からすたろう

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 576
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (35ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039600400

感想・レビュー・書評

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  • 誰に何を言われても黙々とただ自分の好きな事を見つけ、希望を見失わず、淡々と日々を生きていく。
    そして素敵な先生との出会いで周囲からの見る目が変わる。
    素敵な本だった。

  • おなじ男の子を、“おかしな”男の子と捉える人、勉強だけではないその子が得意なことをしっかり捉える人。
    先生になろうという方には、特に開いてほしい1冊。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    ちびで、先生を怖がり何も覚えられなくなってしまった少年。
    クラスにも馴染めないちび少年だったが、それでも毎日毎日休まずに登校してきた。

    そして六年生になったとき、ちびはある人と出会った…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    クラスに馴染めない、バカにされ、仲間はずれにされているちび。
    先生との相性もあわず勉強もできないのに、なぜ毎日登校し続けたのでしょう?
    前半を読んで、誰も自分がいると認めてくれないこんな環境なら、わたしだったら、登校をやめてしまうなあと思いました。

    でもちびの六年生のときの先生は、ちびのことをちゃんと見ていてくれました。
    勉強だけではない、ちびの良さに気づき、それをまわりに見せる工夫をしてくれます。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    子どもだろうとオトナだろうと、人はひとりひとり、才能をもっています。
    でもその才能は、合わないものさしでははかれません。
    自分のもっているものさしで、相手をはかろうとし続けると、相手の良さを見つけられないままです。
    それよりも、自分のものさしを捨て、いろんな角度から相手を見ることが、大事なのだと思いました。

    これは学校に通い続ければ、理解してくれる人がきっと現れるよ…という本ではなく、どんな人と合うかが自分の人生において、とても大事な分岐点となるのだということを教えてくれる絵本です。

  • 日本で出版される24年前にアメリカで出版され、ずいぶん前にそちらを入手して読んだ。漸く日本語版を見つけ我が家に迎えた。数年ぶりで読み、人と人との出会いが、その後の人生を大きく左右することを改めて感じながら、確かに難しさを覚えるが、関わる人の人格を受け止める姿勢を持ち続けることの大切さと意義を教えられた。

    みんなと違うということで弾かれたり、弾くのは簡単に行われる世の中。昔も今も変わらない日常の情景。そんな中でも休まず学校に通い続ける“ちび”を動かしたものは…。皆んなの見方を変えたものは…。いろんな方向から今一度読み、自分の今の立ち位置で行動することが出来たらと思う。

  • この話のように、子どもを丸ごと包み込んで理解してくれる人との出会いは奇跡に近い。「教師だから」ではなくその人自身の生き方だからこそ、周りの子どもたち、大人たちに影響したのだと思う。描き手の目線が「からすたろう」であるところに、インパクトがあった。いじめや障がいを正面からとらえている点で、ずっと読み継がれていくだろう。

  • 絵・文 八島太郎 NHK日曜美術館でとりあげられていた。ここにでてくる先生のようになりたかった。タッチも色彩もイマドキではないけれど、絵は温かく、おはなしも素敵なので長く読み継がれているのは納得。

  • この本を読んで感じるのは、作者はどちらの立場から見ているのかということ。話の出だしは、生徒の一人「僕」だ。変わった男の子に対して距離をおき、他の生徒や先生たちと同じく離れてみている。しかし、作者は「ちび」の視点で話を進めていく。仲間はずれになりながら、自分なりに楽しむことを身につけていく。でも心の底までの描写はない。次に新しい先生が登場し、この先生が「ちび」に興味を持って、彼の才能を掘り出していく。それによって周囲の反応も変わっていく。
    少し変わった人への扱いは、昔も今も変わっていない。そして、ちょっとしたきっかけで評価が180°変わる。
    私も最初は「僕」と同じ視点で「ちび」を見た。そしていつのまにか「ちび」の視点になる。仲間はずれになっても毎日学校へ行ったのは、彼なりの楽しみがあったからだが、それはすごいことだと思う。価値基準が人ではないのだ。「ちび」は学校の勉強ではない自然の中で生きた授業を受けていた。勉強以外の価値に気づく先生も素晴らしい。人間は誰と知り合うかによって大きく人生が変わると思う。「ちび」は一言も言葉を発していないが、先生には素直に話をしたのだろう。
    カラスの鳴き真似でみんなを感動させた「ちび」を見て、やはり人間は褒められて自信をつけていくのだと思った。作者の視点は人物の誰かの側ではなく、もっと高いところにあったと思った。

  • 1956 コールデコット賞受賞作品
    「子どもは、認められてほめられて魂が揺り動かされ、どの子も輝いていくのだと思います。その反対が、集団の中で誰にも相手にされず気にもとめてもらえない孤独です。集団の中で意識的にあるいは無意識におこなわれる「無視」という行為こそ、もっとも重たい「いじめ」だと思います。ー子どもの持てる力を伸ばすのも身近にいるおとな、つぶすのもおとなです。ー今子どもたちは、身近な場で仲間と思い切り遊んだり、笑ったりできずに孤独の中に心を閉じているのではないでしょうか。いそべ先生と出会うのを待っている「からすたろう」がそこここにいるのではないでしょうか。」
    (『いじめを考える100冊の本』駒草出版 の紹介より)

    だれにもなじめない「ちび」の6年間。
    いそべ先生は「ちび」の才能に気付く。

  • この”ちびの物語”は、教育とは何かを問うていますね。

    いじめられっこ”ちび”のこころの強さ、美しさを描いてくれた八島太郎先生に敬意を表します。

    こういう道徳的なことって、伝え方が難しいじゃないですか。正論であればあるほど。

    ずっと、ちびがしてもらえなかったこと。
    これまでの先生も、
    クラスメイトたちも見ようとしなかったということ。
    仲間はずれにしていた事実をくつがえした、磯部先生の手腕を描いてくださったことにも、ただただ敬意です。

    アメリカから入ってきた、日本の郷愁をうたう絵本はわたしの大切な1冊になりました。

    教育や子育てにかかわるみなさんへ。

  • この”ちびの物語”は、教育とは何かを問うていますね。

    いじめられっこ”ちび”のこころの強さ、美しさを描いてくれた八島太郎先生に敬意を表します。

    こういう道徳的なことって、伝え方が難しいじゃないですか。正論であればあるほど。

    ずっと、ちびがしてもらえなかったこと。
    これまでの先生も、
    クラスメイトたちも見ようとしなかったということ。
    仲間ハズレにしていた事実をくつがえした、磯部先生の手腕を描いてくださったことにも、ただただ敬意です。

    アメリカから入ってきた、日本の郷愁をうたう絵本はわたしの大切な1冊になりました。

    教育や子育てにかかわるみなさんへ。/AMI

  • これが、本当にあった話だというのだから驚く。彼の才能を見いだした先生や、それを感じ取った当時の人々の感性に乾杯!

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著者プロフィール

八島太郎

「2004年 『トム・ソーヤーの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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