わたしと隣の和菓子さま (富士見L文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 111
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040745664

作品紹介・あらすじ

 母の看病のため、学生らしい時を過ごせてこなかった慶子さんは、高校三年生を目前とした春の朝、ケーキのような甘い匂いに誘われ和菓子屋「寿々喜」に辿り着く。
 店員の青年に招かれ店内に入ると、出されたのは小さな“どら焼き”。そう、あの香りの正体はケーキではなく“和菓子”だったのだ。
 和菓子の魅力に惹かれ、お店に通い始める慶子さん。だが、進級後の新しいクラスで、慶子さんの隣の席になったのは、なんとあの和菓子屋の店員さんで……!?
 四季折々の和菓子と、ほんのり甘くじんわり優しい恋物語をどうぞ。

感想・レビュー・書評

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  • 高校生活最後の一年間に詰め込まれた慶子さんと「和菓子さま」の和菓子と青春、そして恋の物語。
    地の文でのキャラクター名が全て「さん」「君」付けに作者さまの優しさが滲み出ている気がした。
    (かといって、ですます体でもないので、くどさはなくて読みやすい)

    家庭の都合で、高校三年間のうちの二年間、青春らしい青春を経験できなかった慶子さん。
    「和菓子さま」との出会いから、諸々丸め込まれて、高校三年になってから剣道部に所属することに。
    幸いエスカレーター式の学校なので、外部受験をしなければ、今からでも受験勉強をせず部活動に専念できる環境。
    青春の遅れを取り戻すべく、慶子さんは部活動にのめり込んでいく。
    タイトルや帯からは和菓子と恋の物語と想像していたら、結構部活動のシーンにも重きが置かれていたことに驚いた。
    原題に「剣士さま」とありますしね。
    なるほど。

    勿論、和菓子のエピソードも豊富。
    話がひと月毎にエピソードが区切られていて、その月に出会える和菓子が多数登場。
    和菓子は名前を付けられて初めて完成するという話が特に印象的だった。
    見た目の美しさもさることながら、素敵なお名前ついた和菓子は確かに多い。
    また、異色の経歴を持つ和菓子さまのお祖父さまも素敵だった。

    二人の両片想いのもどかしさも見どころ。
    慶子さんはどうも可愛らしい外見や人の良さもあってもてるようだが、全く自覚がない。
    そもそも恋どころではない家庭状況だったから、自覚がもてなかったのは致し方ないとして。
    和菓子さまは和菓子さまで、結構ややこしい境遇、かつ後程慶子さんと(一方的な)繋がりがあったことも分かり、それ以上容易に踏み出せないという。
    その割に、外堀埋めるのは早かったし、豪速球の牽制球投げてたけども。
    最終兵器、親同士が仲がいい関係……和菓子さま、恐ろしい子。

    もだもだした割に、最後の最後でひよる和菓子さま。
    卒業式に彼が望んだただ一つのこととは。
    何故あんな控えめな望みでよかったのか、補完はWEB版にて。

    一年引きずった恋の行方、その答えは一足飛びのエピローグに。
    高校生活の最後は控えめでも、最後の最後で幸せいっぱいなところを見せてくれる二人。
    いい未来を見せてくれたことに感謝を。
    ありがとう、これからもいいお店にしていってくれ。

  • 主人公を「慶子さん」と書いてあることに、まずビックリしました。他の小説だとだいたい呼び捨てか、主人公目線なので「私」とかなんですが…
    でも、「慶子さん」と呼ばれるのに納得するほど純粋な女子高生でした!
    まさか、この子が剣道部?と意外な組み合わせですが、この組み合わせがいいんですよね!

    高校生活最後の1年間が描かれていて、とても濃厚な1年間でした!
    初めての出会い、恋にキュンキュンしたり…
    恋に気づくのは最後の方ですが…
    登場する和菓子もどれも美味しそうで、実際に食べたくなりますね!

  • 最初の感じは『耳をすませば』みたいですね。
    地球屋を発見した雫ちゃんと、地球屋のお孫さん聖司くんが同級生。

    主人公に「さん」付けって初めてかもしれない。
    どうにもその点が慣れなくて、入り込みにくい部分がありましたが、それが似合うような可愛らしい慶子さん。
    こんな天然で純粋な子、実際には存在しないんじゃないかなと思うくらい。

    和菓子の解説も多く、和菓子が食べたくなります。
    慶子さんと和菓子さまの恋愛模様がもどかしく、ゆっくりとした進みで可愛かったですが、ラストが急な駆け足というか、展開が飛んでいたのが残念でした。

    映像化したらおもしろそう。

  • 慶子さんが純真で素直で可愛い。慶子さんと語られる三人称も、仄かなでも甘やかな恋も凄く合っていて、全体的にほっこりする内容。和菓子も剣道も全力で、真正面から楽しんで向き合っていて素敵だなと思います。

  • なんとも言えない、むずむずするような可愛らしさ。
    慶子さんも和菓子さまもすごく筋の通ったふたりで、時に頑固かとも思えるような一途さがあります。
    ふらりと立ち寄れる路面店の和菓子屋さんがあるというのもとても羨ましい。(私の地元の和菓子屋さんは後継者が居なくてお店を畳まれたので)

    四季折々の和菓子たちやその意味、知らなかったことも沢山あって、和菓子により興味が湧きました。

  • Web小説が10年を経て文庫化!読書を始めた今出会えて良かったと心から思う。 ある日、図書館の帰り道にきまぐれにいつもとは違う道を歩いてみることに。主人公の女子高生の慶子さんはケーキのような甘い香りに導かれ和菓子屋へ。男性店員にドキドキしながらも説明を受け商品前の和菓子をご馳走になる。高校三年生の春、和菓子屋で知り合った店員は同じクラスになった同級生で席が隣になったことを知り…和菓子と巡る青春と恋の一年が丁寧に描かれています。坂木司さんの和菓子のアンが好きな方ならこちらの作品も大好きになるはず!

  • 慶子ちゃんがめっちゃええこなんや…。でも、卒業から結婚までがバッサリとんでいたのでちょっと残念。

  • 主人公の記載が「慶子さん」。えっ?という感じだったけど、本当にそんな感じのいい子です。師匠からあんこを受け取るところところ、千羽鶴のことについて鈴木君に語るところとかにも、彼女の性格が表れていて、良かったです。周囲のみんなから愛されるし、もう、最初から和菓子屋さんの若女将確定な感じ。常盤さんについていった告白現場のエピソードも驚いたけど、最後になって和菓子さまが、初めて名前呼ばれたとつぶやいたのも驚きました。。普通、そっちの意味じゃないよね。まだまだ二人のことを読み足りないです。。

  • そこまで純粋培養がいるのか

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