増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学 (角川新書)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784040824550

作品紹介・あらすじ

税金や社会保険料で所得の半分近くを持っていかれている!
2022年の負担を見ると、「租税負担27.8%」、「社会保障負担18.7%」で、合計負担率は、46.5%まで増えている。しかし、庶民を救うべき政府は増税路線をひた走る。さらなる増税地獄がやってくる。国民全員が死ぬまで働き続けて、税金と社会保険料を支払い続ける納税マシンになる社会。われわれは、暮らしの発想の転換を急がなくてはならない。
本書では、現在の税金、社会保険制度を徹底的に検証。増税地獄の実態を明らかにする。そして、「家計大苦難」時代のサバイバル術をモリタクが伝授する。

感想・レビュー・書評

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  • モリタクさんの経済の本は読みやすくて庶民目線でわかりやすい。いや、庶民もそこまでやらないよと言うくらい徹底している。
    今後の社会の展望について、重税社会がやってくると言う。今でさえ、租税負担+社会保障負担で五公五民の状態である。江戸時代なら一揆が起きている(江戸時代は四公六民。当時は米=お金なので、現在よりもかなり生活にのし掛かる率が高いので比較にはならないが)。今後は消費増税が増え、定年後も働かなくてはいけない社会になると言う。
    ただ、消費税増税、いや消費税そのものさえ、なくすことが可能であると言う。消費税で29兆円得られるとして、それらを国債の発行で乗り切れるというのだ。
    戦時中日本の戦費はGDPの9倍であった。賄った国債は6000兆円にも及ぶ。また、アメリカは沖縄占領後のお金を軍票で賄った。江戸幕府は、小判を銀を混ぜた粗悪なものにすることで戊辰戦争を戦い、明治政府は新たに太上官札を発行して財源とした。これらを「通貨発行益」と言う。この通貨発行益で減税できるというのだ。
    仮に心配されるインフレが起きたとして、困るのは投機でお金を転がして利益を得ている人や資産家と言うことになる。お金の価値が下がるからだ。
    さらに、日本は財政的に世界一健全と言うのには驚く。日本の借金が1500兆円なのに対し資産は1000兆円(売ることができないアメリカ債100兆円含む)。これに日銀が買った国債500兆円を合わせることで±0になるというカラクリだ。
    国債頼みということについて、流石にすぐにどうこうという考えは持てない。話が大きすぎて、そこに舵を切ろうと思う者もいないだろうと考える。ただ、経済ってバクチのようなところがあると思う一方で、希望の持てる話のようでもあると思った。
    増税時代の切り札として登場するのが年収200万円以下の住民税非課税者になることだ。そのためにモリタクさんは社会実験まで行い月13万円で、暮らせることを立証した。自産自消、太陽光発電、トカイナカ生活が必須である。
    さすがにそこまで徹底してできるのはモリタクさんが楽しいと感じられるからで、提案性あるモデルの一つに過ぎない。人によって金銭感覚や生き甲斐の価値観が違いすぎるからだ。ただ、トカイナカに住んでいる私としては、興味深い内容だ。税金で半分近く持ってかれる上に、物価が3割近く高い都会には住めそうもない。
    また、人生には嫌なことをして生きている時間はないとの主張は共感した。そういうことを声を大にして言える時代になったんだ。実現してる人がいるんだ。と数々のケースから思った。私は比較的すきなことを仕事にできている方だと思う。嫌な仕事をしてまでがっつり稼いでいこうとする気が持てないとも言えるのだが。この先続けて行けるよう読書して自分をアップデートしていきたい。

  • 所得に対し税金や社会保障費を支払っているかを示す国民負担率は、70年に24.3%が、21年で48%。所得は久しく変わらず。高齢者が増え、社会保障費が更に必要。だから増税しなければ。単純に考えるとそういう事だが、その負担割合による格差、そもそも社会保障のあり方は正しいのだろうか。

    日本はこの20年、生産年齢人口は減ったが労働力人口は減っていない。高齢、女性、外国人が増え、そしてそれは賃上げには逆効果だった。安く働かせて、会社が儲け、配当する。投資家がそれを望むが、労働者による投資が増え、矛盾した立場に。つまり、賃金を抑えて配当に期待する投資家としての立場と、賃金を上げて欲しいという労働者としての立場。両方の増額を成立させたい。

    そうすると、生産性向上の話へ。森永氏の生産性批判の例えが面白い。生産性を高めていくと、生きがいが喪失するのだという。つまり、フィギュアの右目だけ塗るような分業は、一人で全てを塗り終えるより効率的だが、ツマラナイ。人間は、自己関与度が高く、創造性の実感をもてる仕事にやりがいを感じるのだろう。右目だけでは、物足りない。

