保健室には魔女が必要 (偕成社ノベルフリーク)

著者 :
  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784036492107

作品紹介・あらすじ

主人公は、中学校の保健室の先生にして魔女。自分が考案する「おまじない」を流通させ、もっとも定着させた魔女が選ばれる七魔女決定戦に参加している。今日も魔女は、保健室にやってくる生徒たちの悩みをきき、それを解決する「おまじない」を授ける。悩みによりそう短編集。

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 わたしは魔女だ。
 保健室の先生でもある。
 雄花市にある唯一の公立中学校で、二年前から働いている。
 わたしが勤務している雄花第一中学校には、一年生が四十一人、二年生が六十人、三年生が五十二人、あわせて百五十三人の生徒が在学中だ。
 どの子も素直で、礼儀正しくて、目に入れても痛くないほどにかわいい-−−わけがない。
 保健室に通ってくる子たちは、基本的に一筋縄ではいかない子が多い。ひねくれ者だったり、ろくにあいさつもしない子だったり、なにが理由で保健室にきたのかすら伝えられない子もいる。もちろん、無防備で甘えん坊な子も少なくない。それでも、どこかさみしそうな顔をしているのだ。
 そういう子たちは、なにかをだれかに話したいから保健室にくるのだろう、と考えて、わたしは根気よく、彼らの話をきく。
 江口マリエの場合は、こんな話だった。(本文より)
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感想・レビュー・書評

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  • 保健室には魔女が必要 | 偕成社 | 児童書出版社
    https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784036492107

  • #保健室には魔女が必要
    #石川宏千花
    #偕成社
    #YA
    #読了
    いい意味で予想を裏切る面白い物語でした。アクションシーンあり、学校のシーンあり。どこか達観した魔女である保健室の先生と未完成な中学生のやりとりが面白い。続編があったら読みたい。 中学校の図書館に是非置いてほしい一冊。

  • 中学保健室の先生、弓浜民生(みんちゃん)は本物の魔女。でも、魔法で色々ごまかして、人として生活している。七魔女の空きが出て、おまじないを多く定着させた魔女が選ばれるため、魔女たちはおまじないの普及に努めている。みんちゃん先生も生徒の悩みに寄り添ったおまじないを作るが、保健室の先生なので、悩みの本質に寄り添って、時にはおまじないに頼らない解決をします。
    自分の嫌いなところを消したい
    胸を小さくしたい
    お母さんにひどいことを言わなくなりたい
    目を大きくしたい
    特別な人になりたい
    嫌いな人を不幸にしたい
    小学校高学年から大丈夫な内容なのですが、この本に限らず石川宏千花の本は、小学生だと消化するのが難しいんじゃないかなぁ、というテーマが混ざっていることが多い気がします。

  • どうも違うよなぁ、と思うことがあった。いじめに類することがあったときに、同レベルになるから放っておけというヤツだ。泣き寝入りと紙一重のその方法が、功を奏したところを少なくとも私は知らない。やり過ごすための命綱にはなったとしても、解決には到らない。
    この物語の魔女がそこに答えをくれた。
    その情報を冷静に伝えて、広く話題の俎上にのせればよいのだ。その行動の後ろの妬み嫉みに気づくよう、ハンドリングすればよいのだ。
    そんなことを考えさせてくれる本だった。

  • 学校にはおまじないが必要、保健室には魔女が必要…。おもしろい考えだな。悩んだとき、苦しいときに頼るものとして、おまじないは決して悪いものではないんだなぁと感じた。
    ミンちゃん先生の魔女としての力と保健室の先生としての力がいい感じに使い分けられていて、かっこよかった。ただおまじないを流通させればいいんじゃなくて、使わないという選択肢を選ぶところが良いなぁと思った。

