地図で読むアメリカ

  • 朝日新聞出版
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023317963

感想・レビュー・書評

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  • “アメリカ”というのはその広さや、国民の多様性の幅の広さから、一つの国として定まった顔を持たない。本書ではイースト川とハドソン川に挟まれた地域を“メトロポリタン・ニューヨーク地域”として取り上げているが、“メトロポリタン・ニューヨーク地域無しのアメリカは考えられないが、メトロポリタン・ニューヨークはアメリカの典型的な地域ではない”と語っているように、アメリカはその地域によって住む人種、産業、気候、人々の政治思想が大きく異なる。それを地図(その地域の置かれた場所や地形、そして隣接する地域との関係)を見ながら、10の地域に分けて語ろうというのが本書だ。
    必ずしも州境はその区域を分ける目安にはならない。むしろ10の地域の分かれ目は州の上を通っており、州自体が複数の地域に分かれていることも多い。なぜなら州の中に大きな山脈や河川を抱えており、そのどちら側に位置するかによって気候が変わり、暮らしの基盤が大きく異なるからだ。
    一部、その地域の歴史にも触れているが、それはその地域の現在を語るためであり、歴史よりもその地域が今どういう状況なのか?にフォーカスしているので、現在のアメリカの状況においてその地域がどういう立ち位置にあるか?を知るには良い参考書になるのではないだろうか?
    何よりもこの本を読んで、「アメリカは、、、」とか、「アメリカ人は、、、」と言う表現を見た時に、そのアメリカがどこを指して言っているのかを推測する必要があり、その表現がそれをアメリカ全土に広げて語ろうとした時には“要注意”ではないかと感じた。

  • いうまでもなく、アメリカは日本人にとって最も身近で関心の高い国の一つである。その背景には「日米安保条約」をふまえた強い関係性があり、日本がアメリカから受けてきた広範な文化的影響がある。

    高い関心を反映して、アメリカ入門のたぐいは日本でもすでに汗牛充棟だ。本書もその一つだが、類書にはない独創性がある。それは、アメリカを10の地域に区分し、地域ごとの特徴を解説するという形式を取ったこと。

    日本人がアメリカという巨大で多様な国を理解するための〝補助線〟としては、州ごとに特徴を描き出し、背後に全体像を浮き彫りにする方法がまず考えられるだろう。『アメリカ50州を読む地図』(浅井信雄)など、その手の本はすでに少なくない。

    だが、都道府県の解説の総和から日本の全体像を理解するのが難しいように、この手法には個々の州の解説が「点」のままになってしまううらみがある。

    対照的に、本書は共通の特色を持つ州と州を「線」で結び、国全体を10地域に腑分けして解説することによって、「面」――すなわち超大国の全体像を的確に描き出している。

    著者たちが設定した10地域には、10以上の州を一地域にまとめた例もあれば、逆に一州を複数の地域に分けた例もある。
    そのような〝腑分け〟それ自体が、「アメリカとはこのような国だ」という著者たちの批評になっている。

    『地図で読むアメリカ』というタイトルは、誤解を招きやすいかもしれない。地図も駆使されてはいるが、地理学の本というより、歴史・政治・経済・文化などから多角的に迫る内容だから。

    詰め込まれた情報量が濃密で、初心者からそこそこのアメリカ通まで唸らせる内容になっている。

  • 非常に良く出来ている一冊でした。
    アメリカ合衆国の地域差というものがよくわかります。
    そしてアメリカ合衆国を旅行したくなりました。
    (お金が無いので、おそらく死ぬまで無理ですが(苦笑))

  • 「365日世界一周絶景の旅」つながり

  • 東2法経図・6F開架:295A/V42c//K

  • アメリカを10の地域に分けて解説した本。アメリカの各地域をざっくり雰囲気として掴むのにはよいと思うのだが、なぜだかとても読みづらく、頭に残らなかった。土地勘がない者からすると地域名がどこを指すのかも即座に分からないので、せめて巻頭の地域図に地域名を併記してほしかった。

  • 295-V
    閲覧

  • 週刊ダイヤモンド2020711掲載

  • なかなか理解しにくいアメリカ地理を10地域に分類して解説。各地域の歴史的、地理的な特徴をざっくりと把握できるようになってる。大統領選もこれを読むと少し理解が深まるかも。

  • 混迷の様相を呈しているアメリカ大統領選挙が目前に迫って来ている。分かっているようだが、また複雑なアメリカと言う社会。世界のNo.1の経済大国、軍事大国でありながら、理解が困難な人種混合、格差の激しい社会でもある。この機会に本書に出会えたことは幸いであった。
    アメリカ史を解説するのではなく、今のアメリカの
    地域的特色とその歴史的背景について分かりやすく解説されているのが好感。以下の10の地域を解説。
    1.ニューイングランド地域
    2.メトロポリタン・ニューヨーク地域
    3.アパラチヤ地域
    4.サウス地域
    5.インダストリアル・ノース地域
    6.ハートランド地域
    7.アウトウエスト&アラスカ地域
    8.パシフィック・ノースウェスト地域
    9.サウスウエスト地域
    10.ハワイ地域

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著者プロフィール

早稲田大学名誉教授。テネシー州メンフィス生まれ。著書に『ロックを生んだアメリカ南部』『アメリカ黒人の歴史』(以上、NHKブックス)、『アメリカ南部』(講談社現代新書)、『黒人差別とアメリカ公民権運動』(集英社新書)、『わが心のディープサウス』(河出書房新社)、『ミシシッピ=アメリカを生んだ大河』(講談社選書メチエ)など多数。

「2018年 『はじめてのアメリカ音楽史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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