ステイホーム

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 107
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784037274603

作品紹介・あらすじ

家にいるほうが、ずっと自由に思えた

全国一斉休校となった日、
小学5年生のるるこは、ひとしれず、ほっとしていた。
<でも、そんなふうに思っていいのかな。>

休校一日目は、母の会社に行き、同僚の連れてきたちょっと変わった姉妹と過ごし、翌日からはしばらくぶりに家に戻ってきた母の姉、聖子と、古い家の片付けとリノベーションにとりくむことになる。
自分の居場所を心地よくしていくステイホームの毎日が、いい子でいなくちゃと思っていた、るるこの心を少しずつほぐしていく。

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「まあ、そうだね、楽しくはないよ。でも言ってらんないじゃん、好きとかきらいとか楽しくないとか。どっちみち、行かなきゃいけないものなんだし。」
「それにしたって、自分の正直な気持ちは、知っておくほうがいいに決まってるよ。きらいなものはきらいって、はっきり自覚しておかないと、逃げるチャンスがあらわれたとき、一瞬でつかめないでしょ?」
(本文より)
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感想・レビュー・書評

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  • 「ぼくらは、まだ少し期待している 」を書いた木地雅映子 さんの児童書です。
    衝撃を受けました。何故?
    じっくり考えてみてようやく言葉が見つかりました。
    綺麗事をすべて取っ払った作品です。
    特に児童書だと、理想や建前が含まれがちなのですが、この作品には清々しいほどにありませんでした。
    ぶっちゃけの児童書。オススメです。

    • workmaさん
      ブラリーさんへ
      読んでみたくなりました♡
      ブラリーさんへ
      読んでみたくなりました♡
      2023/11/19
    • ブラリーさん
      workmaさんの感想が知りたいです!
      workmaさんの感想が知りたいです!
      2023/11/24
  • コロナ禍の休校をひそかに歓迎した主人公が、ステイホームで得たものとは?(斎藤 環・評) | Kaisei web | 偕成社のウェブマガジン
    https://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/a/review/2306review/

    ふるえるとり | POTOFU
    https://potofu.me/torikaworks

    ステイホーム | 偕成社 | 児童書出版社
    https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784037274603

  • 私はこの本を読んだ時、3年前のコロナ禍のことを思い出しました。友達のみんなとは会えず、まだ知らない、行ったことのないお母さんの会社に行き、暇、暇、暇という日がとても長く続いたことをよく覚えています。この本は私の辛い辛い思いを思い出させてくれた本です。

  • この世で最も10代を正確に描写する作家を一人知ってる。
    その人が木地雅映子だ。

    色んな人に読んでほしいし、色んな人の目にこの本が届いてほしい。
    特に、「自分の正直な気持ちがわからなくなった人」には。

  • 電子書籍で読了。
    コロナ化で全国一斉休校になった時の小学5年生、るるこちゃんのお話です。

    一斉休校になった時、
    「そういえばこんなこと思ったなぁ」などなど、思い出しながら読めました。
    るるこちゃん、私とあまり年が変わらないのに考え方が大人びていて尊敬。
    伯母の聖子さんの豪快さと考え方も読んでいてすっきりしました。
    リノベーションしている描写も好き。
    かんなちゃんりんちゃん姉妹、豊丸さんは結局どうなったのかわからないのが残念かなぁと。
    もう少し詳しく書かれていた方がすっきりしたような気がします。
    自分で予想しなってことかな?

    コロナ時代を経験したからこそ、得るものがあるのかなぁと感じた本です。オススメです。

  • コロナ禍で一斉休校になった年、お母さんと二人暮らしの5年生のるるこのもとに、久しく会っていなかった伯母の聖子さんが転がり込んできた。ミニマリストで家のリフォームを仕事にしている聖子さんと、祖父母の古い家をリノベーションし始める事になる。
    勉強は好きだけど、学校になじめないるるこ。母親の勤務先に現れた親からネグレクトされている姉妹もからんで、ステイホーム中のるるこの成長を描く。

  • コロナ禍は子供たちの心におおきな大きな影を落としたと思う。いつかこんな時代もあったんだよと振り返られるのだろうか。よい本でした。

  • 勉強は好きだけど、学校には行きたくない。うるさい子や意地悪な子、それを見過ごす教師、そんなあれこれがストレスで、静かに勉強したいるるこは、コロナ休校で気持ちが楽になる。でも、働いている母の負担になっていることも自覚していて、休みは嬉しいけど、素直に喜べない…
    そんな思慮深くて優しいるるこが、突然実家に帰ってきた伯母の聖子さんと一緒に、古い家のリノベーションに取りかかる。
    澱んでいた空間を一掃して、どんどん魅力的な空間に変えていってしまう聖子さんの働きっぷりが気持ちいい。
    親に放置されている姉妹や、勝手に住所を調べ上げて姉妹をるるこの母に預けてしまう同僚、祖父との別れなど、心が痛くなる出来事もあるけれど、聖子さんの根っからの明るさと、芯のある行動力から、どんな問題も真っ向から向き合えるような勇気をもらえる。優しいるるこの成長も見られて、清々しい読後感。
    現状に不安や焦りを感じている人に、ぜひ読んでもらいたい。きっと、いまを生きることが怖くなくなるから。

  • この主人公の女の子の気持ち、よくわかります。
    学校なんて意味あるの?
    家で一人でも勉強できるし。

    それと、素敵なおばさん!
    リフォームもわくわくするし、DIYの達人なんてあこがれます!

    自分に子どもがいるので、ステイホームで子どもだけを家に置いておくのが困る気持ちよくわかります。
    面倒な夫もいなくて、料理と子守りをしてくれる妹とお利口な娘がいて、いい生活だなーって思いました。

  • 児童書と侮るなかれ、これがなかなか面白い。

    主人公は小学5年生のるるこ。
    学校生活を楽しいと思えないるるこにとってコロナの全国一斉休校は、むしろ歓迎すべき出来事だった。

    不謹慎さを感じていたるるこだったが、母の姉・聖子の出現で生活が一変する。

    聖子と共に物で溢れかえっていた古い家のリノベーションに取り組むるるこ。
    庭で伸び放題になっていた木々が剪定され、家の中が見違えるように綺麗になっていく過程が爽快。

    居場所が整い、るるこの強張っていた四肢が解放され、柔らかに変化した姿が嬉しい。

    思春期の心の揺れを繊細に描いた作品。

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著者プロフィール

1971年石川県生まれ。作家。
日本大学芸術学部演劇学科卒業。1993年「氷の海のガレオン」(群像新人文学賞優秀作)でデビュー。作品に『ねこの小児科医ローベルト』『悦楽の園』「マイナークラブハウス」シリーズ、『あたたかい水の出るところ』『夢界拾遺物語』『ぼくらは、まだ少し期待している』などがある。

「2023年 『ステイホーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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