【通常版】クイズ思考の解体

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023319837

作品紹介・あらすじ

東大卒クイズ王・伊沢拓司の待望の新刊!
執筆2年半のALL書き下ろし。クイズ業界関係者から大絶賛!

「高校生クイズ」で史上初の2連覇を果たし、「東大王」や「QuizKnock」創設で日本のクイズ界を牽引する伊沢拓司。
彼の「思考過程」がまるっと見えてくる!

「クイズは無限の可能性を持つエンターテインメントです。クイズが文化として見直され注目されている今こそ、クイズを解く時に何を考えているかという思考過程を解剖したい!それが私を育ててくれたクイズ界への恩返しになる。その使命感で無心に執筆を続けた、『クイズのために書いたクイズの本』です!」(伊沢)

クイズを愛しすぎた時代の寵児が「クイズ本来の姿」を長大かつ詳細に、繊細だが優しく解き明かすクイズの解体新書。伊沢氏自らが長期間に渡って調査を行い、圧倒的な情報を詰め込んだ超大作である。
熱意のこもった、かつ親しみやすい筆致で、クイズの現在地をロジカルに体系化し、未来への発展をいざなう。クイズプレーヤーはもちろん、クイズ愛好者にはぜひとも手に取ってもらいたい、クイズ史の「マイルストーン」となる一冊になるだろう。

★史上初① 膨大な資料を基にクイズ史をひも解く
戦後、異国の地から日本にやってきたクイズ。クイズ文化の萌芽~冬の時代を経て到来した2週目のブーム。「クイズは、マジックではない。ロジックだ」(伊沢)。新時代を開拓し、クイズ界を牽引し続ける伊沢氏自らが、GHQによるクイズ番組導入から「東大王」「QuizKnock」ブームまでをロジカルに解き明かす。

★史上初② クイズの問題文をフレームワーク化
これまで体系化されることのなかったクイズの問題文を分類し、その構造を分析。クイズプレーヤーが早押しで用いる「思考過程」、クイズが持つ「推測や発見の面白さ」を余すことなく解き明かす。

★史上初③ クイズを科学する
繊細な言語を相手取りつつ、自身のコンディションと向き合うクイズプレーヤー。早押しクイズは、勝負の全体像と数多ある個別の要素が相互に作用し合う「複雑系」だ。「クイズ王は、なぜ高速で答えに辿り着き、ボタンを早く押せるのか?」「そもそも『答えが分かる』とは何なのか?」の考察は、とどまることを知らず深みへと進んでいく。認知科学的視点すらも参照しながら思考の深遠を目指し、クイズ文化をさらなる発展へいざなう。

感想・レビュー・書評

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  • 序章 マジックからロジックへ
    1 クイズの歴史
    クイズ史とはなにか
    日本クイズ史の萌芽―GHQがクイズを持ち込んだ
    日本クイズ史の萌芽ー視聴者参加型の50年代
    クイズ王の誕生―70年代のクイズ番組
    クイズ王が生まれ、クイズ番組は去った
    冬の時代を耐え抜いたものたちー「アマチュアクイズ」と「二周目」のクイズ史
    より強力なクイズ王の時代
    そしてQuizKnockと新時代
    2 早押しの分類
    2.5 早押しの分類、そのテレビへの応用
    3 クイズと誤答
    「リスクと戦略」の拡張
    誤答なくしてクイズなし
    マクロの戦略のフレームワーク
    クイズプレーヤーの脳内におけるリスク計算
    正しいリスク認識による誤答観の転換
    マクロからミクロヘの橋渡し~「東大王」より
    マクロの戦略は試合内でどう変化していくのか
    そもそもなぜ「確率」的戦略立案が優れているのか
    4 クイズと作問
    クイズを特殊たらしめる「作問」という要素
    「一方向型」のテレビクイズと「双方向型(ギプアンドテイク)」のアマチュアクイズ
    作問におけるホスピタリティ
    「正解させる」意識
    丁寧なホスピタリティの作り方
    早押し以外の作問と、良い作品作り.
    5 クイズ思考と「クイズを伝えること」
    カオスとしての早押しクイズ
    閉じたカオスから開かれた複雑系全体ヘ
    複雑系たる主な要因
    思考過程のモデル化
    クイズ思考のこれから

