スローカーブを、もう一球 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 644
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041003275

感想・レビュー・書評

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  • 本から熱気が伝わるような作品。最後まで熱さを保ったまま終わりを迎えるのもまた良い。

  • ・1/6 読了.面白い.ジャーナリストとは思えない情緒の表現で、取材した事実を記述しているにもかかわらず、なんとも文学的に語られているのが、劇的というのとは違ってじわじわと迫ってくる.

  • 高校生のときに、毎月1冊国語教師指定の本を読んで
    感想を書くという課題?のようなものがあって
    その中に含まれていた一冊。

    読んだときに強烈な印象を受けたので
    ずっとこの本のことは頭に残っていたけど
    最近野球に目覚めたことをもあり、
    今回再読してみることにした。

    スポーツルポルタージュというかスポーツノンフィクションというか
    そういったもので好きな作家は山際淳司と沢木耕太郎だけど、
    スポーツノンフィクションを読むと
    選手に対しての感情のやり場に困ることが多い。

    一瞬の輝きを放ち名勝負を作り上げても
    そこには必ず勝者と敗者がいて、
    敗者の人生、勝者の人生をある意味決定づけてしまう。

    そのたまらなさ、やりきらなさが
    スポーツノンフィクションの魅力なのかもしれない。

  • タイトルは随分前から知っていたのだが。
    80年当初に発表されたスポーツ選手を取材した作品。著者は物故しているらしい。

    高校野球の甲子園の延長戦や落球だとか、日本シリーズでの江夏のリリーフとか、何度も似た話を聞いた気がして、食傷気味。まあ、このノンフィクションがテレビや雑誌のルポのお手本になっているかもしれない。
    実話なんだろうけれど、こういう文章にした途端、事実と微妙に違ってしまう気がする。
    ランニング練習をやらず、リーゼントの乱れを気にするボクサーの話が面白い。
    棒高跳びの日本記録選手。記録が伸びることが、限界に近づいていくことに繋がる。厳しい孤独な生活。
    表題作。ラストのスローカーブは、くっきり絵が見えるよう。この作品が一番良かった。

  •  私は角川文庫が苦手である。
     決して社風が苦手とか、「あそこのレーベルはろくな本がない!」というわけではない。そうではなくて、なんだか、読みにくいのだ。それが文字の大きさなのか、フォントなのか、レイアウトの仕方なのかは、わからない。深く研究したことはないが、これはもう、相性、としかいえない。
     少なく見積もって200冊はある私の本棚に、角川文庫は本書が3冊目である。そのうち「最初から最後まで読んだ本」は、一冊もない。つまり、本書の中のいくつかのエピソードは、最後まで読んでいない。
     すべて読まずにレビューを書く、ということに抵抗感を抱かずにはいられないし、これを読んでいる方にはそう思われる方もいると思う。
     しかし、本書について「面白かった」といわずにはいられない。それほど「面白かった」。



     最後まで読みきったのは「八月のカクテル光線」「江夏の21球」「背番号94」「ザ・シティ・ボクサー」「スローカーブを、もう一球」。「シティボクサー」以外はすべて野球がテーマである。
     一番面白かったのは、「江夏の21球」だった。有名なだけある。
     読みにくかったのもあるかもしれないが、登場人物のバチバチとした心理戦に引き込まれ、読む速度をあげるにはもったいなかった。食い入るように一文字一文字確かめながら読んだ。

     世の中には、才能というものがある。
     それだけで闘えたら素晴らしいが、そういうわけにもいかない。プロ野球にいる時点で既に多くの凡人に比べて多大な才能を持ち合わせているはずなのだが、それだけではプロ野球では勝てない。
     だから、プロはできるだけ、理詰めの努力をする。練習方法を厳選し、トレーナーの指示を仰ぐ。体を痛めるフォームを修正する。
     しかし、そこから先は才能や感覚で判断する。できるだけ理詰めで成功確率を上げたところで、そこから先は、成功するかもしれないし、失敗するかもしれない。果ては「どこまで理詰めを守るか」といったところまで、感覚で判断する。そういった過程を含めたのちに結果を残せる人が、リスペクトに値するのである。

     本書にでてくるスポーツマン(すべて読んでないですが)は、理詰めと追求している。著者の山際さんは読み物として敢えてそうしていると思うが、その理詰めの先の確率の部分を、必然であるかのように書いている。だからこそ面白く、スポ根マンガの「限界超えてやりますおおおおおお!!」といった気合と根性一本調子とは違った見方を知ることができる。
     そして忘れてはいけないのが、今やっている甲子園も、出場者それぞれがドラマを持っているはずだ。「甲子園より、熱闘甲子園の方が面白い」という人の気持ちがわかった気がする。
     本書を購入したのは、文化系トークラジオLifeの「夏の一冊」の回でオススメされていたからである。すごく面白かった。

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著者プロフィール

作家。1948年神奈川県生まれ。中央大学法学部卒業後、ライターとして活動。80年「Sports Graphic Number」(文藝春秋)創刊号に掲載された短編ノンフィクション「江夏の21球」で注目を集める。81年同作が収録された『スローカーブを、もう一球』(角川書店)で第8回日本ノンフィクション賞を受賞。NHKのスポーツキャスターとしても活躍。95年5月29日没。著書多数。傑作選に『江夏の21球』『衣笠祥男 最後のシーズン』(いずれも角川新書)。

「2020年 『たった一人のオリンピック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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