりました。
僕は朝日新聞を読まないので、いま、震災から一ヶ月間の縮刷版を読んで事件および震災の足取りをたどっていますけれど、震災および原発事故の一ヶ月間とここに記録させている一ヶ月間の東電側と記者とのやり取りを照合して読んでいくと、彼らの持つ「体質」というのが浮き彫りにされてきて、なんともいえない気持ちになりました。一連のことはおそらく私よりも皆様のほうがよくご存知かと思います。僕はほとんどテレビを見ていませんので。この本に書かれているやり取りはおそらく映像として流れたであろうと推察されます。
動画サイトで見る、という選択肢もないではありませんでしたが、ここに活字で記されてあることを映像で確認するのは非常に苦痛を伴う作業でしたので。申し訳ありませんが、断念させていただきました。この本を読むと現場の混乱と追及する記者。そしていかに責任を逃れようとする東電側の答弁がカオスとなって、読んでいる人間に迫ってきます。今回の震災および原発事故が日本人の美徳と醜悪な部分を同時に晒したのだということを実感するにはいい本だと思いますよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
端的で克明な記録。当時の記憶と切迫感のギャップがあって興味深い。
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東大・原子力工学科卒の記者による事故ルポ本。
筆者・および東電は、3.17に峠を超えた、という認識だったらしい。
私は18日という認識だったが、TVとかからでははよく分からない「4号機プールに水充分アリ」が現場では確定事項だった模様。
まぁ峠を超えたといっても、ちょっとでも足を踏み外したら大滑落だったわけですが -
本書は、朝日新聞報道局に所属する記者が東京電力の原発事故の取材をリアルタイムでネットで配信した内容を中心に加筆したものであるが、その2011年3月11日から4月13日の記録には驚愕するものである。その迫真迫る危機の様相と迫力ある内容は、当時の新聞報道を大きくしのぐすごいものだ。
福島原発における危機が、まるでタワーリングインフェルノのようなパニック映画を大きく上回る想像を絶した危機であったことがよくわかる。そして、この危機が決して一過性のものではなく、周辺住民の避難、放射性物質の除染、廃炉などまだまだ続くことを考えると、危機はまだ終わっていないことを痛感させるものである。
本書を読んで感じるのは、人間の不完全性である。原発所長、東電本店の幹部、政府首脳のドタバタぶりは、このような人間達に原子力発電と言う不完全な巨大技術の管理を任せられるのかという思いを痛感するものである。犠牲をかえりみずに奮闘する現場の所員達と比べて、幹部達のだらしなさが浮き彫りになっている。本書を読んで、「ほんとうに危機のコントロールができているのか」という思いが浮かび上がってくる。
危機のさなかに体調を崩して途中入院した東電社長のだらしなさをみると、本書の「自分の体調管理もできないような人間に、暴走する原発の管理など任せられるだろうか?」との疑問は説得力がある。
本書は、優れたドキュメンタリーだと思う。原子力発電の是非もあるだろうが、それ以前に東電社長をはじめとした人間達に、巨大科学の運営と舵取りを任せることは危なすぎると痛感させる良書であると思った。 -
今よんでも、あのときの切実な気持ちが思い出された。企業広報側と対峙するマスコミとの掛け合いが臨場感あるドキュメンタリーで描かれます。いろいろ思い、考えさせられたが、やはり「誠実であること」だけは忘れないようにしたい。
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資料かルポか。どっち付かず。結局、事故の本質は何か、もう少しアイディアを示してほしかった。
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福島第一原発危機を初日から追い続けた朝日新聞記者の記録。資料価値大。
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緊迫した状況下での東京電力の発表と、記者会見の様子を刻一刻と記したもの。あの時の状況がどうだったのか、忘れてはならない。
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三省堂の陰謀によって、ついつい手に取ってしまった(笑)。
「原子力戦争/田原総一朗」と続けて読み始めたのだが… カスタマーレビューが気になりますね(^^;)。
と言う訳で、本書も読了。だけど…
この書籍は、結構複雑ですね。と言うのは、正直この内容ならば、わざわざお金を出して本を買わなくても、ネットに敏感な皆さんなら、リアルに体験していた訳で…。
すごく急いで作った本というか、練られていないというか、かといって多くのレビューでも指摘されていますが、タイムリーでもないですね。
著者の奥山さんが本来の意味でのジャーナリストとして書き上げた本ならば、全く違うものになったんだと思います。個人的には、読むべきものは「あとがきにかえて」だけだと。
ひょっとすると朝日の編集さんから、出版にあたって、かなり無理に「個人的な感想・意見」を入れて書きなさいと要望されていたのかも知れないですね。文章とか会話の挿入の仕方に無理が溢れてしまっています。それが、妙な読みにくさや、文章の信憑性の喪失に繋がっているのかと思います。とても残念だと思います。
なので、資料として必要な人は買っておいても良い本。それ以外、特にUstで追っかけていた人は、本屋さんで「あとがきにかえて」を立ち読みすれば良いのかな(笑)。
ただ、これは著者:奥山さんに対しての評価ではありませんので、誤解しないで下さいね。
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以下、朝日新聞出版さんHPより。
情報を小出しにし事故を小さく見せようとする態度、確認を拒み質問をはぐらかす姿……。常駐し、すべての会見に立ち会った朝日新聞の敏腕記者が見た東京電力本店の1カ月。報道されなかった「やりとり」から東電の「体質」が浮き彫りになる。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=12706