ゆうだち

著者 :
  • 偕成社
4.23
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本棚登録 : 173
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784032324006

感想・レビュー・書評

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  • トリニダード・トバゴに伝わる【ヤギとライオン】という民話があり、素話にもなっている。
    ただ、それを子供たちの前で披露したことがない。
    お話そのものはとても分かりやすいのだが、ヤギとライオンが交互に歌を歌いあい、それが何度も繰り返される。
    繰り返しのたびに声の大きさと速さが違うという難易度の高さを、なかなかクリア出来ないのだ。
    話の流れからして、最後の方はほとんどパンクばりにシャウトしてしまいそうだしね。

    この【ゆうだち】という作品は、その【ヤギとライオン】を原話にしている。
    野生のライオンはかの国にはいないらしいので、作者のあきびんごさんは【ライオン】を【オオカミ】にして、話の舞台を日本の南の島に移したという。
    なるほど、それで【バイオリン】を弾いて歌うはずなのに、この話では【三味線】を弾いて歌っているのね。
    ということは、奄美か沖縄などをイメージすると良いのかもしれない。
    最初に開いたときに現れる自然描写が、とても素敵なのだ。

    突然の夕立でずぶぬれになったヤギを、温かく家に迎え入れるオオカミ。
    ところが、三味線を弾いて歌っているオオカミの歌はとんでもないものだった。
    恐怖で震え上がるヤギが考え出したアイディアとは・・・?

    挿絵のインパクトが、何しろ笑える。
    初めて家に誘われたときのヤギは、優しい顔立ちをしている。
    それが、だんだん目が寄ってつり上がり、ほとんどクレイジーなまでになっていく。
    びびるオオカミも笑える。
    歌の歌詞も原話とは違うが、こちらの方がいっそ思い切りが良い。
    読みながらどんどんハイテンションになり、はじけて行く自分がいて、笑いをこらえるのがやっとである。
    でも、ヤギの気持ちになって思い切りやるしかない!

    約9分。3歳くらいから。夏のひとときを、小さなお子と楽しんでやってください。
    2013年度産経児童出版文化賞・JR賞受賞作品。

    • vilureefさん
      うわ~、なんだか面白そう!
      子供が喜びそうですね。

      でも歌か~、ハードル高いな(^_^;)
      童謡をベースにした絵本てありますよね。...
      うわ~、なんだか面白そう!
      子供が喜びそうですね。

      でも歌か~、ハードル高いな(^_^;)
      童謡をベースにした絵本てありますよね。
      歌を知っていればまだしも全然知らずに適当に節をつけて歌うともう大変!!
      全く違う童謡になってしまったり・・・。

      でもチャレンジしてみようかな。
      あまりにも素敵なレビューなので(^_-)-☆
      2013/07/18
    • nejidonさん
      vilureefさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      面白そうと思ってくださって嬉しいです!
      はい、本当に面白いんですよ~

      ...
      vilureefさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます!
      面白そうと思ってくださって嬉しいです!
      はい、本当に面白いんですよ~

      歌がハードル高そうって思うでしょう?
      でも自分のお子さんなら、そこはもう思い切りはじけて(笑)
      お話し会はよそのお子たちの前だし、失敗は許されない一度きりのものだから、
      自然とハードルを上げてしまうのです。
      大人だったら「今日は調子が悪いんだな」とか「アガってるな」とか
      割り引いてくれることもアリですが、子供は見たものがすべてですからね。
      ああ、うちの子たちももっと小さかったら、この本を読んで一緒に笑い転げるのに。。

      出たとこ勝負で、どうぞやってみてくださいな(笑)
      日ごろのお母さんとはちょっと違う姿も見せてあげないとね!
      2013/07/18
  • とてもおもしろい民話を基にした絵本。

    読み手の腕の見せ所
    私がこの絵本を読み聞かせると、
    子供が泣き笑います。
    腹筋が崩壊するそうです。
    普段のギャップに悶絶します。

    夏の一冊、読み聞かせするのが楽しみです。

  • 「あらしのよるに」のはなしに似ているスタート、ですが、弱気なオオカミと賢いヤギとのやりとりがドキドキですよ。オオカミの家族思いの様子がよく描かれています。

  • 今年の一番笑った本です。
    やぎの歌がどんどんエスカレートしていく姿が、笑えます。読んであげる私もなんだかどんどんおかしくなってくる。子供たちと一緒に「メ-!!」とシャウトしています(笑)

  • ヤギさんのキレかたがすばらしい。
    やるならここまでキレると、気持ちイイですね

  • これ、すごーく面白かった!
    何がどう面白かったのか、理屈で言うのはちと難しいんだけど、
    なんかね、うほほ♪ くふふ♪ って感じで楽しかったよ!

