あの人にあの歌を──三陸大津波物語

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  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023309944

作品紹介・あらすじ

歌があるから生きられる。震災後1カ月にわたって、シュラフを宿に自転車をこいでの元記者の渾身取材。家族が波間に消えた13の物語。

感想・レビュー・書評

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  • お世話になった方が書いておられました

  • (2011.12.16読了)(2011.12.06借入)
    【東日本大震災関連・その43】
    東日本大震災の被災地で会った人々の話を聞いてまとめた本です。まとめるときのキーワードは、歌です。著者は前書きで以下のように記しています。
    「哀しいドラマの陰に流れる鎮魂の歌を探し歩こう。音楽こそ力。メロディーはエネルギー。歌があれば、生きられる。今こそ、音楽でエールを・・・」
    読んでみた印象は、著者の思い入れが強すぎるためか、僕がいろんなものを読みすぎたためか、伝わってくるものが、他の著作に比べ、少なかったように思います。
    たぶん、この本で歌詞が描いてある曲を実際に聞いてみると印象がずいぶん変わってくるのかもしれません。著者は、曲を実際に聴きながら、その曲に訴えるべきことを託したのだろうと思います。それだったら、ここに取り上げられている曲を集めたCDを一緒にこの本につけるべきではなかったでしょうか。
    話を聞いた方々は、陸前高田市の方が多かったようです。

    この本の章立てと曲と登場人物は以下の通りです。
    その1、あの人に、今、聞かせたいあの歌を
    「秋桜」 陸前高田市 佐々木善仁
    「Bad Apple!!」 陸前高田市 佐々木陽一
    「兄弟船」 陸前高田市 菅野カチ子
    「無法松の一生」 陸前高田市 坂井イク子
    その2、歌の心に解きほぐしてゆく郷土
    「いい日旅立ち」 下閉伊郡山田町 花坂順一
    「風と星とメビウスの輪」 仙台市若林区 竹澤さおり
    「北の漁場」 上閉伊郡大槌町 木村辰喜
    「北国の春」 下閉伊郡田野畑村 工藤募
    「ありがとう」 陸前高田市 大坂司・美和子
    その3、歌は今、ここによみがえる
    「風に吹かれて」 陸前高田市 照井由紀子
    「川の流れのように」 伊具郡丸森町 氏家俊介
    「心の中の風景」 陸前高田市 金賢治
    「You’d be nice to come home to …」 陸前高田市 冨山勝敏

    ●流されてゆく(39頁)
    それにしても信じられなぬ光景だ。民家の屋根や柱にしがみついて流されてゆく人たちが、すれ違いながら、声を掛け合う。「頑張れよお!」と声を張り上げても、置かれた状況を考えると、その言葉は虚しく、滑稽にさえ思える。
    ●第2波が(54頁)
    波は次々に襲ってくる気配だ。第2波は第1波よりよほど大きかった。道端にいたみんなは思わず、道路からもう一段高い畑に逃げようとした。おれも海に背を向けた。
    ●三陸リアス式海岸(67頁)
    わしは、越喜来から25のときに嫁に来た。この目の前の広田湾から北に向かって、大船渡湾、綾里、越喜来、吉浜、唐丹、釜石、大槌、船越、宮古湾―この10の湾が三陸リアス式海岸なんだね。
    ●船で海へ(136頁)
    もやいを離して、再び沖に向かった。午後3時10分だった。津波なんてな、沖ではただの白波よ。オカさ上がって牙が生えるんだ。14分後に、津波第1波と出会った。船が盛り上がったぐらいだったがな。
    ●風に吹かれて(176頁)
    どれだけ見上げたら
    空が見えるの?
    いくつの耳を持ったら
    人々の泣き声が聞こえるの?
    どれだけ人が死んだら
    もうたくさんだと分かるの?

    ☆関連図書(既読)
    「3・11東日本大震災奇跡の生還」上部一馬著、コスモトゥーワン、2011.07.01
    「被災地の本当の話をしよう」戸羽太著、ワニブックスPLUS新書、2011.08.25
    「生きる。-東日本大震災-」工藤幸男著、日本文芸社、2011.09.20
    (2011年12月18日・記)

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著者プロフィール

ジャーナリスト・作家。日本エッセイストクラブ会員。元朝日新聞社会部記者。長崎市生まれ。イラク戦争下のサマワ、パレスチナ、アフガニスタンなど国内外で取材・執筆活動を行っている。
主な著書に、『あの人にあの歌を 三陸大津波物語』(朝日新聞出版)、『男は遍路に立ち向かえ』(長崎出版)、『団塊諸君 一人旅はいいぞ!』(朝日新聞社)、『自衛隊がサマワに行った本当の理由』(情報センター出版局)などがある。

「2014年 『こんなはずじゃなかったミャンマー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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