知らないと恥をかく世界の大問題8 自国ファーストの行き着く先 (角川新書)
- KADOKAWA (2017年7月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784040821153
作品紹介・あらすじ
池上彰の「知らないと恥をかく世界の大問題」(知ら恥)シリーズの第8弾。
2016年は、6月のイギリスEU離脱決定からトランプ大統領誕生まで、「自国ファースト」「反グローバル」「世界分断」の大きな流れが世界を包んだ。
この流れのまま、2017年の世界はどうなっていくのか?
右派勢力の台頭が気になる欧州での選挙、第5次中東戦争のリスクの高まり、北朝鮮の暴走……など、大衝突の種が世界中に転がっている。世界秩序が再び崩れていくのか? 重要な一年となるだろう。
トランプ現象によって、世界の大問題がよりクリアになり、そしてそのニュースに多くの人が関心をもった。世界が抱える大問題に真剣に向き合い、いかに行動するかを考える――、そのよいきっかけにしなければいけない。
“世界のニュースの入門書”として定着した「知らないと恥をかく世界の大問題」シリーズが伝える世界の今。あふれる情報の中から、いかに本質を見抜くのか。考えるヒントを、最新ニュースを題材に語る。
感想・レビュー・書評
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このシリーズは毎年1冊ずつ出ているようで、最新刊を初めて読んだときに、とても面白かったので過去のものも知りたいと思い購入。
大筋は同じような話ではあったが、少しずつ時代に合わせて変更されていおり、時代を読むのにとても勉強になった。
内容以上に最後の池上さんの言葉が心に残った。
「議論をすることの効用は、知識の多さを競ったり、相手を論破したりすることではありません。互いに違いを認め、尊重し合うことではないかと考えます」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「自国ファースト」に終始した第8弾。ブレグジットやトランプの仕事ぶり等がメインテーマ。読みやすいのだが、他国の政党の話などあまり興味が持てない話題には入り込めなかった。行き過ぎた経済格差や教育格差は早急に是正されてほしい。日本はどんどん貧しい国になっていき、明るい未来が見えないと思うのは気のせいだろうか。世界一貧しい大統領のホセ・ムヒカ氏に興味が出てきたので関連書籍を探してみよう。
気づけばunlimited対象期間が終了していたので、続編は大人しく待つか図書館かな。 -
シリア…ロシアが支援するアサド政権vsアメリカ・トルコ・NATOが支援する反政府勢力vsイスラム国の代理戦争状態。
しかし、トランプ政権になるや、シリアはロシアに任せればいいと発言、トランプとプーチンが仲良くなる
民主社会主義...投票で代表を選び、その代表が社会福祉を充実させる(要は大きな政府・福祉国家)こと。サンダース(ヒラリーに敗れた候補者)はこれを目指した
かたや、トランプはグローバリズムそのものを否定し、自国第一主義を掲げた
トランプの娘と義理の息子はユダヤ教徒・米のエリート層もユダヤ人が多い→米大使館をエルサレム(3宗教の聖地)に移転、ユダヤ教徒は喜ぶものの、パレスチナ人(アラブ人)はガチギレ。その後も、いずれパレスチナを国として独立させると言っておきながら、どんどんユダヤ人が入植し、イスラエルの陣地を広げてきている
トランプは人々の怒りの矛先をエスタブリッシュメント(既存の権力者)へ向けさせた
しかし、実態は投資市場における金融緩和策や全ての層の法人税の引き下げなど、金持ち優遇の政策をしている?