    ・・・って(-_-;) 
    。。。よけーわかんないですね、すみません。。

    では、少しばかり感想を。


    最初のページの言葉がステキです。

    「しまでは なつの あつい ひに、はげしい ゆうだちが やってきます。
     ごきげんだった あおぞらが ゴロゴロと ぐずりだすと、
     あたりは きゅうに まっくらになり、
     にぎやかに さえずっていた とりたちは ぴたっと なきやみます。

     そして、そらが おおごえで なきはじめると、
     見える ものも、きこえる ものも、あめと かみなりだけに なるのです」

    そうやって、夕立に降られたヤギが困っていると、
    オオカミが、こちらにおはいりなさい、と声をかけてくれたので、
    ヤギは喜んでオオカミの家に入ったんだけど、

    オオカミとヤギだもん、そんな親切なわけがない。

    オオカミがしゃみせん片手にごにょごにょ歌いだした歌は、
    耳がいいヤギにはちゃーんと聞こえて、それは
    「おいしい おきゃくは かえしはしない」って歌。

    そこでヤギは震え上がったんだけど、
    それを隠して、しゃみせんを借りて歌い出した。

    それは
    「ゆうだちが きたら おかしくなる
     むしゃくしゃして へんになる
     このまえ たべた オオカミ 3びき
     そろいも そろって いくじなし」という歌。

    しかも、歌っているうちに、ヤギの顔は
    なにやら凶暴な感じに。。。。

    絵本の中では、
    ヤギの歌はどんどんパワフルになり、
    ヤギの顔はいっそう凶暴になって、
    オオカミはだんだん怖くなっていく。

    その、凶悪なヤギの顔がすごいのよ~!
    狂気をはらんだ怪物。
    ほどんど「怪奇もの」みたいな絵になってる。

    絵本の文章でも
    「これは もう、ヤギでは なく、なんでしょう?」
    って書かれるくらい。

    そして、意外と家庭的なオオカミが、おかしい。
    息子や奥さんをそっと逃がして、
    最後はとうとう、自分も逃げ出しちゃう。

    で、絵本の最後では雨があがって、〆の一言。

    「このひ、いちばん こわい おもいを したのは、だれだったんでしょうね?」


    あー、おもしろかった!

    わたしは「ユーモラスな絵本」だと思ったんだけど、
    長女は「恐い絵本」だと言ってます。だから良かったと。

    ともかく、一度手に取ってごらんください。
    なんだかとっても心魅かれる絵本です。

  • 「あらしのよるに」と似たような状況。でも、こっちの方が数段面白い。

  • おもしろい、読み聞かせでは、歌も歌い、声も少し変えてやりました。
    子どもたちと一緒に聞いていた先生も大爆笑でした。

  • 新聞の書評で気になって読みました。絵はとても大胆な筆使いです。
    ヤギとオオカミのやりとりにドンドン引き込まれます。読み聞かせにとてもいいと思います。
    言葉のパワーと絵のパワーでめくる時にドキドキします。
    期待以上にハラハラドキドキ!

著者プロフィール

1948年、広島県尾道市生まれ。東京芸術大学日本画卒。絵画や染付などの個展活動をおこなっている。絵本に『したのどうぶつえん』(第13回日本絵本賞、第25回「よい絵本」選定)『あいうえおん』『ぼくとかれんのかくれんぼ』『ででてくるぞ でてくるぞ』『30000このすいか』(第21回日本絵本賞大賞)『ねこだらけ』(以上、くもん出版)、『ゆうだち』(第60会産経児童出版文化賞 偕成社)、教育書に『太陽ママと北風ママ』などがある。また、幼児教育の研究者として、現在もさまざまな教材・教具・文具の開発をおこなっている。

「2019年 『ゴロゴロゴロゴロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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