いのちの車窓から (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 232
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041026496

作品紹介・あらすじ

星野源が、雑誌『ダ・ヴィンチ』で2014年12月号より連載スタートした、エッセイ「いのちの車窓から」。
第1巻となる単行本は2017年に刊行し、ベストセラーに。
【累計40万部突破】となる大人気エッセイ集、待望の文庫化!


ドラマ「逃げ恥」、「真田丸」、大ヒット曲「恋」に「紅白」出場と、
2014年以降、怒濤の日々を送った2年間。
瞬く間に注目を浴びるなかで、描写してきたのは、
周囲の人々、日常の景色、ある日のできごと、心の機微……。
その一篇一篇に写し出されるのは、星野源の哲学、そして真意。



文庫版では、カバーを新装&10ページ(エッセイ約2本分半に相当)にわたる、長い「文庫版あとがき」を新たに収録!

感想・レビュー・書評

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  • 『いのちの車窓から』星野源氏
    154P「いつだって世界を彩るのは、個人の趣味と、好きという気持ちだ。」
    ――――――――
    【購読動機】
    『歌うようにつたえたい』塩見三省氏のエッセーを読みました。著書のなかで、塩見氏は「エッセーを執筆するきっかけが星野源さん」と記述しています。
    お二人に共通するのは、病を患ったあとに俳優業に復帰されているという道のりです。
    ――――――――
    【エッセーとは?】
    わたくしは、エッセーを読む頻度が少ないです。たまたま、選んでいなかったというのが理由です。
    2023年度は、エッセーが自然に増える年となりました。流れ・・・なのでしょうか?
    エッセーは、著者の考えや気持ちに触れることができる貴重な機会の一つであると気づきました。
    ――――――――
    【読み終えて】
    星野さんは書籍のなかで記述しています。(私の解釈も含みます。)
    ・俳優業は、必要とされて初めて仕事となる職業であること。
    ・多くの俳優(ライバル)がいるなかで、心も体も消耗してしまうのは普通であること。
    ・売れてくる、脚光をあびる、その結果、エゴが大きくなり、仕事に支障をきたす先輩を多く観察してきた。
    また、星野さんは、幼少期、思春期ともに周囲を観察すること、一人でいる空気、空間が苦にならないことも回想しています。
    ――――――――
    だからでしょうか? 
    星野さんの景色をとらえる眼差し、人物を観察する眼差し、そしてご自身を省みる眼差しを柔らかな印象で受け止めることができました。

    始めから終わりまで優しい文体でした。そして、わたしは気持ちが軽くなる体験を得ることができました。
    「生きていると自然に力が入ってしまうのかも・・・。」
    「そんなときは、外にそして内に耳を傾ける時間を作ることが大切なのかもしれないな・・・。」
    ――――――――
    【エッセーより抜粋】
    66P
    音楽の在り方と向き合うためには、リスナーとしての感覚に素直になるしかない。
    74P
    文筆家としてエッセーを書くこと、目で見た景色と心の中の景色を描写することが、一種のヒーリングのようになっている。
    99P
    数年前から人見知りをと思うことをやめた。心の扉は、常に鍵を開けておくようにした。
    154P
    いつだって世界を彩るのは、個人の趣味と、好きという気持ちだ。
    168P
    心を無くさずに楽しく普通に生きられるように工夫をした方がよい。その中でも大事にしたいのは季節を感じるということである。
    192P
    文章のプロとは、ありのままを書くことができる人ではないか

  • 読もうと思ったのは前回の理由とは違い、
    たまたまsnsで読了した方のレビューが素敵で
    今回読もうと思った。
    うん。やっぱり面白い。
    源さんがファンだという友達に報告しよ。
    「源さんって素敵な方だね」って。

    余談、、、
    柴犬が好きだという源さん。
    私の趣味のシール集め。
    シールの福袋的なのが届いて開けたら柴犬シールだった。開けた瞬間笑った。

  • 人間味溢れるエッセイ集だった。
    日常を少しファンタジックに表現していて、読みやすかった。最後の方に出てくる「新垣結衣という人」が1番印象に残ったかな。本に書くぐらい素敵な人だったんだろうな〜数年後に本当に結婚しちゃうなんて、、♡

  • 『世界一受けたい授業』で林真理子さんが高評価をしていたため読んでみました。

    ちなみにこれまで星野源さんには『芸能人』以外の特別な感情はありませんでした。
    そして、今まで芸能人のエッセイで面白いと感じた本はひとっっつもありませんでした。

