- Amazon.co.jp ・本 (96ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023309807
作品紹介・あらすじ
『原発ジプシー』の堀江邦夫、『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげるが、一九七九年、福島原発の"闇"を描いていた!過酷な労働、ずさんな管理…。三・一一以降のすべては、当時から始まっていたことがわかる。"幻のルポ&イラスト"が、新たに単行本として圧倒的迫力でよみがえる。
感想・レビュー・書評
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原発にメインテナンスは、欠かせないはずなのに、なんとアナログかつ危険。この課題は、解決されているのか?それとも今も続いているのか。他の国でも現状は、同様なのか。体験してのルポ。凄いしか、言いようがない。
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初出はアサヒグラフ1979年掲載の記事。それを2011年の福島原発事故後に単行本化したもの。水木しげるの絵も相まってすらすらと読める。とはいえ内容的には重いものがある。著者の堀江氏の『原発ジプシー』ほどではないのだろうが、原発施設内での労働の実態がいかに過酷で危険なものかがうかがわれる。こんな労働に支えられた原発はおかしいと考えるのは当然だろう。そしてさらに福一の事故(事件?。スリーマイル、チェルノブイリも…)を見れば日本、いや世界的に人類が原発を持つのはまだまだ早い、というか代替手段が開発できるなら原発は研究はともかくエネルギーを得る手段としては持つべきではないと考えざるを得ない。
福一稼働が1970年代、ほかの日本の原発が1980~90年代稼働ということを考えるとこの本に書かれたのとそれほど状況は変わっていないだろう。当然再稼働はすべきではない。
ちなみに現在この本は新刊では読めない。私も古書で購入。こういう本こそ文庫化、あるいは電子化してみんなが読めるようにしてほしいもの。 -
1979年、原発労働の実態を調査するために、実際に原発労働の現場に入り、労働者として働き、大怪我も経験した堀江邦夫氏の渾身の現場レポート。
そのレポートに鬼気迫る挿絵をつけて、堀江氏の経験をより具体的に目の前に描き出してくれたのが、やはり国のために辛酸を舐め、地獄から命からがら生還した反戦の巨匠 水木しげる。
東日本大震災で発生した原発事故は、決して不運な状態が重なって起きた、想定外の事故ではない。
原発というものは、本レポートが世に出た時点でも、すでに危険を糊塗し、国民を欺き、危険、事故を隠蔽し続けていた。
その真実を認め、安全神話から脱するべきだと私は思う。
ただ、NOという国民の声を完全に無視して、マスコミ、政治が主導する東京オリンピックの開催を嬉々として待つ愚かな国民が、原発を廃止できるとは、私には思えない。
事故が起きたらサヨウナラ。
自分が現場にいなかったら、私はそんなもの関係ないときっと思うよ。
負の現実、国民の痛みを切り捨ててきた歴史の上に、今の私たちの幸せはあるんだから。
被害の当事者にならなければ、関係ないと思う意識のおかげで。 -
原発の定期点検の仕事や清掃はやはり人の手でしか出来ない作業が多く、専門職でないとつとまらない仕事かと思っていましたが、下働きの日雇い労働者によってまかなわれていました。防護服は作業向きではなく、動きづらい上に、汚染に対して完璧ではなく、見えない放射性物質による汚染におびえながら、平常ではない精神状態で仕事をしていることが良くわかりました。
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水木しげる先生の絵が恐ろしすぎます。あとがきで著者がわざわざ朝日新聞社のFさん、としてるのに解説で藤沢記者って書いちゃってて意味が分からない。
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かつて実際に福島原発に“潜り込み”、そこで末端労働を実体験したルポライター堀江邦夫氏と、漫画家水木しげる氏とのコラボレーションによるルポルタージュ。1979年にアサヒグラフ誌に掲載され、昨年の原発事故を受けて加筆、単行本化されたものである。
加筆されたと言ってもグラフ誌に掲載された文章だもの、ものの1時間で読了できてしまうほどの分量だが、本の約1/3を占める水木氏の絵の圧倒的な密度感とともに重苦しい現場の実態を伝えてくれる。
それは、安全管理も十分とは言えない過酷な労働環境であり、「東電さん」を頂点とした原発ムラのヒエラルキーであり、「災害」を無かったことにする無言の歪んだプレッシャーなのである。
平時においてさえこれなんだから、ひとたび勃発した原発事故のさなかの現場は一体いかほどの状況であったろうかと思う。
ただ、「原発の闇」は、決して現場の片隅に潜んでいるものではないように思われる。
「再起動」とわざわざ言葉を替えてまで再稼働を急ぐあのヘボ首相を含め、國民がこれだけ酷い目に遭ってもなお食欲を隠さない妖怪たちがいる。それこそが真の、巨大な闇なのではないか。 -
水木しげる先生の絵が闇を表しドキッとする。でももっと詳しく読みたかった。予想以上に文章が少なく少々残念。
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絵がよい
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渾身のルポ、それに添える水木しげるの迫真の絵