  • 中学校の保健室のみんちゃん先生の本当の姿は魔女!
    彼女は七魔女決定戦に参戦中!
    ルールはおまじないの定着率が高いものの勝ち!
    日々、保健室で中学生の悩みに合ったおまじないを考案しては薦めている。時にはおまじないでは解決しない悩みも。それは保健室の先生として向き合います。
    さぁ今日はどんなお悩みがやってくるのかな?
    読み終えると保健室のには魔女が必要と誰もが思うはず。

  • 主人公は、中学校の保健室の先生にして魔女。
    自分が考案する「おまじない」を流通させ、もっとも定着させた魔女が選ばれる七魔女決定戦に参加している。
    今日も魔女は、保健室にやってくる生徒たちの悩みをきき、それを解決する「おまじない」を授ける。悩みによりそう短編集。



    ヤングアダルト文庫なのか薄くてあっという間に読めてしまう分量だった。そして、ちゃんとあらすじを読んでいなかったのか、「あ、本当に魔女だったんだ?」ってなった。


    中学校の養護教諭をやっている主人公の魔女。この年頃っていろんなことに悩んだりして、誰かに話を聞いて欲しくて、でも親や友達や先生ではない人に聞いてほしい。保健室の先生ってそれに該当するよなぁって思った。学校の先生だけど学校の先生ではない感じ。成績とか内申とかそういうのから離れてる先生。そんなかんじ。


    この話の中にも出てくる生徒たちも思春期ならでは悩みだったり、セクハラや見た目で悩んでいる子だったりとなかなか複雑。「特別な人になりたい」子の話は、なんだか今どきなかんじがした。インスタやXでのフォロワーが多いほうがいいし、彼女が上げた職業もとにかく目立つ職業だった。そういう職業って「普通じゃない」「特別な人」だもんなぁ。でも、大人になって気がつくことは、特別じゃない仕事をしている人が大勢で、特別な人はほんの一握りで椅子取りゲームがすごいってこと。


    最後の話も「ずるい」といって、とにかく不幸になればいいって言っていた子。でも、主人公と会話をするにつれ、自分の想像力が足りなかったことや「嫉妬」だったことに気がついて良かった。先生があったストーカー事件もそうだけど、「相手のことを知らないくせに、攻撃してくる人たち」ってたくさんいるしなぁ。あの子がちゃんと気づけて良かったよ。


    内容的には、中学生向けな感じだったけど、なかなか面白かったし、大人になった今でも「気を付けないとな…」と思うところはあった。そして、この先生と先生のライバルの「先生」がカッコ良すぎた。



    2024.4.21 読了

  • 中学校の保健室の先生が、実は魔女で、保健室にやってくる生徒たちの悩みに応えて“おまじない”を授ける……設定が面白いなと思った。
    保健室の先生は、いつも一緒にいる担任の先生とかとは違う、別格な存在だと感じる。濃密な関係のない立場から客観的な意見を言えるからだろうか。
    「自分のきらいなところが消えてなくなるおまじない」とか「お母さんにひどいことをいわなくなるおまじない」などの思春期特有の悩みだけでなく、ストーカー被害やセクハラ被害など重たい問題も描かれているところなど興味深かった。生徒の抱える悩みへの主人公の捉え方に一本芯の強さを感じた。

  • タイトルについて比喩的な意味なんだろうなぁと思っていたら、リアル魔女。魔女が保健室の先生をしている。中学生の悩みをおまじないで解決。

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著者プロフィール

『ユリエルとグレン』で第48回講談社児童文学新人賞佳作、日本児童文学者協会新人賞受賞。おもな作品に「お面屋たまよし」シリーズ、「死神うどんカフェ1号店」シリーズ、『メイド イン 十四歳』(以上、講談社)『墓守りのレオ』(小学館)など。「少年Nの長い長い旅」(YA! ENTERTAINMENT)と「少年Nのいない世界」(講談社タイガ)両シリーズを同時刊行して話題となった。『拝啓 パンクスノットデッドさま』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞を受賞。

「2023年 『化け之島初恋さがし三つ巴 2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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