風と行く者 (偕成社ワンダーランド)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035405504

作品紹介・あらすじ

つれあいのタンダとともに、久しぶりに草市を訪れたバルサは、若い頃に護衛をつとめ、忘れ得ぬ旅をしたサダン・タラム〈風の楽人〉たち と再会、その危機を救ったことで、再び、旅の護衛を頼まれる。
シャタ〈流水琴〉を奏で、異界への道を開くことができるサダン・タラム〈風の楽人〉の頭は、しかし、ある事情から、密かに狙われていたのだった。ジグロの娘かもしれぬ、この若き頭を守って、ロタへと旅立つバルサ。
草原に響く〈風の楽人〉の歌に誘われて、バルサの心に過去と今とが交叉するとき、ロタ北部の歴史の闇に隠されていた秘密が、危険な刃となってよみがえる。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの守り人シリーズ。
    先日作者のデビュー作を読んだ。
    その直後だというせいもあるけど、物語に流れる空気感が全然違っていて、なんだかどっしりと落ち着いた、
    成熟した雰囲気。
    やっぱりいいなぁ、と改めて思った。
    これは登場している大人たちの描かれ方によるものかな。
    若いもの、幼いものに対する姿勢や接し方があたたかく、
    それでいて毅然としている。

    いくつか残っている守り人の番外編も読んでみよう。

  • 守り人バルサの物語自体も懐かしいが、幼きバルサがジグロと共に風の楽人の護衛旅をしていた頃のスピンオフ。当時から十分鍛えられていたが血気盛んな部分もあり、これまでの旅とも比較してみるとまた新鮮。それから、ジグロかっこいいなぁ。
    316冊目読了。

  • 一番印象に残っているシーンは、ジグロとバルサが、サリを殺そうとした人たちと戦っているところ。バルサが失敗したら、ジグロが死んでしまうから、すごく緊張した。今まではチャグムの目で読んでいたけど、今回はバルサになっていた。

    ジグロがバルサのことを考えてくれているけど、かわいがるだけではなく、バルサが将来困らないように考えて、バルサに護衛士の仕事のやり方や考え方を教えてくれた。

    バルサが追ってきた王の槍のナルークと戦おうとしたときに、ジグロがバルサのことをなぐったのも忘れられない。本当はなぐるのもなぐられるのも嫌だけど、かなわない相手に向かっていってはいけないと教えたんだと思う。それから、ジグロはナルークのことを強いと思っていたし、きっと好きだった。ナルークにバルサを殺させたくなかったんじゃないか。

    人は誰かに守られて大きくなって、その人も守る人になるというくり返しなのかもしれない。ぼくも、今は家族に守られているけど、大きくなったら守人になりたい。

    サダン・タラムのメンバーは、いい人が多い。中でも、若いし経験がないエオナががんばっていたのは、応援したくなった。

    過去と現在が行ったりきたりする文章は、最初迷っちゃったけど、途中から大丈夫なって、どんどん読めた。(小6)

  • 素晴らしかった・・・。約5時間、一気読み。

    バルサとジグロの険しい旅の物語に惹きつけられながら、そこに絡まる二氏族の確執と融和の物語が深い。
    拗れに拗れている隣り合う氏族。支配関係とも違うからこそ、根深く陰湿な感情が取り巻いてしまう。
    社会に生きる人の感情は本当に複雑で、やっかいなものだ。
    この背景の深さとそこに生きる人の思い、その両方を描くことができるからこそ、上橋作品は特別なのだと思う。

    そして、同じく一筋縄ではいかない父娘関係の二人。
    バルサとジグロの苦悩と信頼には、何度も心が揺さぶられる。特に、ナルークか現れてからの一連のシーンは出色。

    若いバルサを描きながら今のバルサ視点があるからこそ、ルミナとエオナの成長が際立ってくるし、二氏族の融和にも説得力が出てくる。

    そして、タンダの元に戻るバルサ。最高のラストシーン。

  • 久しぶりすぎる守り人シリーズ。
    懐かしいバルサやタンダのその後、とは言うものの、
    私の好きなタンダは最初と最後に出てくるだけ。
    まぁ確かに、
    タンダには、旅より青霧山脈の懐に抱かれるあのお家で山菜鍋を作っている姿のほうが似合う。

    薬草市に出かけたバルサとタンダは、そこで旅芸人の一座に出会う。
    彼女らは、バルサがまだ10代のころ、ジグロと旅をしていたころに出会った人たちだった。
    そのお頭が(世代交代をしているのにも関わらず)再び命を狙われていることを知ったバルサは、鎮魂の旅を続ける彼女らの護衛として、旅に出ることになった。
    同じ道筋をたどりながら、
    あの頃は見えなかったジグロをはじめとする大人たちの想いが理解るようになったバルサ。
    人はいつまでも、成長することができるのだということと、
    大人になることで、見えてくるものがあるということを教えてくれる。
    相変わらず、守り人は10代の子どもたちに読ませたい良書だ。

    子どもたちに読ませたいということは、
    読むこちらにも、体力がないと大変だと知りました。

    大人になるってことは、いいことばかりじゃないなぁ(苦笑)

  • 図書館より。

    ようやく読めた!そして泣ける...やっぱり最後には父娘の関係に涙を貰うのか...悔しいけど(笑)、泣けてくる。子ども向けと称して大人が読まないなんて本当にもったない!
    こうしてまた、本っていいなぁとしみじみ思ってしまう一冊に出会えて感動モノ。子どもが大きくなったら絶対読ませたい。ありがとうございました。

  • 大好きなジグロ、タンダ、バルサとの再会が本当にうれしく、新刊を出してくださったことに感謝です。
    ワクワクしながら読みました。
    時を経てからこそわかるジグロの想いにグッときたり。
    また会えるといいなぁも思います。

  • 大変楽しめた。守り人シリーズは異界旅行ものでは本当に秀逸。ビジュアル的で非常に臨場感あり。個人的にジグロのキャラクターが好きなので、今回バルサの若い頃とジグロの話が覗けて嬉しかった。本作はいままでのものよりも、よりいっそう生きるということを考えさせられた。
    「人はみんな、どこか中途半端なまま死ぬもので、大切なことをつたえそこなったな、と思っても、もうつたえられないってことたくさんあるんでしょうが、自分では気づかぬうちにつたえていることも、あるのかもしれない。」
    このシリーズも『精霊の守り人』が新聞の某読書欄にレビューが載っていたのを読んで手に取ったのがスタートだった。某新聞(購読していない)のレビューは今まで3回しか目を通しておらず、百発百中状態(笑)、この『精霊の守り人』、『狼と香辛料』『十二国記』この3シリーズ。

  • シリーズの最後まで読み終わった。
    ジクロとバルサが昔出会ったサダン・タラムと言う旅芸人達に大人になったバルサが再び出会い、過去と現在の話が交互に進んでいく。

    面白くない訳ではないが本編からすると見劣りする。
    ジクロのことが知れるのが楽しみだったのだが、あんまり知らない方が魅力的な人物だったかもしれない。単なる良い人だからかも…



  • 久しぶりに読んだ守り人シリーズの外伝。
    「天と地の守り人」の後の話です。
    バルサや全ての登場人物の背負っているものの重さや覚悟、ゆるゆる生きてる私には感じられないような世界に引き込まれます。それでも重くなりすぎないのは、美しい風景や魅力的な食事の緻密な描写があってこそなのかなぁ。どの作品も読み始めると止まらなくなる面白さです!

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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