- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041003428
作品紹介・あらすじ
明治の王政復古とともに復活した役所、弾正台。水干姿の優美な青年・香月経四郎と、同僚の川路利良は、その大巡察として役人の不正を糺す任に就いていた。とあるきっかけから、二人は弾正台に持ち込まれる謎めいた事件の解決を競うことに。いずれ劣らぬ難事件解決の鍵になるのは巫女姿のフランス人美女、エスメラルダが口寄せで呼ぶ死者の証言で…!?明治ものにして本格推理小説。驚天動地のラストが待ち受ける異色作。
感想・レビュー・書評
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異国の美女エスメラルダを探偵役に据え、香月と川路、愉快な羅卒たちが織りなす明治時代を舞台にした連作ミステリです。
幕末が倒れ、新時代の幕開けかと思いきや、体制は未だ整っておらず、混沌とした世界が鮮やかに書かれています。
そんな時代を背景に起きる事件は、どれも奇天烈なものばかり。それを一種の物憑き状態となった異国人巫女のエスメラルダが解き明かします。
披露されるトリックはどれも単純なものですが、それを支える舞台、伏線が非常に良くできています。中でも「怪談築地ホテル館」は大胆なバカミス風のトリックが味わえます。
そして本書の特筆すべきところは、事件を颯爽と解き明かしていった末に迎える、最終章にあります。
個々の解決したかに思われた事件が、伏線として機能し、1つの物語が浮かび上がってくるのです。
ここで明かされるとある人物の思惑は、山風だからこそ書き得た、この時代だから成立する、凄まじいものになっています。
やはり天才か、山田風太郎!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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おお『明治断頭台』読了ですね。
本当に「とんでもなく秀逸なミステリ小説」でしたよね。そして衝撃とともに物語のテーマが浮かび上がりラストへと疾...おお『明治断頭台』読了ですね。
本当に「とんでもなく秀逸なミステリ小説」でしたよね。そして衝撃とともに物語のテーマが浮かび上がりラストへと疾走していく凄さ。僕もあのシーンは胸が熱くなりました。
「明治もの」では『幻燈辻馬車』もおすすめです。それ以外では『太陽黒点』もいいので機会があれば是非。2012/11/22 -
kwosaさん
ありがとうございます!
ミステリとしてとてもレベルが高い作品だと思いました。物語としてのおもしろさも一級品なのは流石です。...kwosaさん
ありがとうございます!
ミステリとしてとてもレベルが高い作品だと思いました。物語としてのおもしろさも一級品なのは流石です。
忍法帖シリーズ以外はどこから手をつければいいものやらと思っていたので、お勧め作品から読んでみたいと思います!2012/11/23 -
ニコルさん
コメントありがとうございます。
「物語としてのおもしろさも一級品」には全く同感です。
ある一定のクオリティを保った作品を量産し...ニコルさん
コメントありがとうございます。
「物語としてのおもしろさも一級品」には全く同感です。
ある一定のクオリティを保った作品を量産し、なおかつ傑作を何本も書き残した山田風太郎は本当に凄いですよね。
僕の方こそ、恥ずかしながら「忍法帖シリーズ」はあまり読んでいませんので、ニコルさんのレビューを参考にしつつ読み進めていきたいと思っています。2012/11/23
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本当に素晴らしい。本当の本格とはこれなんだな、と納得させられた。短編連作の形式をとってはいるが、これは長編本格推理小説。どこかのんきな邏卒たちと、エスメラルダの口を借りて明かされるカタカナ謎解き短編のテンポの良さにすっかり騙されてしまった読者としては、最終章の展開に凄みと寒気を感じると同時に度肝を抜かれた。
歴史上に実在した登場人物たちを虚実入り交じりながら登場させるテクニックも一流なら、それまでの世界観を暗転させるテクニックもやはり一流。そしてテーマがこれまた重厚。
前に読んだ「太陽黒点」といいこれといい、今まで山田風太郎を読んでこなかったことを激しく後悔する傑作である。 -
明治初期を舞台とする連作短編集です。第1話と第2話は謂わばプロローグで、主に登場人物及び舞台の説明です。本格的な話になるのは第3話からで、それぞれ奇怪な事件とその解決が描かれています。
そして最終話では驚愕の真相が待ち受けています。怒涛の展開と何とも言えない余韻の残るラスト!間違いなく傑作といえるでしょう。 -
