武蔵坊弁慶 (源平絵巻物語 第2巻)

著者 :
  • 偕成社
3.54
  • (2)
  • (3)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 31
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784034270202

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これは史実ではなく、武蔵坊弁慶の“物語”絵巻である。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    前書きを読むと、武蔵坊弁慶という人物は「ほとんど歴史的にはみとめられていない人物」「(前略)とにかく、弁慶という人物は、日本の民衆によって創作しつづけられてきた興味ある人物」(引用)だそうです。
    シラナカッタ…

    この絵本では、「生まれたときから3歳くらいの容姿だった」「母親のお腹に18カ月もいだ」などの文章が見られ、“これは歴史書ではなくて物語絵巻だよ~”というメッセージが、しっかりと書かれています。

    終盤には有名な五条の橋の上での牛若丸との対決がえがかれていますが、ここがメインというよりは、1冊の中の1エピソードという感じでやや派手さには欠けました。
    しかし弁慶、奪った刀を999本あると数えた点については、「よく数えたよな…わたしなら絶対、途中で数えるの投げ出してるわ…」と思い、そこだけは「弁慶すげえ」と思ったのでした。

  • この内容はちょっと意外でした。
    どこまでが事実なのかはわかりませんが…というよりも、多分ほとんどが他の伝説が混じったりフィクションだったりして、事実ではないと思いますが、それでも彼は実在の人物なんですよね。

    この本では弁慶が生まれたところから義経と五条の橋で出会うまでが描かれています。
    つまり、明らかにされている事実が始まる前に終わってしまうわけで、こんな描き方ってある?

    生まれたときは既に体が3歳児の大きさで(お母さん、大変でしたね)、髪の毛は本より歯も生えそろっていたのだそうです。
    なぜなら、お母さんのおなかに18カ月もいたからだ、と。(お母さん、大変でしたね)

    お父さんは「これはきっと鬼の子だ」と山奥に捨てようとするのを、おばさんが引き取って5歳まで育て、その後お坊さんにさせようと延暦寺に預けるわけです。
    しかし、弁慶(当時鬼若)のお父さんって、藤原道隆の子孫で高名なお坊さんだったのですよ。
    なのに、我が子を捨てようとするって…慈悲の心は?

    しかし体つきといい名前といい、暴れん坊になるのはあからさまな伏線というもの。
    ただ一人信頼していたお坊さんにももてあまされていたことを知り、弁慶は寺を飛び出し、ひとりで修行することにします。
    そしてその時、父親の弁昌から「弁」の字を、信頼していたお坊さんの慶心から「慶」の字をもらって、弁慶と名乗ることにしたのです。

    ひとりで修行する=刀の千本狩り
    独善的ですが、これがきっかけで義経と出会うのですから運命ってわからないものです。
    っていうか、だからこれ、ほとんどフィクションだと思うのですが、弁慶になるまでの詳しい物語が創作される時点で、弁慶愛されてるんだなあと思いました。

    弁慶が欲していたのは千本の刀ではなく、自分を偏見なく評価してくれる人だったのかもしれませんね。(だからフィクションだってば)

  • 弁慶には、強くてかっこいい人ってイメージがあった。でも、この絵本を読んで、ケンカが大好きでやんちゃな人でもあったんだなって思った。お母さんのおなかの中に、18ヶ月もいたなんてすごい。
    弁慶をあずかっていた桜本の僧正は、ひどい。だから、弁慶は余計にひねくれちゃったのかな。でも、義経に死ぬまでついていった弁慶は、義経が大好きだったし、まじめで決めたことはやりきる性格だったのかもしれない。
    絵がはくりょくがあって、弁慶がおにみたいだと思った。でも、好き。
    弁慶が五条大橋で刀をうばっていたのは知っていたけど、奥州藤原氏の1000頭の馬や、松浦太夫の千の弓のえいきょうというのは、知らなかった。おどろいた。(小5)

  • 京の五条の橋の上♪と言う歌を思い出すわ~

  • 2012年4月25日

  • 20分かかる大作です。事前に担任の先生に了承を得て読ませてもらいました。子ども達が5年生(高学年)になるのをずっと待って温めていたものです。レベルが高いものですが、子ども達が驚くほど聞けました。(数人疲れのため息があったことはもちろんですが。)このレベルもいけるんですね!!

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

●児童文学作家。1923年大阪府生まれ。早稲田大学仏文科卒業。在学中から早大童話会に属し、児童文学を志す。主な児童文学に『肥後の石工』『浦上の旅人たち』『光と風と雲と樹と』。そのほか絵本に「源平絵巻物語」シリーズ、『土のふえ』など。日本児童文学者協会賞、野間児童文芸賞、小学館文学賞、芸術選奨文部大臣賞など受賞多数。1992年紫綬褒章を受章。2004年逝去。

「2017年 『ヘレン・ケラー自伝 (新装版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今西祐行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×