あららのはたけ

著者 :
  • 偕成社
4.26
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本棚登録 : 144
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035309505

作品紹介・あらすじ

横浜から山口に引っ越すことになった、小学4年生のえり。ある日、じいちゃんのすすめで、じぶんだけのちいさな畑をはじめることになりました。
そこで出会ったのは、ふまれても飄々と生きる雑草たちや、ももの木のうえから細かな毛を飛ばしてくる〈もものけむし〉、台風のまえの巣づくりで手ぬきをするクモ……都会から地方にやってきた少女の、みずみずしい視点でとらえた自然のすがたを手紙にして、横浜にくらす親友のエミへ送ります。

畑で見聞きしたこと、あたらしい生活のことに加えて、手紙の内容は、横浜の小学校で不登校になってしまった、ふたりの幼なじみ・けんちゃんのことに。部屋にこもってしまったけんちゃんに、ふたりができることとは……。

ふたりの少女の手紙のやりとりをとおして、自然のふしぎと、いじめをとりまく子どもたちの心の動きを繊細に描いた作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 全編、小学生のえりとえみが交わす手紙だけで書かれた作品。
    書簡小説大好きなので嬉しい。
    家族で祖父のところへ移住し、もらった畑で色々と育てたり生き物に遭遇したりすることを綴るえりの言葉が生き生きとしていて、ページから爽やかなな草の香りがしてくるよう。
    二人のやりとりも微笑ましく、思わず頬を緩めながら読んでいたが、引っ越す前の場所で幼なじみだったえりとえみ、そしてここにいない「けんちゃん」に何があったのかが次第に見えてくると胸がギュッとなった。
    終盤のえみの大胆さは、元々の気質だけでなく、離れていてもえりがいるからできたことなんだろうな。
    伸びやかな絵も良かった。

  • 本棚においておいたら、小6の娘が読み、おもしろかった、お母さん読む?と言ってきた。
    畑をつくること作物を育てること その中で試行錯誤しながら考えること、
    友だちのことも考えること
    娘と共有できてよかった。他の子も時期がきたら手にとってみてほしいなと思う。

  • 4.5年。田舎に引っ越してしまったえりと友達のエミの手紙のやり取りを描く。
    李衣さんの可愛い文の語り方に、自然の豆知識がいっぱい含まれている。仲良しで友達想いの2人に心が温かくなる。

  • 小学校中学年~向けの児童書。主人公は小学4年生。

    内容:
    横浜から山口県に引っ越すことになったえり。えりは山口から、横浜の親友&クラスメイトのエミに手紙を送ります。この本は、少女二人の手紙のやりとりを通して物語が進みます。

    じいちゃんのすすめで自分の畑をはじめることになったえり。都会っ子のえりには何もかもがはじめての体験であり、失敗ばかりしますが、次第に夢中になっていきます。一方エミはえりの話を手紙で聞きながら、都会や学校の中で日々考えていることをえりに伝えます。えりは学校に来なくなった2人のクラスメイト「けんちゃん」のことが気がかりでいるようです。


    別々の場所で暮らす少女二人が、手紙の中でたくさんたくさんおしゃべりしながら、畑でぐんぐん育つ野菜たちのように、「自分たちにはなにができるか」を考え、行動する、さわやかな物語。

  • 全編、小学生同士のてがみのやり取りで構成。書簡小説のいいところは余白を想像できるところだと思う。存分に手紙の外側を想像してほしい1冊。

  • よかった~
    村中先生がそのまま語っている声が聞こえそうな物語でした。

  • 図書館本。読売子ども新聞100冊から。これ、良本。何度も言うけど、読売子ども新聞オススメ100冊、いいです。定番本を渡り歩いてきた私にメスを入れてくれてます。いいものはいい。選本について母もまた無知だというこを長女と学ぶ。
    かつて仲良しだった少女とたちの手紙の交流。都会で暮らす少女と田舎に越した少女と。田舎に住む少女は目の前の自然から学んだことを手紙にしたためて、都会に住む少女はそれをネットで検索する。どちらも正解だからこそ、清々しい。
    1人読みの後、私と夫と2回読みきかせをした。どこまで読みきかせしていくかも検討せねば。

  • →「『あららのはたけ』は元気です♫」
    https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/5c99cda6b42f83de19b6ef3f3c645530

  • いじめ事件があった直後に家庭の事情で祖父のいる山口県に引っ越し、祖父からもらった畑で野菜作りをすることになったえり。仲良しのエミに手紙を出す。畑や家族の話を書き綴るが、もう1人の幼なじみのけんちゃんの話はなかなか書けなかった。
    えりとエミの手紙のやり取りを読むうちにいじめ事件のその後がわかってくる。ふたりの「なんとかしなきゃ」の行動が周りの大人や友だちを変えていく。
    いじめを扱っている話だが、陰惨にならずカラッとしている。
    ちょうど探していた蕗味噌の作り方が出ていてよかった。読後、畑をやりたくなる(^^)

  • 質問形式の畑とは・・・自然とは・・・が親切すぎる

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著者プロフィール

ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科教授
児童文学作家・児童文学者
保育園・幼稚園・図書館・児童養護施設・老人保健施設・刑務所など様々な場所で絵本の読みあいを続ける。
『チャーシューの月』(小峰書店)で,日本児童文学者協会賞。
「長期入院児のための絵本の読みあい」(西隆太朗と共同研究)で,日本絵本研究賞。
『あららのはたけ』(偕成社)で, 坪田譲治文学賞。『こくん』(童心社)でJBBY賞。
主な著書に、『感じあう 伝えあう ワークで学ぶ児童文化』『「こどもの本」の創作講座』(以上、金子書房)、『保育をゆたかに絵本でコミュニケーション』(かもがわ出版)、『幼児理解と保育援助』共著(建帛社)など。

「2024年 『立ちあう保育 だから「こぐま」にいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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