コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022950949

感想・レビュー・書評

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  • コロナ禍の数年前、未来がわからない時に書かれた文章を一応社会が再び動き出した時に読む。そこには色々な気づきがあると思いました。

  • 様々な分断が派生したコロナ禍において、民の声が政治の力へと昇華されているのか、疑問が浮かぶ。為政者の判断はもちろん過ちも含まれよう。しかしそのまま看過するのではなく、修正していく判断力が現在も問われ続けている。さらに大切なのは私たち有権者の関心であり、声あげる人を中傷するのではなく、その選択肢に取り組んでみる姿勢が大切ではないか。誰も未来の結果なんてわからない。ならば、否定は現状の惰性でしかない。そこに救われる道程があるのだろうか。過ちよりもタチが悪い。

  • 色んな分野の様々な人がそれぞれの意見を述べていて面白い。

    在宅勤務が可能な仕事は「弱者」の低賃金労働に支えられることによってしか成立しない。

    「会う」ということの暴力性。会って圧力をかけた方が、会わないより物事が進む。リモートは物足りない。

  • タイムリーではあるものの、刻々と状況が変わっているのでこちらの本は答え合わせみたいになる。

    そう考えると、きっちり予想通りになってる話もありすごいなーと感心しました。

    いつもはわかりやすい養老孟司さんのお話が、今回は無能な私には何がおっしゃりたいのか、てんで理解できず。残念でした。

  • 2021年8月発行の本。
    盛んに出版されたコロナ関係の本も、結局のところ、喉元過ぎれば熱さを忘れるのが人間だからあと2年もしたらすっかり忘れ去られてしまいそう。

  • もう少しでいいので、それぞれの人の話をテーマを絞って深掘りして欲しいなと思った。
    最後の柚木さんの話がやはり一番印象に残った。苦労されてる分、意識が高いのだなと、彼女の昨今の著書の傾向に納得。

  • 第2弾の方が面白かったから、遡ってこの第1弾も。識者による未来予測だから、概ね似た内容になるのはむべなるかなで、『とんでもないな』って思うことは無い反面、そこまでインパクトの大きい論説には出合えなかったり。ただ、そんな中でも探検家・角幡さんの投稿はかなり移植で、だからこそ際立って面白く感じられた。コロナ突入のちょうどその時期、極地単独踏破を敢行していたなんて、まさにリアル浦島太郎。そんな状況に身を置かれていたとは。色んな意味で得難い体験。面白かったス。

  • 本書は2020年8月30日刊行で、掲載されている対談は、春〜初夏にかけてのものが多い。したがって、コロナ初期に書かれたもので、読了した2021年10月の時点で一年半前の論考ということになる。

    このため、人によっては内容が陳腐化しているものもあれば、輝きを失っていないものもある。また、普段は、歴史・政治・外交などの分野を中心に読んでいるが、医学、哲学、芸術など普段読まないジャンルを読めたのも良かった。

    個人的1-5で論評すると以下の通り。好き嫌いで極端ですが。

    養老孟司:5
    解剖学者。養老さんは医者だが、学生時代の経験から不要不急についての考えを述べて、結局は一人一人が考える必要がある、という哲学的論考で、読みやすく考えさせられもして良かった。

    福岡伸一:4
    生物学者。ウイルスは過去の例からも撲滅は出来ず、受け入れて共存。無駄な抵抗はやめて弱毒化を待とうと。スッキリして考え方近い。

    角幡唯介:4
    探検家。コロナ禍に入るころに北極探検。その間、状況は逼迫し、戻る頃には緊急事態宣言も明けている。自分の道を進む間に世界がある程度ぐるっと回っている。コロナに振り回されず、自分は自分の道を行くのが良いとも思わせてくれる。

    五味太郎:2
    絵本作家。ちょっと何が言いたいかわからなかった。

    ユヴァル・ノア・ハラリ:5
    イスラエルの歴史学者。コロナ禍における独裁対民主主義、グローバル化とポストグローバルの論点について、盛んに独裁の利点・グローバル化の弊害が言われる中で、長期的視点で民主主義・グローバル化の優れた点を議論する。独裁体制は、早いが間違ったら取り返しがつかない、グローバル化は協力と表裏一体で効果発揮。