    私が好きなエッセイストは、まず村上春樹さん。
    それから三谷幸喜さん。
    椎名誠さん。
    三浦しをんさん。以下いろいろ続くなんだけど。。

    この本で彼の人柄の良さや暗さや(笑)自然体さや普通のひとの感覚で芸能の道を進む気持ちなどなど、少しずつ身近に感じることができました。

    好きなジャンルじゃないって思っていても、誰かに勧められてはじめて『あれ?こんなジャンルの本でこんな感情になるんだ?』っていう感覚。
    それが言葉のチカラであり、本の使命であり、その人の表現力なんだなぁって思う。

    いつも本には貪欲でアンテナ張って生きていきたいなぁって(←大袈裟!笑)感じました。
    こんなふうな感想を持つ本というのも珍しいな(^^)

  • 星野源さんのエッセイ。かつては文章を書くのが苦手だったとは思えないほど、上手だと思う。等身大でまっすぐな文章からは、誠実な人柄が伝わってくる。特に印象に残ったのは、何か目の前に大変なことや嫌なことがある時、それが終わった直後のことを想像し考えるようにすると、邪念を入れず目の前のことに集中でき、気づけば本当に終わっているのだ、というくだり。すごく良い考え方だなと思った。才能あふれ、多くのファンがいる星野さんも、若い頃には下積みのような時代があったということをエッセイから窺い知った。苦労し療養時期などを経た後の星野さんの活躍ぶりは本当に素晴らしい。私生活では新垣さんと結婚し幸せいっぱいの星野さん、これからも是非頑張ってほしい!

  • 星野源の文章を読むと、そして歌を聴くと人としての温かさが伝わってくる。自然と温かい気持ちになる。
    その理由はなかなか言語化出来そうにないが、自分も含めた世界のあらゆるものを思いやりを持って肯定しているからだろうか。

    元々はコミュニケーションが苦手でひとりぼっちだと殻に閉じこもっていたのに、思い改めて世界へ心を開いていくさま、ひとりが当たり前だからこそ人生のひとりではない瞬間に心を留められるようになっていくさま。文章を書くことが苦手だったはずなのに、自分の想いをそのまま言葉にしてこんなに人の心に届くような文章を書けるようになっていくさま。
    人は変わることが出来る、新たな自分に前進できると勇気をもらった気がする。

    『前向きに生きることは、本当に難しい』
    星野源でもそう感じることがあるなんて、と救われた気持ちだ。思いやりを忘れずに前向きに生きる努力をしていきたいと思う。

    忘れないようにメモ書き
    人見知りですと線を引くのは、コミュニケーションから人間関係を学び成長する努力を怠っている。そもそもどんな人間も一人であり、だからこそ人は手を取ってコミュニケーションを交わす。
    多忙であればあるほど季節は見えなくなり、逆に暇であればあるほど季節を感じてウンザリする、忙しい時こそ季節を感じるということを大事にしたい。

  • 「よみがえる変態」のあとに読んだから、パッと見て表題に重みを感じました。そして、先に読んだエッセイとの印象のギャップがすさまじい!

    とても良かったです。
    星野さんの物事に対する捉え方がいい!

    ワクワクする体験や嬉しい体験に私まで笑顔になりました。
    寺坂直毅さん・大泉洋さん・細野晴夫臣さんとのエピソードが素敵だったし、新垣結衣さんとのエピソードでは「あらあら♪」と思わずニンマリ。

    作中、良い言葉が幾つもありました。
    人生でちょっと躓いたり、迷っているときに読むと元気をもらえそうなエッセイでした。

    星野さんには星野さんの自分史があり、様々なことを経験して、乗り越えての「今」があるんだなぁとしみじみと感じた。
    このエッセイ、思ってたより良かったです!

  • 古田新太さん、
    鶴瓶さん、
    細野晴臣さん、
    大泉洋さんなど、
    いろいろな有名人の話があって面白いが、
    やはり「新垣結衣という人」は、
    今読むと感慨深い。。。


    でも、寺坂直毅さんの話が一番好き‼︎

  • 壮絶な人生(2度にわたる大手術)を歩んでるため、人の痛みに共感できるし、いやらしくない、そんなところも好き。
    エッセイを読むとその人の哲学・思考を吸収できるから大好きだ^^