ネタバレ/下有劇情
明治初年成立彈正台卻變成保守派大本營,大巡察香月經四郎和一個不可思議的法國女性エスメラルダ同居,同時也和同事川路一起經歷許多殺人事件,エスメラルダ不知為何到關鍵時刻就可以通靈變成巫女,讓靈魂回來說話破案。最後兩人查到山城屋事件而碰壁,大西鄉認為國家需要山縣因此親自向川路求情,川路只好吞下正義感。香月一直認為政府本身必須就是正義的代表,最終自陳這一切都是他主導目的是掃蕩貪官汙吏但他發現這樣往上掃下去政府焉之不存,壯烈地用斷頭台自盡。
這本書無論劇情與發想都實在匠心獨具,覺得風太郎實在太強了!! -
やはり山田風太郎は天才……。
今さら私なんかが言葉を尽くす必要もないくらい、傑作です。 -
■火焔太鼓がドーン!と響いて、怪しい神楽がはじまって、シャランっと巫女鈴鳴ったなら、
………死者が語りはじめる。真実が明るみに出る。悪党の首が斬り落とされる。
■「『川路大巡察、恐れながらお手向いつかまつる!』
髯の中から、鬼丸多聞太が吼えた。
『小官ら、香月大巡察のおかげで、はじめて生まれ甲斐のある仕事を見つけたのでござる。いまぞ、優曇華ならぬ男の花を散らすとき。――』」
■五箇条の御誓文、東京遷都、廃藩置県……、国が根元からくつがえされた混乱の明治の時代を、天才・山田風太郎の奇想が嵐となって吹き荒れる。これは傑作の中の傑作だ! -
世界を作り上げてひっくり返す話
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明治の初期に4年ばかりあった弾正台という組織が舞台。水干姿の主人公香月経四郎と川路利良が謎を追い、巫女姿のフランス人エスメラルダが憑依の口寄せで事件をする連作推理の開花もの。明治政府の暗部を糾弾し、意表をつく壮絶な最終章で、さすが山田風太郎と唸ってしまいます。ただ、他の開化もの傑作群と比べると、主要人物の人間描写に浅さがあります。
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役人の不正を取り締まる弾正台、ギロチン、妖しげな金髪美女、小悪党な邏卒、相棒にしてライバルの川路など魅力的なキャラクター、キーワードを明治初期の混乱に彩った作者自身が認める時代ミステリーの傑作。
文字通り驚天動地のラストに刮目。 -
時代を選ばぬ傑作。いろいろな趣向、読みどころのある贅沢な一冊。
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個人的に歴史モノは苦手でしたが、あまりの評判の良さに
やっと手に入れて先ほど読了した次第で・・・。
あまりの面白さに読む手が止まらず・・・・
小難しい部分は殆ど無く徹底的にエンタティメントで
それでもって本格で史実に則ったミステリで・・・。
これは確かに凄いですね、キャラは立ってるし、
時折挟まれるユニークな味わいもアクセントになってグイグイ引き込まれます。
各エピソードは無理やりなトリックを使ったりと荒唐無稽な部分もあるけど、それが最後の最後で・・・・
いやぁ~これはやられました。
香月経四郎・・・・・格好いい! -
明治維新直後の混乱期、政府は平安朝の監察機関・弾正台を復活させた。フランス帰りで水干姿の美形担当・香月経四郎と、後に初代警視総監となる川路利良のふたりの大巡察が究明甚だ困難致し候事件を解決する連作短編。奇抜な不可能犯罪と物理トリック、金髪碧眼の巫女が死者を口寄せする解決編、いつもキャッキャしてる邏卒五人衆、と笑いながら読んでいたから最終話「正義の政府はあり得るか」での急展開に愕然とした。さすが山風。最終話までの違和感が解決するだけでなく、命をかけて何事かを成し遂げたいと切望した男達の最後の疾走が感動的。
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明治初期を舞台に、水干姿の美青年&薩摩弁鮮やかな侍のコンビが金髪碧眼巫女の口寄せによって謎解きする。一つずつの事件を描いた短編にちりばめられた疑問が、最終話で一気に収束するタイプの連作もの。
時代の熱さなのかな、登場人物それぞれ(主役の二人はもちろん、加害者被害者、ダメ邏卒たちに至るまで:終盤はむしろ胸熱であったけど)がそれぞれの方向に突っ走る様は爽快でもあり、最終話ではもの悲しくもあり、読む側のテンションを上げてくれる一冊でした。
山風先生はここまで読んだのが忍法帖を少し、柳生十兵衛少し、短編少しだったのですが、幕末妖人伝が面白かったのと、ミステリー小説だという話だったので(昔ミステリー好きだったので)この本を手に取りました。
ちょうおもしろかったー! レビュー的なことは他の方のものが詳しく、そのとおりと思いましたので書かないけど、ほんと面白かった。他の明治物も読みたいと思わせられました。つーか読む。