- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041023815
作品紹介・あらすじ
森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎える。そこで目にした驚愕の真実とは……。耽美と幻想に彩られた美しき謎解き!
感想・レビュー・書評
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「すべての世界が反転する衝撃」と帯にあり、読み始めたらもう止まりませんでした。
半分以上、一体何を読まされているんだろう?という気持ちで読み進め、ある時にグラグラと崩れ落ちる感覚。それも一度ではなく、何度も!
怖くて美しくて面白かった作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
嗚呼! 凄い!
美しくて、切なくて、おそろしくて……。
予想をはるかに上回る読書だった。
久しぶりに「はっ」と声が出てしまった。
この作品は何を書いてもネタバレになってしまうので、何も書けない。
もし、自分が誰かのレビューでネタを目にしてしまい、それから読んだとしたら、きっと腹を立てるだろう。
一般的に、トリックというのは道具であり手段だと思っています。
ですから、たとえそれがどんなに複雑で精巧な仕掛けだとしても、トリックを披露するためだけに作られた物語には心惹かれません。
感心はしますが。
本書は……私程度ではうまく太刀打ちできない、説明できない、美しく切ないミステリーでした。
この本を教えてくれたブグログの方々に感謝。-
土瓶さん、こんにちは。
何を書いてもネタバレしてしまう…ってよーく分かります。
切ないストーリーが忘れられなくて、また読みたい本の一つです...土瓶さん、こんにちは。
何を書いてもネタバレしてしまう…ってよーく分かります。
切ないストーリーが忘れられなくて、また読みたい本の一つです。
トリックについての考察、なるほど…と思いました。
トリックを披露するだけの作品、私が読んできた中にもあるかも。
そういう作品は私も何かを感じ取ったのかな…★評価低めです^^;2022/04/03 -
なおなおさん、こんにちは。
前半の、いつか不穏なことが起こりそうな予感。
そして驚愕のトリック。
そこで終わらずに物語は続いて、ラスト...なおなおさん、こんにちは。
前半の、いつか不穏なことが起こりそうな予感。
そして驚愕のトリック。
そこで終わらずに物語は続いて、ラストへ。
そのさらに後を読者に想像させるような終わり方。
よかった~。好みです♪2022/04/03
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読みたかった本。解説の皆川博子さん言うように予備知識も先入観も無しで読んでよかった。盲目の王女レイア。囚われの身でありながら物語や音楽に囲まれ父王に慈しまれ育ったが‥という最初の章から怒涛の展開。忘れられない美しい物語。
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ちょっとメルヘンの世界が長過ぎるんとちゃうの?
どう繋がっていくのかと…
少しイライラ…
大どんでん返しと言えばそうやけど、たまに、こんな事件あるな。
こんな誠心誠意に育てて貰ってないけどね〜
レイアが大人になって来て、真実が明らかになっていくのは、王様が罪の意識が出て来たのか、レイアが大人の兆候が出て来たからか…
現世に戻っても、メルヘンの時代が忘れられないのは、こんな感じで生活してたらそうなんかもしれん。
メルヘンの世界ほど、現世はキレイやないし、綺麗事やなく生きていかなあかんしな。
しかし、レイアさんは、これからも結構、ツラく生きていかなあかんのやろな。
まぁ、これが現世での真実の生き方なんやけど、また、メルヘンの世界に行くんかな?
とは言え、どんでん返しなかなかでした〜(^_^)v -
ブクログの本棚紹介で見つけて読了
素敵な出会いでした 収穫
ネット検索やコメント見ないで読むことをお勧めします
視覚を失った環境下での英才教育
恐ろしさのなかに咲く「美」感性を描いた文書が
知的でオシャレ
神は光でもあり闇でもある -
書店で見かけ、その書影の美しさに惹かれ購入。
森の奥深く囚われた盲目の王女・レイア。
父王からの優しく甘やかな愛と光に満ちた鳥籠の世界は、レイアが成長したある日終わりを迎えてしまう。その先でレイアが知ることになる、この世界の真実とは…。
ネタバレを避けるため詳しい内容は避けるが、章を跨ぐたびに息を飲む展開が続き、呆然とすることも…。
物語の結末は儚くも美しく、その先の話を見たい気持ちと見たくない気持ちで心を揺さぶられた。
切なく、生々しく残酷で、そして美しさを感じられるゴシックミステリーだった。 -
ある国の王であった父親が失脚し、
森の中の別荘に囚われた盲目の姫レイア。
父親と召使いのダフネ、そして父が語り聞かせてくれる美しい物語だけが、レイアの世界のすべてだった。
ところがレイアが13歳になったある日、信じていた世界は、音を立てて崩れ去ってしまう。
そこでレイアが目にした驚愕の真実とは…。
幻想と耽美の極致とも言えるゴシックミステリーの傑作。
祝復刊!
いやぁ~、なんと美しく切ない物語か( >_<)
(新装文庫版の皆川博子さんの解説がまた秀逸!)
