ほうき星 上 (角川文庫 や 45-2)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041000595

作品紹介・あらすじ

天保6年、76年に一度現れるほうき星が江戸の空に輝いた夜、気鋭の絵師・黄泉と、日本橋の鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に、さちは生まれた。深川に隠居所を構えた祖母・こよりも加わり、家族の愛情をいっぱいに受け、下町の人情に包まれて育つさちを、思いがけない不幸が襲う。両親の突然の死、そして、慈しんでくれた祖母の死。しかしやがて、絵師としての天分を発揮してゆく。苦難を乗り越え、凛として生きた娘の感動長編。

感想・レビュー・書評

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  • 境遇としては不幸なのかもしれないけど、あまりに優遇されていて、もって生まれた運に大きく頼って生きているので、あまり主人公を好きになれずに終わってしまいました。嫌な人が全く出てこないので、どうしても内容がファンタジックになってしまう気が。

  • まさに山本一力の深川を舞台にした江戸時代物小説の真骨頂と言える作品ですね!
    深川ともう1つ山本一力の故郷である土佐の話も絡めて主人公のさちを中心に、さちの不遇な幼少期の境遇を親戚家族や深川の心優しい粋な人たちが皆で支えて、その気持ちをしっかりと汲みとったさちが大人としても人間としても成長していく様が秀逸でした!まだ本作は上巻なので、下巻でどのような展開になっていくのかが楽しみです!

  • おさなくして、両親を亡くした少女が主人公。
    周りの人間がみんないい人ばかりで、世の中そんな甘くないのにって
    感じました

  • 天保六年(1835年)8月。
    夜空にほうき星が現れた日、深川の絵師吉田黄泉と日本橋の大店鰹節問屋の娘さくらの長女さちが生まれた。
    祖母こよりに深川や土佐節屋の人々、絵師の岡崎と弟子たち、土佐への旅で出会った面々…。
    さちが万能で非の打ち所のない誰からも愛される娘として描かれ、出てくる人々が皆善人なのがいささか物足りなかった。
    幼くして両親をなくしたものの、それ以外は順風満帆すぎて。
    これといった困難がなかったせいか、人情モノと謳ってはいてもあまり人情の機微を感じなかった。むしろ深川をはじめとした江戸や土佐の風物の描写のほうが多かったような…。それはそれで興味深かったけれども。

  • 両親を亡くしながらも、周りの人びとに支えられて生きていく さち。
    父親と同じ絵師の道に進む中で、師匠の教えを大事にしているのが良くわかる。
    あまりに良い子過ぎる気がするが、一人の女の子がどう成長していくか楽しみになってきた。

  • (古本を購入)
    読み始めた(7月18日)〜読み終わった(12月21日)

    今年の読書数は全く進まない。
    まあこんな時もある。
    山本一力氏の作品では主人公の両親が亡くなることが多く、この作品でも予想通り。
    タイトルの『ほうき星』が『彗星』だと最初は分からなかった。
    主人公さちの技量が並々ならないものというのもよくあるパターン。
    あらすじが予想出来ても飽きないのは作品が前向きに書かれているからか、安心感で読み続けられるからか。
    下巻の進展が楽しみである。

  • 28年11月15日〜21日。
    ほうき星の出現に合わせるように産まれたさち。幸せな幼児時代を経て、両親、祖母の死。しかしメゲる事なく、おばの大店 に引き取られ、わきまえを持ちながらも 明るく生きて行く。そして死んだ父の絵の師匠の元で、弟子としての修行生活が始まる。さちの機知にとんで明るい性格と、天性の絵師としての才能。さちのこれからの人生が、どう展開して行くのか。今後に期待を持って、上巻を読み終えた。山本一力さんの描く深川の人々には、本当に憧れる。人間いかに生きるべきかを知らしめているように思うのだ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    天保6年、76年に一度現れるほうき星が江戸の空に輝いた夜、気鋭の絵師・黄泉と、日本橋の鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に、さちは生まれた。深川に隠居所を構えた祖母・こよりも加わり、家族の愛情をいっぱいに受け、下町の人情に包まれて育つさちを、思いがけない不幸が襲う。両親の突然の死、そして、慈しんでくれた祖母の死。しかしやがて、絵師としての天分を発揮してゆく。苦難を乗り越え、凛として生きた娘の感動長編。

    平成28年6月18日~28日

  • 今でいう流れ星は昔縁起が悪いものとしてみられていたようで、その星の元に生まれたさちの運命を何かしら暗示するものかと思いつつ、女絵師として懸命に生きて行く姿は山本一力さんらしい作品。

  • ほうき星って・・・彗星のことです。

    天保6年、76年に一度現れるほうき星が江戸の空に輝きました。
    凶運を連れてくると思われるほうき星が江戸・深川の空を流れたその夜、
    気鋭の絵師・黄泉と、日本橋の鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に、
    玉のような女の子さちが生まれました。

    さちの住む深川のご近所の鮮魚や「うお金」のまゆみは
    さくらと同い年で気があっていました。
    まゆみの子供乾太郎と善次郎の兄弟も
    さちを本当の妹のようにかわいがり、
    何かあったら手を差し伸べる、ほほえましいご近所さんです。

    母・さくらの実家は日本橋の鰹節問屋。
    少なからず繁盛している商人で、
    さちにとっては、祖母にあたるこよりと伯母にあたるききょうは
    美人であってしかも土地の人々を大切にする優しい女性でした。

    婿を迎えたききょうとその子供大助とともに、
    さちは家族の愛情をいっぱいに受け、すくすく育ちました。

    さちが5歳のとき、思いもしない不幸がいきなり襲ってきました。
    船で小旅行に出かけたさちの両親が台風にであって
    船が沈没し、亡くなりまったのです。
    祖母こよりにひきとられたさちは、
    小さいながらも、利発で聡明な女の子に育ちます。

    両親の死から3年後、今度はこよりが病死し、
    さちは一時的に伯母ききょうへ預けられました。
    そして、父黄泉から受け継いだ非凡な才覚を
    父の恩師で有名な絵師岡崎に見染められ、
    さちは11歳で岡崎の屋敷奉公へ出ることになりました。

    岡崎のお屋敷では、賄いの手伝いと絵の勉強。
    祖母こよりと母や伯母から受け継い
    こよりの故郷土佐の鰹節をだしに取り入れたそうめんや
    酢の物など、料理の出しの取り方は
    著名な絵師岡崎も喜ばせます。

    不幸な身であるはずの、さちという少女の周りには、
    いつも人生の指南役のような人物がいて、
    さらに彼女を元気づけ、守ってくれる兄や幼なじみの存在があり、
    この先どんな女性に育っていくのか、とても楽しみです。

    さちはどんな男性を選ぶのか。
    幼なじみの乾太郎なのか、または違う人か。
    そしてさちは、
    祖母こよりの意志を継いで、珊瑚の飾り物店をだすのか、
    または、絵の才能を開花させて、絵師になるのか。
    先が気になりながらも、上巻はここで終り。

    早くさちの行く末が読みたい!

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著者プロフィール

1948年高知市生まれ。都立世田谷工業高校卒。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空関連の商社勤務等を経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。江戸の下町人情を得意とし、時代小説界を牽引する人気作家の一人。著書多数。

「2023年 『草笛の音次郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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