名のないシシャ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1939
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041012222

作品紹介・あらすじ

人間の寿命を予知し、運命を変える力を持つ名無しの少年は、少女・玖美から“テク”という名前をもらう。しかし永遠に大人になることはないテクと、成長していく玖美の間には避けられない別れの運命が迫っていて!?

感想・レビュー・書評

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  • 死者が使者なのかなーと冒頭から何となく思いながら読んでいた。
    ナオヤのところで見え透いてつまらなく感じたが、特にその辺が言及されることはなく。何だったんだろう。

    秒表示って桁多いよね〜。パッとわからないけど計算する気にならず。シシャたち暗算早。毎秒変わる表示が見えているの目がチラチラして不快だろうな。

    寿命が見えていて運命が変わらないことが肝なのに、最後の寿命早回しが全然意味がわからないのと、悪いシシャが何年も生きているわりにくだらない人間性なのが残念でした。

  • 食べなくても寝なくても疲れないし怪我もしない。
    不死身で無敵のように見えるけど、名前を呼ばれず社会にも属さず、ただ存在するのはどんな孤独なんだろう。
    天使や悪魔のような見えない存在ならばまだしも、見た目が少年少女だけに煩わしいことが少なくなくて。
    人間と関わらないようにしてるようで、命を捧げたいと感じているようにも見える。

    一緒に生きたくても相手だけがどんどん老いていく。
    時間を与えれば自分が死ぬ。
    大切な人と、ともに生きるという当たり前のような選択肢があるようでない。
    命を捧げたい相手に出会ってほしいけど出会ってほしくない。
    読んでて感情がゆらゆらする一冊でした。

  • 皆んなが幸せに向かってると思いきや
    最後は切ない結末…
    人間の寿命が分かるシシャに出会っても
    私は自分の残り時間は聞けないなぁ…

  • 「人間の寿命が分かる」
    そんな子に会ったら・・・と思わず考えてしまいます。怖くて自分の寿命は聞けないかも。
    怒涛のラストが胸を打ちます。

  • 普通に面白かった。

    クライマックスのみんながそれぞれの大切な人に時間をあげるところにそれぞれの「シシャ」のキャラクターがしっかり出てたのがよかった。直弥が小さい子を助けて…ってのもお人好しな感じがでてたし、心美がしっかり美幸さんにも時間をあげるところ、そして宮田さんと目が合う前に消えてしまうのも、上手くいかない感じで良い。

    あと輪廻的(?)に、他の「シシャ」の気持ちがわからなかった少年が、玖美の子供に名前を付けてもらって気持ちが芽生えるのも終わり方としては綺麗かな?あんなに嫌な思いを人にさせておいてお前だけ幸せな未来を歩んでんじゃねぇとは思ったけど。話のまとめとしては綺麗かもだけど、読者を納得させたか?と言われると……。

    少年の起こした大量殺人は
    「自分を救うために大嫌いな人を殺す」
    ものだったのに対して、テロの時のシシャたちの行動は
    「大好きな人を救うために自分を殺す」
    もので、その対比の描写は素敵だった。

    あと、大量殺人は失敗するがテロは起きるのかという所。
    テーマとして「運命変えたら他の人の運命まで変わる」ってのを書きたかったんだというのは伝わるし、大量殺人もテロもなきゃいけない描写だったんだろうけど、ちょっと無理やり感が否めない。勅使河原宝玉は結局これも適当だったってこと?あと結局「シシャ」は何者なの?直弥はわんちゃん生まれ変わり説が出てたけど他の人は?…とまぁ大事なところが微妙な書き方で惜しい。。

    テクが自分が他の人の時間を奪っていたかもしれないと気づく場面も、テクが時間を与えていた人達は高齢の病人のみだから、奪っていた可能性もゼロではないけど限りなく低いよね。それをさも時間をあげた分だけ奪っていたかのように描く描写はどうなのかな。

    中学生の頃初めて読んだ時はとっても感動したから、対象年齢もあるのかな?中学生にはちょうどいい本だと思う!
    高校生以上だと物足りないって思う人が増えそう。


    私は「シシャ」じゃないから、人に時間をあげられないけど、もしそんな力があったら果たして使えるのかな。
    消えてしまったけれど、大好きな人達を助けられた3人はとても幸せだったんだろうな。
    そんな人に出会えたらいいな、大切にしたいなと思った。

  • 良い意味でも悪い意味でもサラッと読める

  • もう10年以上も昔に、同級生が教えてくれた本。
    使者っていったいなんなのか、最後まで明かされなかった。
    直弥の言う通り、大切な人を残して亡くなってしまった「死者」なのかもしれない…と思いを馳せている。


    テクちゃんが、名前を貰ったことの嬉しさについてハルに話さなかったら、ハルはずっと人間のことを下に見ていただろうし玖美に時間を与えることも秋桜と会うことも無かっただろうな、と。

    おばあちゃんの言う通り、むやみやたらに寿命を与えることによって不幸を招くこともある。宮田たちを助けたことで、あの時助からなくなってしまった人たちもいるだろう。


    使者は、他の人には人間に見えてるし子どもの姿のまま成長しないってのがミソだと思う。

    大切な人ができても見送るだけ、命を渡したら自分は消える、しかも運命が変わってしまうかもしれない。。

  • 電子書籍

  • 使者の存在意義を考える

  • 最後が悲しくて、でも感動する話です。

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著者プロフィール

大東文化大学文学部日本文学科講師。1984年大阪府生まれ。専門は環境文学。著書に『反復のレトリック―梨木香歩と石牟礼道子と』(水声社、2018)、論文に「「声音」を読む―石牟礼道子『水はみどろの宮』とその周辺」(『石牟礼道子を読む2―世界と文学を問う』東京大学東アジア藝文書院、2022)など。

「2023年 『石牟礼道子と〈古典〉の水脈』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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