- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784023314986
感想・レビュー・書評
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教養:知識や考え方が行動に結びついたもの
目先の情報でなく、本質を把握して現実の行動に反映させる
社会学:禁欲的で使命感を持つ人物が資産家になれる
《制限があった方が(人生の長さ、選択肢)がんばれると思う》
侃侃諤諤:ひるまず述べて盛んに議論をするさま。議論の盛んなことの形容。また、はばかることなく直言するさま。▽「侃侃」は強くまっすぐなさま。剛直なさま。「諤諤」は、はばかることなくありのままを正しく直言するさま。「侃諤」ともいう。
1億円が、資本を元に投資をして日本人平均年収を得られる最低限の金額
数学:相関関係と因果関係を区別する
直感によるバイアスを排除し、論理的かつ徹底的に物事を考える
常識では理解できなくても、常識に囚われずに論理を組み立てることができる
演繹法と帰納法を使い分ける
人は見た目で判断:記号で評価される詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「総合的な知識や考え方」が「人格や行動に結びついている」ことが重要という著者の指摘に大いに納得するとともに、考えさせられた。
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教養を身に付けることによって、成功する確率やお金持ちになる確率が上がると説く本。随所に「ビジネスで成功するためには」とか「お金持ちはたいてい」といったフレーズが出てくるが、決して金儲けばかりを追求しているのではなく、教養を身に付けることを最も強調している。
本書では、教養を次のように定義している:物事の本質を見極めるための総合的な知識や考え方が、人格や行動に結びすいたもの。人類の歴史を紐解いても、お金と不可分な能力。
本書では以下の6つの学問分野の教養をまとめている:社会学、経済学、数学、情報工学、哲学、歴史学。
「おわりに」で著者自身が認めているとおり、本書では形而上学的な部分の内容が多い。それでもなかなか興味深い話題が豊富なので、知的好奇心を満たすという意味で面白かった。著者は幅広くて且つ深い知識をお持ちのようだが、それを決してひけらかさず、理路整然と説明していたり「〜となる可能性があります」といった断定を避ける表現を用いていたりするところに好感が持てる。
今の時代、理系だ文系だなどと言い訳しないで様々な分野の知識をバランスよく取り入れることが大切だと学んだ。 -
ある程度、知識が必要。お金持ちを目指す上級者向け?
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1.今までスキルを高める方法ばかり着目していて自分の生活と照らし合わせて本を読むことが多かったので、今話題のリベラルアーツ(教養)について読んでみようと思って購入しました。
2.著者は「教養とは、物事の本質を見極めるための総合的な知識や考え方が人格や行動に結びついたもの」と定義しています。これを高めることで、いわゆるセンスに結びついてきます。また、成功者の多くは歴史から学ぶことで世の中の流れや成功の共通点を見つけ、実践することができるので、そこから教養を見いだすことの重要性を説いています。
本書の構成は社会学、経済学、数学、情報工学、哲学、歴史学の6章構成となっています。どの章からでも読めるようになっているので、目次を見て、自分が気になったところから読むのが良いと思います。
3.歴史から学べることはたくさんあるとは常々思っています。しかし、歴史の偉人のように成功するように行動するのが難しいです。もちろん、始めから成功したわけではないと思いますが、最初はできないことをできるようになるまで反復練習するしかないと思わせてくれる一冊でした。
正直なところ、今の自分に教養があるのかないのかと言われるとないです。本を読んでいるうちに、教養をつけるためには何をすればいいのか考えているのですが、まだその答えは見つかってません。ですので、著者が述べていた物事の本質とはなにか」というところを常に考えながらこの先、仕事をしていこうと思いました。 -
”お金持ちが必死に教養を学んでいる”と”教養をしっかり学ぶ人はお金持ち”という事はイコールではないんですよね。。。ただ、お金持ちに成る様な人は学歴が高い人が多く、学歴が高い人は他の人より教養を学ぶ機会が多いという事は言えるかもしれません。個人的な意見で申し訳ないんですが、仕事でお会いした社長や取締役の方は確かに絵画、クラシック、哲学等のビジネスとは直接関係の無い様な知識も豊富な方が多かった気がします。
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詳細は別紙
