ひとごと (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 175
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041020401

作品紹介・あらすじ

幼い息子を虐待して殺した母親を逮捕ーー残酷な事件のニュースが、人々の心に起こした波紋。離婚、不妊、予定外の妊娠、親子の確執、嫁姑問題……悩める8組の家族の人生の転換期を、鮮かな手法で描いた感動の短編集

感想・レビュー・書評

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  • 交通事故で幼い息子を失って以来、亀裂のできた夫婦の縁を描いた「桜ひらひら」。妻が娘を残して家出。イクメンとして有名な夫だったが、実際は何もできず…「仮面パパ」。一見バラバラな8つの物語は、幼い息子を虐待して殺してしまった母親のニュースに触れる8組の人々を巡っていく…。それは“ひとごと”と言い切れるのか。それぞれの人生の一片を、温かくも鋭い眼差しで切り取り、家族の絆を描く感動の号泣小説。

  • この家族のシリーズを読むとほっとするのは、皆なんらか上手くいかない事を抱えながら日々を過ごしているのが普通だと思えるから。
    嫌な事から目を背けたり、逃げようとせず、図太く、したたかに、臨機応変に向き合う。
    これ、本当に大事。

  • 夫婦や家族を描いた短編。
    事故で子供を失った夫婦。
    事情を抱えた妊婦。
    外面のいい夫(父親)。
    父と息子と孫。
    養子を迎えた夫婦。
    母と息子。
    捨て犬。
    嫁姑問題。
    それらは、どこかで子供を虐待して殺した母親のニュースに触れているという形になっているらしいし、確かにそうなんだけど…そういうのがなくても、それぞれの話は良かった。

    2017.2.23

  • 家族をテーマにした短編集。それぞれがじんわりときて良い。どんな人だろうが家族という関わりはあり、また一寸先にどうなるかわからない。近しいからこそ様々な感情が絡み合う存在。

    そこに見る家族像は果たして『他人事』なのだろうか。

    どの短編にも同じ内容のニュースの一文を入れており、どの章の結果にも左右しないが、一つの本としての完成度を高めていてうまいなぁと思う。

  • 様々な家族の姿を描きながら、世知辛い世の中で希望の光を感じさせるハートウォーミングな8編を収録した短編集。それぞれが独立した短編なのだが、どの短編にも背後に虐待の果てに幼い息子を殺してしまった母親の事件のニュースが影を落としている。その事件と各短編のストーリーとの対比が希望の光の輝きを、より一層感じさせてくれるようだ。

    『桜ひらひら』。交通事故で幼い我が子を失った夫婦の間に生じた亀裂。お互いに相手の事を慮っているようで、実は良く理解していないのが夫婦なのだろうか。読後に涙がじわりと滲む。

    『かたくなな結び目』。両親の離婚とその後の過去に追われるように仕事に没頭し続けて来たアラフォーの未婚女性。彼女は未婚のまま妊娠してしまうのだが…いつまでも過去に負い目を感じていては、目の前にある光を見付ける事も出来ない。

    『仮面パパ』。結末にホッとしながら、思わず笑ってしまった。ある日、突然、夫の会社に幼い娘を送り付け、失踪した妻。イクメンで通っていた夫は狼狽え、妻に翻弄されるのだが…

    『接ぎ木ふたたび』。定年退職し、独り暮らしをする父親の元に疎遠だった息子が妻と離婚し、息子を連れて転がり込む。主人公の父親が息子に語る言葉が非常に良い。頑固で不器用な昔ながらの父親が語る言葉には重みを感じる。

    『親子ごっこ』。なかなか子宝に恵まれない夫婦がある事をきっかけに姉の娘を養女にする事になるが…

    『愛情ボタン』。祖母危篤という電話に病院に向かう娘。しかし、なぜか娘の父親は頑なに実母を見舞う事を拒む。その理由は…ラストで涙が溢れた。

    『捨てる理由』。深夜のコンビニの前でダンボール箱に入れられ、捨てられた犬を拾った会社員。彼はその犬を家に持ち帰り、飼い始めるが、ある日、犬の飼い主の老人が現れる。犬を捨てざるを得なかった理由とは…

    『晴れ、ところにより雨』。アナウンサーとしてのチャンスを迎えたママさんアナウンサー。彼女は息子を巡り、マザコン気味の夫と義母と揉めていた。そんな時、彼女の元を訪れた父親…

  • あとがきにあるとおり、『問題を抱えていても、それでも歩みを進め、解決には至らなくても、すっきりとしたハッピーエンドではないにせよ、ラストには小さな光』を残されておられる作品でした。
    個人的には、スカッとする、または、ハッピーエンドやバッドエンドでもいいのではっきりとした結末となる作品が好きです。
    なので、本作品を読み始めたときは、正直すっきりしない結末だなと思いました。
    ただ、森浩美さんの作品は、我が身に降りかかってきそうなこと、それらを丁寧に優しく、たしかなハッピーエンドとはいえないけれども、リアルに書かれておられました。そこがこの作家さんの魅力だと思います。

  • sg

  • 家族の形はそれぞれ。一緒に過ごせる時間を大切にしたいと感じた短編集。『ひとごと』ではあるが、『ひとごと』ではない。

  • 1つの幼い男の子が、母親の虐待により殺されるという事件に触れながらの8組の家族の話らしい。
    この虐待事件って必要だったのかな?
    すべての話にこの虐待事件が、書かれていたとは読了後に気づいた。
    そう言えば…程度。

    仮面パパ以外は前向きな話。
    仮面パパは小気味いい話。

  • 角川書店の家族シリーズ。短編8編。母親による幼児虐待殺人事件をひとごとと感じる各短編の登場人物達。果たしてひとごとなのか?と問いかける。いつも通りそれぞれのラストには光が見えるがツライ内容もあり、子育てについて考えさせられる。

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著者プロフィール

作詞家、小説家。放送作家を経て1983年より作詞家を始める。作家・脚本家としても活動。

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