- Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
- / ISBN・EAN: 9784034351802
作品紹介・あらすじ
新しい家にひっこして、るすばんをしていたのんちゃんは、クローゼットの中にトイピアノをみつけました。今はもういないおとうさんが、5歳の誕生日に買ってくれたものです。のんちゃんは、鳴らない鍵盤が1つあることを思いだしましたが、ひさしぶりに、おとうさんにならった「カノン」という曲をひいてみました。すると、となりの森から、ピアノの音が聞こえてきます。のんちゃんのひく「カノン」とおなじメロディです。音楽がもたらす喜びを描いた、あたたかなファンタジー。
感想・レビュー・書評
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夏休みのおわりに、となりの町からおかあさんとふたりでひっこしてきた、のんちゃん。
5才のたんじょうびにおとうさんが買ってくれたトイピアノ。
のんちゃんがカノンをひくと、となりの森のほうからピアノの音がきこえてきます。
曲はのんちゃんと同じカノン。
古いお屋敷からピアノが聞こえてきて、黒いふくをきたおじいさんがピアノをひいています。
のんちゃんのおとうさんはコンサートでバイオリンをひいています。
きらきら星をおじいいさんといっしょにひくのんちゃん。
「どうしてそんなにいろいろな音が出るの」
「ピアノの中にはオーケストラがはいっているんだよ」
おじいさんが曲をひきます。
心がしんとなる、まるで天からおりてくるような音楽。
のんちゃんのほほに、なみだが流れました。
「また、きてもいい?」
のんちゃんは、そう聞きながら、なぜかおじいさんには、もうあえないような気がしました。
その夜、のんちゃんがトイピアノをひくとラの音がなっています。
「おかあさんも、ピアノひきたくなったわ」
「おかあさんといっしょにピアノならいたい」
となりの家はなくなっていました。
私もピアノが趣味ですが、のんちゃんのように小さい時はやっぱりおもちゃのピアノから入って、本物のピアノを5歳の誕生日に買ってもらいました。
でもバイエルは全然好きになれず、小学校高学年までは外遊びの方が好きでした。
私も子供の頃、同じピアノの先生に習っていた、お姉さんがショパンの『幻想即興曲』を弾くのを聞いた時、初めて、ピアノを聞いて、涙がこぼれたのはよく覚えています。
中学でバッハを弾かせてもらえるようになってからピアノが大好きになり、学校から帰ってきて日に4時間弾くこともありました。
懐かしい思い出です。 -
いせひでこさんの絵は、いつも優しくてゆるやかで繊細で哀愁がある。
今回のピアノは特に切なさも感じた。
新しい家に引っ越したのんちゃんは、おかあさんが仕事に出かけた後、お留守番。
クローゼットの中の箱を開けると5さいの誕生日におとうさんが買ってくれたトイピアノが…
ならない音があって、ひかなくなったことを思い出したけど「カノン」を弾いてみた。
どこからか、のんちゃんと同じ「カノン」のメロディが聞こえてきて…。
その音を追いかけるように外へ出て。
おじいさんが弾くピアノに導かれるようにお屋敷に入っていき…。
おじいさんとのんちゃんの2人の時間。
それはとても幸せな時間といえようか…。
心がしんとなる、まるで天からおりてくるような音楽を聞いて、のんちゃんのほほを涙が流れる。
「ピアノの中には、オーケストラがはいってるんだって」とおかあさんに伝えたのんちゃん。
もうおじいさんには会えないだろうと思っていて、そのひとことだけしかおかあさんには話さなかったのんちゃんの気持ちがなんとも言えず切なくなる。
ピアノを弾くおじいさんの周りに美しい光が、それは鳥で、シャボンのように弾けるように天使で、一瞬のうちに音のシャワーが。
美しいハーモニーが。
おじいさんの手の動きが美しくて。
絵なのにまるで動いているようで、とても惹きつけられた。
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不思議な世界感のお話だったなぁ。
おじいさんは実在していたのか、お父さんはなぜいないのか、壊れていたピアノが直ったのは何故なのか。
不思議だけど、なんだか温かいお話。
おじいさんが弾いていたモーツァルト、音の形がビー玉だったり鳥だったり。なんの曲だったんだろう。
知りたいな。 -
色使いがらとても印象的な綺麗な絵本でした。特に藍色や、ピアノの黒っぽいけれど少しずつ変化のある色に、思わず見惚れてしまいました。
