- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041006610
作品紹介・あらすじ
中学校にも行かず半監禁状態の同棲生活。高校は中退しヤクザに怯えながらもナンパ男を利用して楽しむ沼津への無銭旅行。結婚後、夫への依存と育児に苦しみながら愛情と諦念の間を揺れ動くパリ、ハワイ、イタリアへの旅。そしてふと生きることに立ち止まり、急に訪れる江ノ島への日帰り旅行。少女から女、そして母となりやはり女へ。転がる石のようなマユがたどる6つの旅の物語。第27回織田作之助賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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圧倒されました。
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めんどくさい。そして、それにもかかわらず、心を動かされる小説です。
特に前半の主人公はめんどくさい。一部は読み手である私にも通ずるような気もしながら、主人公のほうがずっと面倒で、ただそこに、人に対しても物に対しても事に対しても私よりよっぽど自由で、いつも自分の斜め上あたりに冷静でやる気のない(つまり何にも縛られていない)自分をもつ主人公を見出して、私はこんな生活も心の乱高下も嫌だけどどこか羨ましくもなる。
そして何度も生まれ変わりながら、何かを捨てて捨てて捨てて、たぶん同時に何かも得ているんだけど、どっちかというと得るより捨てていく主人公の姿のほうに、羨ましさとともに妙な安らぎみたいな感情で胸がうずめられるような気分になりました。私も女である以上、人生に苦しい段階があろうと甘い段階があろうと、捨て去り脱皮し生きていくのかもしれない、と。 -
女女していますね。
払ってもいい金額:500円 -
”多分彼らは、幼稚で愚かな者に対する哀れみに近い愛情によって、そういう目でわたしを見ているのだろう。でも、あと三年で有無を言わさず自分が消滅すると知っている私の気持ちが、いくつ歳を重ねても今の自分の延長線上を辿って成長していくだけの男に分かってたまるかと思った。女は人生の中で何度も、完全な別物に生まれ変わる。”
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金原ひとみの書く「わたし」に圧倒される。もうわたしわたしわたしわたしでこの人の世界にはわたししかない。わたしとわたしのことを好きといってくれる男。たまにわたしの子供。それも結局わたし。なんかもうほんとうに凄い。ここまで清々しくわたしなら、もうわたしだけでいいじゃん、なんにも迷うことも心配することもないよ、って感じだけれども、わたしがわたしだからこそ、イライラしまくってるわけで。なんだか「わたし」がゲシュタルト崩壊しそうだけれども、そのくらい「わたし」が全開だったし全面に出ていた。ちょっとアンバランスさも感じて(ただの自分大好き女の小説ではない)、この人もなにかと色々いきるの大変そうだな、と思った。
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普通に真面目に学生時代を過ごし、
普通に結婚し、子を育ててる自分からみると、
なんだコイツは…
が感想。
子供の頃に変に大人びていて、大人になったら変に子供じみていて。
フワフワ、地に足がついてなくてイライラ。
そんな気持ちにさせる、文章力は流石。