    全般的に為になる本。しかし、アドバイスが森永氏らしいというか、あまり魅力を感じない締め括り。「住民税の非課税最大限までしか働かないこと。そのために移住を含めた徹底的な節約をして、低コストで生きていける生活基盤を作らないといけない」わかるけど、それでは人生が省エネ過ぎて、ツマラナイ。

  • 国債を発行しても、日銀に買わせれば大丈夫だということが論理的に書かれていて、まだ未来は明るいなと思った。

  • ●インボイスの手間をかけることで、経済効率が落ちることを財務省はわかっていない。無駄な時間をかけさせる位なら、その分本業でがんばってもらい、納税額を増やしたほうがよほど良い。
    ●補正予算29兆円と言う金額は、ちょうど1年間消費税をゼロにできる金額なのだ。消費税率の引き下げが最適だった。

  • 第1章 重税国家ニッポン(国民負担率は48%まで増えている/2004年に年金は積立方式ではなくなった ほか)/第2章 不平等な税・社会保険料制度(お金持ちほど負担が小さい所得税/岸田政策に投資家はNOを突きつけた ほか)/第3章 待ち受ける消費増税(消費増税は時間の問題/消費税を社会保障財源にしてはいけない理由 ほか)/第4章 日本経済は世界一健全(日本とドイツは実質無借金経営/米国債を叩き売って為替差益を得ればいい ほか)/第5章 住民税非課税という最強の武器(年金の範囲内で暮らせるよう家計の構造改革を/日本の賃金G7で最下位に ほか)

  • 2021年度の国民負担率はなんと48%(租税負担28.7%、社会保障負担19.3%)。60歳で引退して悠々自適の幸せな人は現在17%程度だそうだ。

    「都会暮らしにこだわらずに郊外で暮らし、趣味の幅を広げて知識と技術(生きる力)を身につければ人生は楽しくなる。しかも住民税非課税世帯になれれば金銭的なメリットは大きい。食べる野菜などを自分でつくる自産自消は100坪の土地があれば敷地内に畑を作れる。太陽光発電は老後の生活設計に重要。水の自給は立地次第。井戸があれば災害時に役立つ。」

    なるほどね〜_φ(・_・

  • p46 インフレで困るのは富裕層であり、庶民は全く困らない
    p56 今のバブルの3つの特徴 エブリシングバブル(陶器対象があらゆるものに波及している) 期間が長く続いている バブルの山が高い

    p59 今恐れなくてはならないのは、インフレではなく、バブル崩壊後の強烈なデフレ

    p62 年間所得が1億円を超えると税負担率が下がる
    労働で1億円以上稼ぐ人は少ない
    上場株式の売却益や配当金の税率は一律20%
    社会保険料には負担の上限がある

    p68 退職金の税金には3つの優遇がある
    退職所得控除、1/2軽課(所得控除を超えた分の1/2に是税金がかかる)、分離課税

    退職所得控除 勤続年数20年以下 40万x勤続年数
    20年以上 800万+70万x(勤続年数-20年)

    p70 高級官僚 天下り先で数年働いて膨大な退職金をもらって次に移る わたりと呼ぶ 1/2軽課は有利

    相続税 親と同じ土地に同居していると自宅の土地の相続税評価額が80%減額 小規模宅地等の特例

    p94 消費税を社会保障財源にしてはいけない理由
    消費税は消費者のみが負担
    cf 厚生年金、健康保険料 労使折半
    低所得者層ほど収入に対する税負担が高いという逆進性

    p112 日本とドイツは実質無借金経営

    p116 イタリアは道路を売った EU加入時に借金が多づすぎるから減らせといわれ

    p123 1929 3年間ズルズルと下がり続け NYダウはピークの1/10になった

    p130 高齢期にやってはいけないこと 米国株への投資

    日常の生活コストを年金の範囲内に収まるように構造改革して、勤労収入は住民税がかからないレベルに抑える

    p136 辛坊治郎 自分が行きていられる残りの年数はそう長くない。せいぜい10数年。その間、やりたくもないつまらない仕事をするのはあまりにも時間の無駄遣いだ。これからは自分の好きな仕事だけして行きていこう

    p140 太陽光パネルは半永久的に発電してくれる
    パワコンは10年程度の寿命
    老後の生活設計に太陽光発電が重要な役割を果たすと考えている

    井戸があれば生活用水は確保できる

    太陽光パネルと蓄電池があれば、災害に強い
    理想的な暮らしは、電気、食べ物、水を自給

    住民税非課税世帯

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    #増税地獄
    #森永卓郎
    23/2/10出版

    税金を払うことは必要と受け入れてはいるが

    「増税!増税!」と頻繁に目にすると不安が膨らむ

    不安を減らすには

    将来起こりえることを理解し考えて備えないと

    まずは理解から!

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読書
    #本好き
    #読みたい本

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著者プロフィール

経済アナリスト、独協大学教授

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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