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【備忘録】
物事の本質をズバリと把握する力があり、それを現実の行動に反映できることが、成功者の共通項。単純知識を積み上げただけでは成功者になれない。
社会学
〜社会の枠組みの中でビジネスや投資が行なわれる為、社会の仕組みを知っておくことは成功の為の最低条件〜
「資本主義社会」の枠組みの中で有利に振る舞う(自己管理能力と使命感が必須)
「ゲゼルシャフト」の集団に属する
「支配」を利用する
「大衆」を活かす
経済学
〜経済学的なものの見方がビジネスや投資に役立つ〜
経済学的なものの見方を学ぶ前に、そもそも経済学とは思想やビジネスが絡んだ感情的な学問である事を踏まえなければならない。
マクロ経済学の恒等式は将来予測には適さない。しかし経済がどのような仕組みで回っているかを理解するには役立つ。
Y=C+G+Iにおいて個人消費は全体の6割を占めている。まず個人消費に注目する。そして政府支出は2割、設備投資も2割だが次に注目すべきは政府支出ではなく設備投資。なぜなら投資は消費と違い将来の利益につながる支出だから。
景気の判断において消費の動向に注目したり、将来利益になる対象に投資したりという事が大事。
GDP三面等価「支出」「分配」「生産」のうち上記は「支出」を示すが、次に「分配」に注目する。
Y=L+Kは、分配は労働に対する報酬と資本に対する報酬により構成されている事を示している。労働者の報酬は平均380万円、資本の稼ぎは一億円投資なら年間330万円を不労所得で得る事が出来る。
経済成長によってモノからマネーへ影響力がシフトする。そして近年では更にマネーの影響力が低下し、金融的なビジネスより人々の生活に近いモノやサービスに関するビジネスに注目が集まっている。
数学
〜数学ではなく数学的センスが身につけば、絶対的に有利な立場になれる〜
相関関係と因果関係の違いを理解し、事実と推測の区別をしっかり持つことで感情的に揺さぶられずに判断出来る。判断で失敗する回数が減りその積み上げで資産形成につながる。
グーグルが自動運転車で6年間で14回の事故の発生があったことを公表したことで「自動運転車はやはり危ない」といった印象が広がっている。ここで数字を客観的にとらえ、言語の持つニュアンスだけで状況を判断しないことが重要。数字を使って検証する。おおよそ合っていればよいという感覚で推定を実施する。
大きなリスクをとって株式投資を行なっているのに、うまくいっても大して儲からないというのはナンセンス。リスクがあっても大きく利益が得られる可能性にかけてみるのも合理的な選択。
理数系のセンスが身についていると「とりあえずよくわからなくても数学のように淡々と処理していく」ことが出来るようになる。
帰納法を使いこなしても、得られる結果の多くは当たり前で常識的なもの。人よりも大きな資産を作る為には他人にはないユニークな発想が必要で、その点では演繹法を活用できる人の方が有利になる。
ただし演繹法で用いる前提がどの程度普遍性があるのか推定できる能力も必要。
情報工学
〜プログラミングは学ばなくて良い。ITのセンスは現代のビジネスにとって不可欠〜
検索結果上位の情報が重要とは限らない。重要な情報ではなく、皆が重要と思う情報が上位になる。キーワードや検索の条件を変え何度かトライするべき。
インターフェース部分がしっかりしていれば(つまり、何をしてほしいのかがはっきり指示されるのであれば)業務の水平分業化が有効。
ボトルネックを考慮しつつ、時間や作業はどの程度まとめた方が良いのか、他人の協力を仰いだ方が良いのか、どの程度スピードは上げられるのか、総合的に考えることでスループット(仕事の総量)を増やす。
人工知能は学習する事も出来るのでコスパを考慮すると、高い賃金で単純な知識や能力に依存している職業(医師、パイロット、会計士、アナリスト)がコンピュータに仕事を奪われる。人工知能をサポート役としてさらなる成果を上げる者もでてくる。つまり、これまで大した付加価値がないにも関わらず、人手が足りないという理由だけでその業界にいることが出来た人の仕事がなくなる。
シリコンバレーは軍需産業とヒッピーが結びつき発展した。アマゾンやマイクロソフト、スターバックスが本社を置くシアトルもボーイングという軍需産業が本拠を構えている。サンディエゴも軍事都市でサーフィンやドラッグといった西海岸文化の拠点。異なる価値観やカルチャーがぶつかりあうことはイノベーションにとって有益である。
哲学
〜富は人とのコミュニケーションの結果として得られる。哲学は人を知る為のヒントとなる〜
哲学の世界では観念論と唯物論という対立軸がある。観念論では先に精神があるので絶対的な価値観が存在するという立場、唯物論では新しい技術の登場など、物理的な環境変化は人間の精神を大きく変えると考える立場。こうした哲学的な議論は非常に極端で、現実的には唯物論的な側面と観念論的な側面の両方を持っている。