心の奥底から湧き出す
どうしようもなく激しい感情。
読む者すべての胸の奥を掻きむしる何か。
この泣き叫びたくなるような、切なさの正体は一体何なのか。
ミステリーとしての仕掛けを期待すると物足りない人もいるだろうけど、
(それでも僕個人としては充分に驚かされました汗)
この作品のキモはそこではないのです。
幽閉された5歳の少女。
父のいない夜にカセットテープで聞いた「いばら姫」の物語。
沈丁花に似た甘い香りが引き連れてくるのは、
闇よりも濃い恐怖と
孤独よりも恐ろしい敵意。
耽美でとろけるような蜜の世界と
甘やかに匂い立つ美しき幻想の日々。
小説とはストーリーを楽しんだり
意外性やオチを楽しむ以外に、
その作家にしか書けない
文体そのものを味わう醍醐味があります。
(文体こそ人なり!)
この物語もまさにそう。
服部まゆみさんの審美眼が如実に投影された、
驚愕の真相が明かされるまでの
幼きレイア姫と父親である王との
夢のように甘い蜜の日々の
なんと淫靡で官能的なことか。
(物語前半のこの部分だけで、ご飯三杯は食えるし、★8つは献上したいくらいの見事な世界観!)
王である父は目が見えなくなったレイア姫に
色や言葉や食べ物や動物や花の名前を教え、書き方を教え、言葉遣いを教え、ピアノを教え、
絵本を読み聞かせ、
やがてレイアは数や時の概念を知り、
小さな哲学者となっていきます。
目が見えないレイア姫が
文字や言葉を覚えた喜び、
音楽や物語にのめり込む切実さは
三重苦を克服したヘレン・ケラーの「奇跡の人」が頭に浮かんだし、
闇を抱え、闇と葛藤するレイアの苦悩と
中庭の芝生での「ピクニック」と言う名の幸福を絵に描いたような昼食のシーンのコントラストが
より物語を美しいものにしています。
目は見えないが、輝くように美しく妖精のような5歳の少女レイア姫に
怒りと憎悪が凍りついた声で
「死ねばいいのに」と囁く
召使いのダフネの圧倒的な悪意。
父がくれた巨大なくまのぬいぐるみの「プゥ」と
レイアの騎士となる犬の「ダーク」を従え、
「赤頭巾」「ヘンゼルとグレーテル」「ピーターラビット」「ラプンツェル」「小公子」「小公女」「嵐が丘」「デミアン」「罪と罰」「緋文字」などの物語の世界を夢想し、
やがてその幻想とシンクロし、取り込まれていくレイアが
なんとも切なく胸を打ちます。
けれども、やりきれないリアルな現実の中で
物語の中に真実を見いだそうとする少女の姿を誰が笑えるだろう。
無垢な魂だけがたどり着くことができる残酷なまでに美しい世界を幻想的に描いた
ギレルモ・デル・トロ監督のダークファンタジーの傑作
『パンズ・ラビリンス』を彷彿とさせる世界観に
とにかく僕は耽読し、酔いしれました。
後半の衝撃的真相にはあえて触れなかったけど、
少女小説や幻想小説が好きなら
必ずや前半の展開だけで、
充分に満足してもらえる作品です。
なお、著者の服部まゆみさんは
2007年に肺ガンのため、58歳の若さで亡くなられました。
心からの御冥福をお祈りいたします。
(紹介してくれたkwosaさんにも最大の感謝を!) -
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何かが起こる!
何かが起きそう!
何かが起きている!
そんな不穏な空気感が好きです^^
ネタバレになりそうなので何も言えんです。何かが起こる!
何かが起きそう!
何かが起きている!
そんな不穏な空気感が好きです^^
ネタバレになりそうなので何も言えんです。2024/02/09
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凄かった…凄い本を読んでしまった。
当たりも当たり。こんな本もあるのか。星5以上。
ゴシックな幻想小説。囚われの盲目の姫。子供への愛情や適切な関わり方って大事だよな、目が見えない人が世界や概念を理解したり把握する成長過程ってどんな感覚なのだろう、などと前半部分思い馳せながら読み進めるうちに、
一回転ばされ世界観がガラッと変わり、
また転ばされ足元が崩れ、
もう驚かされないぞと字面を追っているうちに新しい事実とともに世界が転換し、虚構と現実が判別つかなくなる。
本書は、叙述トリックでも、非幻想小説でもない。前半部分の世界とは全く異なるというのに、最後にはしっかり幻想小説、耽美な方向に帰結した。先を想像させ余韻も残る。恐れ入った。
映像化もコラボレーションも不可能。まさに「小説」でしか表現できない世界。
2001年刊というのも読了後気づいて驚いた。
何年か置いてまた読もう。私の想像力が老化しない限り、きっと色褪せない新しい喜びを与えてくれるだろうから。