    人生は旅だというが、確かにそんな気もする。自分の体を機関車に喩えるなら、この車窓は存外面白い。

    ヘビーや怒りエピソードほど面白く、笑えるように話すこと。ハマオカモトとのルール。
    →怒りを吐き出す行為はそれをぶつけられる相手の気持ちを大きく揺り動かすほどに負のエネルギーが強い。ただ、自分の中に留めておくと、次第に自分の心は不安定になり、体の具合も悪くなっていく。そのため、楽しく面白く吐き出す事が必要。
    →間や話の運び方、理不尽な事件に巻き込まれた時の自分のリアクションの再現の方法や表情の作り方で、なるべく相手が楽しくひどい!と笑えるように努める。
    読書が苦手だった。ぼんやりしながらページだけが進み、気がついた時には地方鉄道で寝過ごし全く知らない駅に着いてしまった時のように、本の中で1人迷子になった。
    →文のセンスがなかったので文章を書き続けて、いつしか好きになった。活字だけの世界にも関わらず、驚くほどリアリティのある人間味を感じたり、紙の中で世界中を旅し、知らない場所に行ったような感覚に陥ったり、さまざまな人の心の中に入ったような気持ちになれる楽しさを知った。想像力のモーターがフル稼働する楽しさ、読書の快感を味わえるようになった。
    →どんななたわいないことでも、それをうまく文章にできた時、心の中が綺麗に整頓されたように、掃除したての湯船に入り、綺麗に体を洗ったようにすっきりとした気持ちになった。
    →今後の課題は、もっと簡潔かつ自由に喋り、相手に伝わる言葉で心のままに話せるようになることだ。

    星野源の極が好きなのはブラックミュージックがベースの心の底から踊りたくなるようなサウンドにj-pop感が若干あるサビだから!

    しんどい時にはその直後を思い浮かべる。
    →しんどい時が終わった自分をしっかり想像するという行為は、物事は必ず終わるのだという単純なことに心から気づくための準備運動みたいなものだ。
    急に襲いくる病気や災害など、その状況が辛ければ辛いほど、頭では分かっていてもじゃあ前向きに頑張ろうはんて即座に捉えられない。
    →しかし、物事の終わりが感じられれば、うまくいかないかもしれないなどと毎日考え、緊張や自分の励ましなどに時間を取られる事がなくなり、必ず終わりが来るのだからと素直に目の前のことに集中できる。
    →集中できていると時間の進みも早く感じてくる。嫌だ嫌だと思っていると時間が長く感じる現象とは逆で、気づけば山は超え、そこまでワープしたかのようにしんどい時期は早々に終わっている。

    人を馬鹿にせず自分が馬鹿になること、競争をしたってつまらないこと、カッコつけたり誤魔化したりせず自分に正直に真っ直ぐ素直であれということ。

    いつだって、世界を彩るのは、個人の趣味と、好きという気持ちだ。

    いのちの車窓は、さまざまな方向にある。現実は一つだけれど、どの窓から世界を見るのかでいのちの行き先は変わっていくだろう。〜予想もしなかったような楽しくて嬉しい終着駅にたどり着けるように、よりよい窓をのぞいていきたい。それは現実逃避ではなく、現実を現実的に乗り越えていくための工夫と知恵ではないかと思う。
    →好転的に捉える

    音楽もだが、表現や伝えたいという想いには不純物が付きまとう。それらと戦い、限りなく削ぎ落とす事は素人には難しい。
    文章力を自分の欲望の発散のために使うのではなく、エゴやナルシズムを削ぎ落とすために使っている人、それが、文章の上手い人。

    歳をとるにつれ、好奇心と勢いで興味が湧くものはなんでもやりたいというフェーズを終え、一つ一つの仕事にしっかり取り組みたいという心持ちに変化した。

    脳や心に一度こびりついた景色は、二度と変えられないのではなく、新しいものに更新できるという事だ。希望があった景色から希望のない景色(コロナ)に更新できたということは、その逆も可能なはず。絶望の中で聞いたあの曲に、苦しみの中で読んだあの本に、悲しみの底で見たあの映画に、こびりついた景色は消せなはしないかもしれないが、新しいものに変える事はできる。

  • 星野源さんという方の頭の中を覗くとこうなっているのか…
    いろんな話題が収められていますが、様々な人に対する、温かな眼差しが特に印象的でした。
    深夜に出会ったタクシーのドライバーさんや飲食店のマスター、俳優さんや女優さん、ミュージシャンの方々…人を語るときの文章がよく特徴を捉え、本当に温かくて、心から「人」が好きなんだろうなぁ、と感じました。
    星野さんの歌が心に響く理由を垣間見れた気がしました。

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著者プロフィール

1981年、埼玉県生まれ。俳優・音楽家・文筆家。俳優として、映画『罪の声』で第44回日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。音楽家としては、近年に『SUN』『恋』『ドラえもん』『アイデア』『創造』『不思議』など多数の楽曲を発表。また、著作に『そして生活はつづく』『働く男』『よみがえる変態』がある。音楽、エッセイ、演技のジャンルを横断した活動が評価され、2017年に第 9 回伊丹十三賞を受賞。

「2022年 『いのちの車窓から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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