  •  予想以上に面白い。類書より詳細な記述が特徴。
     ハードカバーで4500円だが紙質はややチープ。一部カラー印刷。

    【書誌情報】
    著者:伊沢 拓司
    出版社:朝日新聞出版
    ISBN:9784023319837
    定価:4950円(税込)
    発売日:2021年10月20日
    A5判上製 480ページ
    https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23097


    【簡易目次】
    序章:マジックからロジックへ
    1章:クイズの歴史
    2章:早押しクイズの分類
    2.5章:早押しクイズの分類、そのテレビへの応用
    3章:クイズと誤答
    4章:クイズと作問
    5章:クイズ思考と「クイズを伝えること」
    あとがき:クイズをクイズのままに


    【目次】
    目次 [002-005]
    題辞 [006]

    序章 マジックからロジックへ 007

    Chapter 1 クイズの歴史 019
    00 クイズ史とはなにか 020
    01 日本クイズ史の萌芽――GHQがクイズを持ち込んだ 024
    02 日本クイズ史の萌芽――視聴者参加型の50年代 030
    03 クイズ王の誕生――70年代のクイズ番組 040
    04 クイズ王が生まれ、クイズ番組は去った 048
    05 冬の時代を耐え抜いたものたち――「アマチュアクイズ」と「二周目」のクイズ史 060
    06 より強力なクイズ王の時代 076
    07 そしてQuizKnockと新時代 087

    Chapter 2 早押しの分類 127
    マーカーの凡例 128 
      基本的な3つの分類
      形質/実質の分類
    構文一覧 131
    クイズと構文 132
      早押しのひみつ
      早押しクイズの前提条件
      ①問題文を最後まで聞かないということも可能である
      ②解答までのラグ、シンキングタイム
      ③誤答リスク
      ④「早く押すことに意味がある」
      早押し問題の構造・総論

    No.001 基本型1――確定先 148
    No.002 基本型2――確定後 152
    No.003 文頭確定情報系 156
    No.004 具体例→概念 162
    No.005 例文 167
    No.006 冒頭に時節が来るもの 172
    No.007 「自然さ」 というメタ視点で確定が早まる 178
    No.008 知識ベースのメタ視点で確定が早まる 188
    No.009 ジャンル指定の「で」「において」 197
    No.010 パラレル――純粋な対比 200
    No.011 パラレル――対比軸が後から見える 209
    No.012 パラレル――対比そのものが見えづらい 214
    No.013 3パラ 219
    No.014 「対し」 224
    No.015 パラレルではない 「ですが」 230
    No.016 ○○とは 235
    No.017 穴あき列挙→共通項 238
    No.018 穴なし列挙→共通項 243
    No.019 見えづらい穴あき列挙→共通項 246
    No.020 語源――答えとほぼイコールになる前半部 249
    No.021 語源変化型 255
    No.022 択一問題 260
    No.023 おきまりのフレーズ 265
    No.024 ずばり 270
    No.025 確定要素だけ 275

    Chapter 2.5 早押しの分類、そのテレビへの応用 311
    § 1 読み上げ形式のテレビでの弱さ 312
    § 2 クイズとしての根本は変わらない 315
    § 3 映像早押しクイズの特徴――構文の宣言 317
    § 4 映像早押しクイズの各論分析 321

    Chapter 3 クイズと誤答 339
    § 1 「リスクと戦略」の拡張 340
    § 2 誤答なくしてクイズなし 342
    § 3 マクロの戦略のフレームワーク 344
    § 4 クイズプレーヤーの脳内におけるリスク計算 346
    § 5 正しいリスク認識による誤答観の転換 348
    § 6 マクロからミクロヘの橋渡し~「東大王」より 352
    § 7 マクロの戦略は試合内でどう変化していくのか 357
    § 8 そもそもなぜ「確率」的戦略立案が優れているのか 363
      #NOP 準決勝FPSクイズ [369-372]