    ジャレド・ダイアモンド:4
    アメリカの生物学者。コロナから世界レベルのアイデンティティを作り上げることが必要というところにグッときた。

    イアン・ブレマー:3
    アメリカの国際政治学者。いつものG0と米中対立の話。

    大澤真幸:2
    社会学者。国を超えた連帯をと言ってる点でダイヤモンドと一緒だが、それが国際機関の強化という短絡的な結論に至っており納得感なし。

    藤原辰史:5
    歴史学者。危機における人文学の役割を解く。「言葉と思考が勁ければ、視界が定まり、周囲が見渡せる」はその通り!そして歴史の経験知から長期戦への備えを解く。役立たずと言われる人文学の役割を端的にに示した良い論考。

    中島岳志:1
    政治学者。ただの政権批判。

    藻谷浩介:5
    地域エコノミスト。今の時代を応仁の乱後の世界と捉え、守護大名を国会議員、公家を中央官僚、守護代を知事、国人を市町村長に置き換え、一元的システムが効かなくなっていると解き、地方から(中央からの出向も含め)中央に風をと。面白かった。

    山本太郎:3
    医学・国際保険学者。病原体との共生と感染とのバランスを解く。常識的な論考。

    伊藤隆敏:2
    経済学者。リーマン以上で経済的にヤバいよ、ニューノーマル経済(電子決済?)へという話。あまり内容ない。

    ブレイディみかこ:4
    イギリス在住保育士ライター。ヨーロッパでのアジア人に対する蔑視の例から、未知=無知に恐れの火をつけたら不味いことを解く。知ること、間違いに気づくこと、その努力をすることを実例を通して感じさせてくれる。

    斎藤環:3
    精神科医。人に会うことは暴力。うーむ。わかったような分からないような。

    東畑開人:2
    臨床心理士。心の話のようだが、読んでも何一つ頭に残らず。

    磯野真穂:5
    医療人類学者。コロナによる新しい行動様式の美名のもと、正しさが強い排除の論理を生み出し、元々差別されていた若者、夜の街、パチンコなどが批判を受けている。要するに、「感染の危険から社会を守ることを錦の御旗に、実際は、社会秩序を乱すとみなされていた人々(社会の周辺にいる人々)が排除されていった。本当にその通りだと思う。

    荻上チキ:2
    評論家。ステイホームでみんな家にいたので検察庁法反対に火がついたと。まあ、そうなんでしょうね。薄い。

    鎌田實:4
    医師。分断回避のために感染した若者に感謝を、むしろそのあとに社会貢献に活かしていこう。感染者に厳しいのは感染に弱い社会である。その通りと思う。

    横尾忠則:2
    美術家。不快じゃないけどあまりわからなかった。

    坂本龍一:1
    音楽家。俺はみんなと同じ行動は嫌だ、みんなで何かするのは嫌い、コロナで全体主義になる危険だ!と。個人主義・自由主義なのはわかったから音楽だけやっててくれと、読んでて不快。

    柚木麻子:2
    小説家。研究している戦時下の恵泉女学院とくらべても今が異常だと。面白い視点だけどさすがにそれは違うのではと。

  • 2020年夏に刊行された本。コロナ後の社会の変化について。 人間、生命、歴史、国家、くらしと文化をテーマに21人の知性が語る。
    インタビューと寄稿された文で構成されている。コロナが蔓延し拡大していた頃の見解なので、現在の視点で読むとやや違和感がある意見もあるけれど、総じてコロナをきっかけに、今後社会が大きく変化すること、先が見通せない不安がつきまとうことで一致している。コロナ発生から1年が経って、ワクチン接種が進んでいるが、なかなか終息しないのが心配。 経済活動は悪化しているが、でもマクロレベルでの指標と実態の乖離は、それほど危機的ではないように思う。 影響が出てくるとすれば社会構造の変化、人間の付き合い方の問題だろう。 この本は、賞味期限が短いと思うので、読むなら早めがよい。 5年から10年経って、彼らの予想がどうだったのか検証には使えるかもしれない。

  • 知性を敵視する政権に辟易している現在、知性に触れることで精神のバランスを取っていることを実感。

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