成功者は、成功した理由として観念論的理由を挙げ、他人に対しては唯物論を前提として振る舞う。お金や仕事に対する基本的な考え方、モチベーションに対する考え方などお金持ちになるためのイデアを身に付けることが成功のカギだと考える一方、社員に対して、給料や昇進、降格など環境を徹底的にコントロールする。
事の成り行きについても同様で、観念論では精神があって人の行動が決まり、それが結果を生み出す、つまり世の中の出来事には全て意味があると考える。自身の成功は必然と考える。唯物論では物資の動きが最終的に人の言動を決めるとするので結果は必然ではなく偶然の産物。なるようにしかならないと主張する。
観念論と唯物論の対比は、人間社会には普遍的、根源的な法則が存在するという考え方がベースになっている。絶対的な法則性を追求するのも大事だがまずは物事はどの様な仕組みになっているかについて観察した方が、より真実に近づきやすいと考える。物事の仕組みについて着目するという考え方が、構造主義哲学と呼ばれるもの。
平均的な人材でもうまくビジネスが回るような仕組みを構築し、人間の個人的な能力に依存しない組織を作る事の方が大事である。
記号論という視点に立てば、人が見た目で評価されていることなどごく当たり前。髪型や話し方、立ち居振る舞い、お店の選択、書類の書き方なと全てが記号。
プラグマティズムとは形而上学的本質に近づくためにこそ、現実社会での試行錯誤が重要という考え方。何度も試行錯誤を繰り返していけば、本質が何かと大上段に構えなくてもやがてその本質にたどり着くことになる。
歴史学
〜先を見通す為には歴史を学ぶのが最も近道。だからこそ成功者は歴史を知ろうとする〜
独裁を嫌い、意見の多様性を重んじた共和制のローマだが、現実にはまとまりに欠け、汚職にまみれた社会でもあった。貧富の差が激しくなり国内の政治は極度に不安定化する。この混乱を終結させたのがシーザーである。
共和制とは君主制に対応する言葉で、民主制は共和制の一部。
「ルビコン川を渡る」という言葉はシーザーのローマ進軍から来ている。
民主主義に対して過剰に理想を抱いたり、腐敗に対して単純に嫌悪感を示してしまう人は、容易に独裁者の支持者に変貌してしまう。
これを防ぐにはバランス感覚がモノをいう。このバランス感覚が教養と多くの部分で一致する。
世界の皇帝が直属軍を持つ理由は、味方に存在する敵の方が、外国の敵よりもやっかいだったりするから。自分だけに忠誠を誓う軍隊を持ちたがる。民間企業でもトップ直属の組織がある。しかし社長が交代することで左遷されてしまうケースや、マキュベリストの社長であれば自分に対する反感をやわらげるために左遷させるケースがある。
イタリア系とアイルランド系はカトリック、アングロサクソン系はプロテスタントが多い。ケネディは歴代のアメリカ大統領で唯一のカトリック。アメリカの歴史はプロテスタントを信仰するアングロサクソン系の人たちが持つ特権を、マイノリティに属する人たちが、一つ一つ自分たちのものにしていくという流れで成立している。
奴隷制度の崩壊は工業化により、奴隷の受け皿が整ったから。男女差別の解消は厳しい競争環境に放り込まれた企業が、人を選り好みする余裕が無くなったから。どんな国、どんな時代でと差別問題はお金の問題である。
戦争も最後はお金の話に行き着く。日清戦争、日露戦争、太平洋戦争。
中国は時代を通して共通の現象や概念が存在する。それは冊封という独特の外交政策。
日本は中国式のやり方で対抗するのではなく、グローバル化化の推進や金融市場の整備など、アングロサクソン型の手法でアジア地域に影響を及ぼす方が、メリットが大きく、かつ中国の影響力を牽制することができるはず。
まとめ
形而上学的な知見は特に新しいビジネスに直面した時にその真価を発揮する。新しい技術やサービスが登場して来た時、人がどのように行動すれば良いかについてはそう簡単に答えがでない。ビジネスの本質が分かっていれば、今は法体系としてグレーでも、やがて普及が進み、法体系がそれに追いついていくものなのか、それとも存在してはいけないものなのか判断する手助けになる。
ある社長は「ワンマン社長になりたくない」と言っていた。社員のことを第一に考えるべきであり、そうすることで会社の利益も増え、成長出来るのだという主張。3年後「社員は皆、怠けてばかりで怒鳴らないと仕事をしない」とグチを言い、その後会社は消滅した。哲学的に分析すると観念論の立場に立っていたのが3年後には唯物論者に変貌していたわけである。自身の変化を自覚出来ない経営者や投資家はたいていどこかのタイミングで失敗する。
時代や分野に関係なく成功するスキルを身に付けるためには、教養を身に付けることがもっとも早道である。 -
わかりやすく読んでいて楽しかった。
最後の自分が変わったことに気づかない社長の例は忘れないようにしたい。
気づかないうちに成功したり、レベルアップしていることはあると思うけど、その違いを知ることも大切だと思った。
とにかく、周りの人を大切にする気持ちとかかな?
リスペクトの心とか