- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041003817
作品紹介・あらすじ
無趣味人の著者はふと考えた。蕎麦打ち、ヨガ、ガーデニングにボウリング…世間に趣味は数あれど、自分が打ち込めるものはあるのだろうか。東にカメを飼う人がいれば話を聞きに行き、西に手相趣味の人がいれば占ってもらう。消印収集の奥深さに驚き、階段を愛でるために上り下りする-。見て、聞いて、やってみた趣味漫遊記!これを読めば自分にぴったりの趣味が見つかる、かもしれない。
感想・レビュー・書評
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趣味の中には自身がつまらないと言いながら、やっているものがある。この本の中で紹介されている人は定年前や定年退職した人の話しが多いからということもあるとは思うが、、、。
趣味ってなんだろうか。色々とやってみないと自分に合うものは見つからない。時間も先に組み込むくらいしないと趣味の時間は作れない。人生を楽しむものとして取り組みたい。
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趣味はないという著者が、いろんな趣味を持つ人のところへ行って、その話を聞きながら、趣味とは何か?という核心に迫っていくような本。
蕎麦とヨガの章が爆笑で、著者のすっとぼけキャラがいい感じです。趣味にのめり込む人々がいる一方、冷めきった著者の態度と、それに乗っかる自分というような構図で、生あくびが出るなどの正直すぎる描写にはニヤニヤせざるを得ません。
しかし、誰になんと言われようと、本人が好きでやってるのが趣味なんだからいいじゃない、コスパ、タイパは不要。趣味とはそういうものだよねと思います。
あとは、人は何もしないことには耐えられないし、かと言って仕事で埋め尽くされるのも辛いから、余った時間を適当につぶすのに必要なのが趣味ってことですね。
序章に書いてありましたが、趣味はhobbyじゃなくてtasteだっていう話もあって、仕事でもプライベートでも、何か取り組んでいるものを味わうことが出来ていれば、取り立ててこれが趣味です、というものはなくても良いのかも知れません。 -
面白かったぁ♪
とある講演会で「先生のご趣味は何ですか?」と聞かれた高橋秀実さん。
そこから趣味を探す旅が始まる。
例えば「蕎麦打ち」、「八十八カ所巡り」、「切手収集」、「ボウリング」、「登山」といった定番(失礼かな?)もあるし、「カメづくり」や「階段巡り」なんて趣味まである。
また「防災」や「武士道」までも趣味に認定されている。
それぞれの趣味に熱中している人にインタビューして、高橋さんも実際に体験してみるのだけど、それがすごく面白い。
まずインタビューではその趣味の楽しさがいまいち分からないのが妙に可笑しい。
本人も「つまんねえなと思いながらニヤニヤするんです」とか、「自分の時間が欲しいな、と思います」とか、楽しいのか楽しくないのかあやふやだ。
茶道はボケ防止と断定されているし。
そして体験編では高橋さんの冷静なツッコミが光っている。
いろんな趣味を体験しながら高橋さんの興味は「趣味探し」から「趣味とは何か」に移っていく。
「趣味は何ですか?」という無邪気な質問からまさか「時間とは一体、何なのだろうか?」という問いにたどり着くなんて…。
私も「趣味は何ですか?」と聞いて回りたくなってしまった。
そして「趣味は何ですか?」と聞かれたら「人の趣味の話を聞くことです」とか、どうだろうか? -
趣味を持たない著者の趣味とは一体何だろう?を問い続けたエッセイ。
趣味に没頭している人達の言動を客観的に分析していく様子は面白くもあるのだがちょっと茶化している感じもして少し気に成った。
趣味も本当に色々なものがあるんだなあと思いつつも、読んでいると結局趣味って何だろうと思ってしまいます。 -
これから社会人になるにあたり、自分の趣味に対して自由に使える時間が増えると思い、とりあえず読んでみました。
中でも、本書で出てきた太鼓の達人に勤しむ小学生の趣味=暇つぶしであり、そこに面白い面白くないという価値観は挟み得ないという解釈が非常に興味深いと思いました。 -
「趣味がない」著者がさまざまな趣味に勤しむ人々への取材を行い、12章に分けて多種多様な趣味人たちを訪ねて、そこに驚きを見つけていきます。
鉄道、坂本龍馬、航空無線、そば打ち、ヨガ、切手、エコ、防災、亀、俳優、ゲーム、ラジコン、ボウリング、階段、茶道、ガーデニング、登山。
未知の世界ばかりで、面白くないわけではないのですが、それぞれへの掘り下げがほどほどになってしまっていて結果的に浅く広く羅列する作業で終わってしまった感があります。
「ラジオ体操」だけで対象にある意味くどく迫りつづけ、一冊の本として成立させてしまう著者にとっては本書での「趣味」というテーマはあまりに広大すぎてかえって持ち味が発揮されなかったのではないでしょうか。前述の『素晴らしきラジオ体操』や『はい、泳げません』のように対象を絞って取材だけでなく体験にまで至っていればより興味深い著作になったように感じます。 -
著者がいろいろな人の趣味を聞いて周り、それについて思ったことを書き綴っていく本。
あまり刺さらなかったかな。。 -
当たり前のようなことに、愚直に切り込む姿が面白い。
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無趣味を自認する著者が、趣味探しを兼ねて様々な趣味の達人(というか、趣味に取り付かれた人たち)をルポ。
本書に登場する趣味人たちは、「飛行機ウォッチング」にしろ「亀との共生」にしろ「登山」にしろ何故か趣味を楽しんでいる風ではない。惰性というか、義務というか、時間を埋めるための暇つぶし、というか…(三浦しをん氏は解説で「業」なのではないか、と指摘している)。内容が段々と哲学領域に入ってきて、ラストで著者は「趣味とは何かをすることではなく、何もしないでいる中にあるのではないか」とまで書いている。
翻って、自分にとっての趣味について考えてみると、これまで、スキーにしろテニスにしろ水泳にしろ、趣味でスポーツをやってた時は、上達する過程を楽しんでいたと思う。したがって上達が止まった途端に続かなくなった。今趣味と言えるのは読書だけだが、これには(ブクログに感想を書くことも含めて)様々な楽しみ方があるので、今後も長く続けられそうな気がしている。
本書で中々面白いと思ったのは、「武士道」が有閑階級である武士の時間潰しの術として編み出されたものだとする説。「武士は君主に仕えていてもヒマだった。仕えるさきがなければなおさらヒマで、あまりにヒマ」なので山鹿素行が「道」というアイデアを考えつき、「時間を潰すためにやる事をきっちり定め、それでも余ったら「義」に思いを巡らせて時間を潰した」のであり、「今日武士道の眼目とされている「義」は、時間潰しの大義名分として編み出されたものにすぎない」、と武士道を一刀両断。日本の誇る武士道の出自がこれではちょっと情けないが、一面の真実を含んでいるのかも。
三浦しをん氏の解説も、著者のことを端的に、ぐにゃぐにゃしているけれども「噛めば噛むほど味わいと歯ごたえが増す」たこ焼きの「タコ的なノンフィクション作家」と例えていて面白かった。