    Chapter 4 クイズと作問 381
    § 1 クイズを特殊たらしめる「作問」という要素 382
    § 2 「一方向型」のテレビクイズと「双方向型(ギプアンドテイク)」のアマチュアクイズ 384
    § 3 作問におけるホスピタリティ 389
    § 4 「正解させる」意識 395
    § 5 丁寧なホスピタリティの作り方 総論 401
    § 6 丁寧なホスピタリティの作り方 アイディア編 404
    § 7 丁寧なホスピタリティの作り方 構文編 408
    § 8 丁寧なホスピタリティの作り方 細部へのこだわり編 411
    § 9 早押し以外の作問と、良い作品作り 414

    Chapter 5 クイズ思考と「クイズを伝えること」 433
    § 1 カオスとしての早押しクイズ 434
    § 2 閉じたカオスから開かれた複雑系全体ヘ 437
    § 3 複雑系たる主な要因 440
    § 4 思考過程のモデル化 444
    § 5 クイズ思考のこれから 448

    あとがき クイズをクイズのままに(伊沢拓司) [456-462]
    解説 目的としてのクイズへ(徳久倫康) [463-470]
    クイズ用語集 [472-475]
    参考文献 [476-479]


    [COLUMN] 「クイズ界」古今東西 105 
    [COLUMN] 現代の早押しクイズに「確定ポイント」は存在するのか?~早押しクイズの微分学 その現在 282
    [COLUMN] クイズに統一王者がいない理由~クイズの「強さ」論 332
    [COLUMN] クイズ王と学歴 337
    [COLUMN] 再考「クイズの持つ暴力性と、その超克」~「ユリイカ」の反省とアップデート420

  • 関心のある章を拾い読み。
    感想を書こうと思ったら自分のクイズ論になってしまうので、その辺は必要があれば別のSNSあたりでやります。

  • 著者はクイズプレーヤーの一人として、またクイズという文化を一般大衆に紹介する団体のメンバーの一人として、「クイズ」というもの、より正確に言うなれば「競技クイズ」とも称される読み上げ式の文章クイズについて、その構造、論理、プレイヤーの戦略について論じている。
    著者はあくまで私見にすぎない、とことわりを入れながらもこの因数分解を通じて、競技クイズを大衆に解説することを試みている。だが同時にこれはクイズプレーヤーにとっても、一つの目安となるものであり、これまでサークルなどのclosedな環境において秘伝の如く伝えられてきた、あるいは実践環境において自ら習得されてきた技術を解説したという点で驚くべき大著であると言えよう。
    その仰々しい構えに敬遠されるきらいはあると思われるが、恐れることなく取り組んでいただきたい、と思えるクイズプレーヤー(ことに初心者)にとっての必読の書と考えられる。

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著者プロフィール

開成中学・高校を経て、東京大学経済学部を卒業。東京大学農学部大学院農学生命科学研究科中退。(株)QuizKnock CEO。WEBメディア『QuizKnock』の編集長を務め、登録者100万人を越える同YouTubeチャンネルでも活動する。TBS系『東大王』『グッとラック!』にレギュラー出演中。短文クイズサークルA(あ)、さいたまクイズ愛好会などのクイズサークルに所属。
「無知を恥じず、無知に甘えることを恥じる」を座右の銘とし、分野の別け隔てなく日夜知識を蒐集している。趣味はアコースティックギターの弾き語り。
1994年5月16日、埼玉県生まれ。ワタナベエンターテインメント所属。

「2020年 『QUIZ JAPAN全書06 東大生クイズ王・伊沢拓司の軌跡Ⅱ ~栄光と挫折を超えて~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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