出てくる曲は「カノン」。パッヘルベルの有名なカノンなのかな?のんちゃんが、お父さんとの思い出が詰まった「カノン」をトイピアノを弾いていると、どこかからのんちゃんの旋律を追いかけるようなピアノの音が聞こえてきます。カノンでかけあいをしてくれているのです。その音の方へ引き寄せられていくかのんちゃん…
「ピアノの中には、オーケストラがはいっているんだよ」というページの挿絵は、是非ともピアノを練習している子どもたちに見せたいです。
今度、読み聞かせをしようと思います。
こんな素敵な絵がついていたら、みんな夢中になること間違いなしです。
電子音や騒音で溢れかえっている世界で、人はどんどん音に鈍感になっていっているように感じます。いせひでこさんが絵で表現してくださっている綺麗な音の世界を、一人でも多くの子どもたちがキャッチしてくれるといいなと思います。 -
5歳ののんちゃんは、お母さんといっしょにとなり町から引っ越してくる。
家の隣には大きな森のような、木々の生い茂った場所がある。
ある日、お母さんは仕事に行かなければならないため、のんちゃんはひとり留守番をすることに。
2階の段ボール箱の中に何かおもしろいものは入っていないか探していたところ、クローゼットにかつてお父さんが買ってくれたトイピアノを見つける。
そのお父さんはもういないらしい。しかもそのトイピアノの「ラ」の音が鳴らない。まるでお父さんの不在を象徴するかのように。
ヴァイオリン弾きだったお父さんが教えてくれたカノンをのんちゃんがトイピアノで弾いていると、それに合わせて外からピアノの音が聞こえてくる。
のんちゃんがその音を辿っていくと、どうも森の方から聞こえてくるようだ。
おそるおそる森の奥へ進んでいくと、そこには古いお屋敷があり、そこには燕尾服を着てピアノを弾くおじいさんの姿があったーー
本作は喪失からの回復のきざしを象徴する物語だ。
ラの音が鳴らないトイピアノ。それは小さいけれども重い欠落である。
その欠落を、木々が、モーツァルトの音楽が、「ほんものの」ピアノの音色が、圧倒的な包容力でもってのんちゃんを包み込む。
重要なのは、のんちゃん自身がその欠落に気がついていないこと。もしかすると欠落ですらないのかもしれない。
けれども、モーツァルトの音楽に涙し、トイピアノのラの音が戻ってくることで、のんちゃんは欠落を埋め合わせる以上のものを手にいれる。 -
ページをめくるとピアノの旋律が聞こえてくる。
優しい色使いだが、落ち着いたどこか物悲しい雰囲気も感じる。
絵と文と、まさにいせひでこさんにしか綴れない世界観。
主人公の今と未来、そしてピアノ弾きの過去、全ての時空に思いを巡らせる物語だ。
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お父さん(バイオリニストらしいですね)との悲しいお別れがあったことが、まず察せられます。のんちゃんの弾く「カノン」に応えて、ピアノを弾いてくれた不思議なお爺さんとの心温まるお話です。モーツァルトの、「もうずっとまえからしっているような、なつかしい気が」する曲と「色とりどりのガラス玉が」転がり落ちるような曲、最後の「心がしんとなる、まるで天からおりてくるような」曲、何という曲なのでしょうか。分からなくても、聞こえてくるようです。お母さんとピアノを習い始めたのんちゃん、いつか「この曲だったんだ!」と知る日が来るのでしょうね。
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いせひでこさんの絵本は本当に優しい。
ピアノを通じて子どもと隣の家のおじいさんが繋がる、不思議な話。
つぎの曲は、色とりどりのガラス玉が、とつぜん階段からころがりおたなるようにして、はじまりました。
ピアノの中には、オーケストラがはいってるんだよ。
この二つのページのカラフルさがピアノを生で聴いているように感じさせる。
お父さんがいない、母子家庭の話だが、ほんわか温かくなる。素晴らしい! -
ブクログで見かけて、手に取った一冊。
滲みの魅力がいっぱいの美しい絵本。
おじいさんが奏でるピアノの音が、美しい色づかいで表現されていて、うっとりする。
何故(?_?)星を・・・は早かったの。人気本になるって予想なら、一冊はおかしい!
何故(?_?)星を・・・は早かったの。人気本になるって予想なら、一冊はおかしい!
こちらの図書館では、ある程度人数が増えてきてから、蔵書数を増やしていまし。
こちらの図書館では、ある程度人数が増えてきてから、蔵書数を増やしていまし。
96だった、今70番まできた。いつになるか・・・・
星を・・・も冊数増えるかな?
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