【イギリスがブレクジットした要因】
①ユーロ危機による負担金の増加
②移民受け入れの負担
③EUからの出稼ぎ労働者によって雇用が奪われ、社会保障もただ乗りされる
もともといたケルト人を、大陸から来たゲルマン人(アングロ・サクソン)がウェールズとスコットランドにおいやって、今のイギリスができた
スコットランドにとっては、イギリスから独立&EUに残れば、北海油田は獲れるし、金融の中心街が移動する可能性もありうまみ
また、北アイルランドは、もともとカトリックが住んでいたが、グレート・ブリテン島からプロテスタントが移住してきた。以前からアイルランドに住んでいたカトリック系は、アイルランドと一緒になりたい。
→長年カトリックvsプロテスタントの宗教戦争をしている
その後のブレクジット投票で、プロテスは離脱を、カトリックは残留を支持。→イギリスがEU離脱すると、この間が自由に行き来できなくなる可能性
その他ヨーロッパでは極右派・自国第一主義派が台頭。世界が分断の危機に瀕している
シェンゲン協定...EU加盟国相互の出入国審査を省略すること。EUは入ってるのに協定を結んでいない国(イギリスなど)もあれば、EUに入ってないのに協定を結んでいる国(スイスなど)もある。
トルコは近代化政策を進めてきたが、エルドアンが大統領になった途端独裁政権化。イスラム主義を推し進める。その一方で、ロシアのパイプラインがウクライナを通っており、それをトルコへと経由したい→プーチンがトルコに急接近
イスラエル建国後、気にくわないアラブ連合軍がイスラエルを攻撃、第1次中東戦争勃発。ガザ地区とヨルダン川西岸地区を奪取、アラブ人が住むようになる→パレスチナ自治区の母体
第2次中東戦争は、エジプトがスエズ運河を国有化しようとし、イギリスとフランスが阻止しようとしたが失敗した。
第3次は、周りのアラブ国家がイスラエルを攻撃しようと狙っているところを、イスラエルが先制攻撃、ガザ地区とヨルダン川西岸地区を奪還。エルサレムも占領。
第4次は、ユダヤ人の贖罪の日(10月6日)であり、国民全員お休み。そこをアラブ軍が狙う。イスラエルは押し返す
この戦いの後、世界がイスラエルとパレスチナの和平に向けて動き出す→オスロ合意
安倍政権の強力な支持母体→日本会議
教育基本法の改正や憲法改正などの後押しをしている
自衛隊がPKOに派遣されるに至った経緯
湾岸戦争でイラクに多国籍軍が派遣されたが、日本は金だけ出して戦闘には参加しなかった→感謝されなかったため
PKOに派遣すると、国連から外貨が貰え、派遣先の国にツバをつけれる→中国が今積極的に派遣している -
シリーズ第8弾は、トランプ登場後の世界について。
報道姿勢に毀誉褒貶のある池上氏だが、わかりやすくまとめる能力はやはり貴重です。今回はEU加盟国や非加盟国のスイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインなどについても触れられており、勉強になった。また、日本の政権の変遷を要領よくまとめているのもナイスです。シリーズの中でもお買い得感あふれる1冊です。 -
トランプ登場の8から読み始めた。やはりわかりやすいし、過去からの歴史を書いてもらっているので助かる。近々、9,10も読み、現代に追いつく予定。
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シリーズ8作目となる定番本だが、さすがは池上彰さん、文句なしの内容。そこまで踏み込んだ難しい内容ではないが、今世界で起きている、複雑に絡み合っている政治・経済・社会問題を網羅して学ぶことができる。
池上彰さんのテレビ番組を見て大まかなテーマと概要を頭に入れつつ、日々のニュースを追いかけていればついていけるレベルの内容になっている。
また新しいことだけではなく、歴史を振り返って大きな動きを整理してある部分は良い復習になる。今回でいうと中東の国々を巻き込む「イスラム国」(特にオサマ・ビンラディン)の歴史と、自民党誕生の経緯と党是について。 -
とても読みやすく、分かりやすかった。いまの世界を知る第一歩としてはよかったが、これからの展望や深い洞察はなく、この本は知るきっかけにしかならないかもしれない。それでも面白かった。
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まさに副題のとおり「自国ファースト」のリーダーが目立ってきているというのは、そう望んでいる国、国民が増えてきているからかもしれない。相手との差異をみつけて反目しあうのではなく、ダイバーシティを受け入れて、寛容になっていく必要がある。シンギュラリティを考えると、人間同士で反目しあっている場合じゃない。表紙に顔写真が入っている方が売れるのか、どうもちょっと「企業」の姿勢が見えてしまう。
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重要な時事キーワードをさくっと把握するための入門編としてちょうど良い。池上さんはリベラル目線が売りだけど、トランプ氏に対しては終始辛辣な評価。歴史は繰り返すが、愚かに過ちを繰り返さないために、知ることは大切。自国ファーストに動く世界の中で、原爆が落ちた国の国民としてどう意見を持つか。考えさせられる、コスパの高い一冊。