将軍の料理番 包丁人侍事件帖 (1) (角川文庫 時-こ 43-11 包丁人侍事件帖 1)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041024270

作品紹介・あらすじ

江戸城の台所人、鮎川惣介は、天性の嗅覚の持ち主。家斉に料理の腕を気に入られ、御小座敷に召されることも。ある日、惣介は、幼なじみの添番・片桐隼人から、大奥で起こった不可解な盗難事件を聞くが──。

感想・レビュー・書評

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  • 謎が謎をよぶ、料理人の捕物帖
    小袖盗人、師走の人殺し、火付け、の3話。
    この物語は、50俵高の御家人で江戸城広敷御膳所台所人・鮎川惣介と同じ石高の御家人で大奥の管理警護をする添番・片桐隼人が、探索する物語となっている。そして美味しい料理が紹介される。11代将軍徳川家斉の治世(在任:1787年~1837年)。西の丸には、世子家慶が控えている。

    【小袖盗人】
    文政3年(1820年)の暮れも近い江戸城で世子家慶を早く将軍にしたい一派が、大奥で小袖、帯を盗み、その罪を女中の初に被せる。そして盗まれた中年寄に批判が集中するように噂を流す。初は、迎えに来た父と一緒に城を出ると、心中に見せかけて殺される。それを不信に思った鮎川惣介と幼馴染の片桐隼人が調べだすと。旗本・板坂矢兵衛が係わっていた。
    ――― 京の料理人・桜井雪之丞との豆腐料理の料理対決が美味しく楽しいです。鮎川は、料理人として家斉に頼りにされ、探索にと活躍しますが、家庭では妻や子達と疎遠です。そのギャップが面白い。字が小さく薄いので10ページちょっと読んで休みと大変ですが、面白いです。
    7~97ページ
    2021.8.16~17
    ☆☆☆★★

    【師走の人殺し】
    隠居の老婆と夜鷹が2人殺された件で料理屋八百甚の女将と息子から相談を持ち掛けられた惣介と隼人は、帰りしなに女将の腕から青色や、紫色や、黄色の痣が有るのに気が付く。もしや甚兵衛が…憂さを晴らす為に殴り蹴りと…。気が付いた惣介は、老婆殺しと、夜鷹殺しを利用して女将と息子が、主人・甚兵衛を殺そうとしていることを見抜く。
    ――― 老婆殺しは、木戸番小屋の番人が、妻の復讐に殺し。夜鷹は、八百甚の手代が憂さ晴らしに行った。まことに、もの悲しい物語です。雪之丞が作る軍鶏鍋が旨すぎます。
    98~185ページ
    2021.8.17
    ☆☆☆★★

    【火付け】
    事件を追う惣介と隼人の前によく出て来る雪之丞と睦月の謎がやっと解けた。観音菩薩のような美しい睦月を用心棒として側に付け、京の公家・有栖川宮から西の丸の御姫様に派遣された料理人であった。もしや忍びか? 此度も、謎が多くて、よくついて行けなかったが…雪之丞と睦月は、京に帰り。家斉に呼び出された惣介は、家慶の胸中を語り、親子間の確執を取るためにも会って話し合うことを進める。
    ――― 字が小さくて薄いため十数ページ読むと止めるの繰り返しでなかなか進まない。その上に、どうも先が見えてこないので、読む気力が湧いてこない。此度も、読み終って、何かモヤモヤしている。
    186~283ページ
    2021.8.17~19
    ☆☆★★★

    【読後】
    小早川涼さんの本を読むのは初めてですが。この人の本は、この1冊で終わりにする。ちょっと私が常に読む時代小説と違っている。私が好きなのは、勧善懲悪で、美しい女性が主役を助けて華を添えるというものです。
    【著者紹介】
    小早川涼(こばやかわ りょう) 三重県伊勢市生まれ。愛知教育大学教育学部教職科心理学教室卒業。高校時代より古典と日本史が好きで、特に江戸に興味を持つ。日本推理作家協会会員。三重県文化賞文化新人賞受賞。←本書の裏表紙の記載より。
    字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ(字が小さいのに、字が薄いために目が疲れて、すぐ寝落ちする)。
    283ページ
    2021.08.16~19  4日間で読了

  • うっかり、「新・包丁人侍事件帖」の方を先に読んでしまったので、元のシリーズの方を一から順番に読むことにした。
    それにしても面白いシリーズ、巡り会えてうれしい。

    徳川は家斉の時代、文政三年(1820年)から始まる。
    江戸城の台所人、ぽっちゃり系の鮎川惣介は、ちょっとした失言で夫婦喧嘩。
    あ〜、料理人の夫から料理の事言われたくないよね〜
    14歳の長女と10歳の長男を持つ、30代半ばの夫婦の関係は、現代と変わらず。
    そんな、惣介の日常も微笑ましく描かれるが、ひとたび登城すれば・・・
    権力ある所に陰謀あり。
    一見小さな事件が、実は遥か上の方で、大物たちの操り人形芝居で繋がっている。

    片桐隼人は惣介の幼馴染で、大奥の警護に当たる添番。
    桜井雪之丞は、将軍の御台所の実家、京都から遣わされた料理人だが終始怪しい。
    「新」にも出てくるけれどこういう登場だったのね。

    そして、位は高けれど、親子の縁に悩む家斉と家慶。
    一冊の中にさまざまな親子の形が描かれている。
    そこへ惣介の親としての気持ちも。
    ちゃんと、息子を叱れる父親なのだけれど、何故か娘に対しては言葉が見つからない。
    とても人間味のある主人公なのだ。
    それにしても、陰謀のためなら下々の命など(いや、御台様の命さえ?)消すことに微塵も罪の意識を感じない者たちは、明るい所には姿を現さない魑魅魍魎である。

    江戸の暮らしあり、政治的陰謀あり、謎解きあり。
    そして、時代物らしくクライマックスではお約束のチャンバラ(死語?)ありの、サービス満点の作りだ。

    第一話 小袖盗人
     大奥、中年寄の部屋から、小袖14枚、帯2本が消えた。
     犯人が捕まるが、何の為に盗んだのか謎だらけ。

    第二話 師走の人殺し
     人殺しには二種類ある。目的(理由)のある殺人と、快楽のための殺人と。

    第三話 火付け
     火事が相次ぐ。
     鼻の良い惣介が、油が撒かれた臭いを嗅ぎ分ける

  • 模試が終わって衝動買い。料理がメインかと思ったが意外にもミステリー寄り?
    しかしそれはそれでなかなかに面白い。
    満足がいく買い物だった。

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著者プロフィール

三重県伊勢市生まれ。愛知教育大学教育学部教職科心理学教室卒業。高校時代より古典と日本史が好きで、特に江戸に興味を持つ。日本推理作家協会会員。三重県文化賞文化新人賞受賞。主な著作に「包丁人侍事件帖」シリーズほか、「大江戸いきもの草紙」シリーズや『芝の天吉捕物帳』『冷飯喰い 小熊十兵衛 開運指南』がある。

「2019年 『料理番 旅立ちの季節 新・包丁人侍事件帖(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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