メタルギア ソリッド サブスタンスI シャドー・モセス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041032282

作品紹介・あらすじ

自国に牙をむいたテロリストを鎮圧し、人質を救出する。それは、単純な任務のはずだった。しかし、ソリッド・スネークは国家レベルの陰謀と遺伝子レベルの運命に巻き込まれる。いまあかされるシャドー・モセスの真実

感想・レビュー・書評

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  • ゲームのまんま
    サイコマンティスとかマルチエンディングとか

  • 1998年にコナミより発売されたPSソフト『メタルギアソリッド』のノベライズ作品。ノベライズは、同シリーズ作品『メタルギアソリッド ピースウォーカー』のノベライズを担当し、ゲーム原作者である小島秀夫からその高い完成度を評価された、野島一人が引き続き担当している。

    原作で描かれた「シャドー・モセス島事件」が起こった4年後の世界で、アメリカのマンハッタンに住む一人の少年が当該事件について書かれたテキストを読み進める形で物語が進行するのが特徴。また、ゲーム発売当時の1998年にはまだ発生していなかったアメリカ同時多発テロ事件が物語の背景に組み込まれており、現代の諸問題(ポスト冷戦、核、紛争、テロ...etc)をテーマにしている原作の物語により深みが与えられている。

    原作をプレイしていなくても、本書のみでストーリーは十分に理解できるものと思われる。前述のように、元々がリアルな近未来を描いた作品なので、テキストのみでは想像し辛いシーンが少ないというのもあるが、原作の世界観やテーマ等を十二分に理解している野島一人(小島秀夫評)だからこその読み易さがあるかもしれない。

    物語の最後は、次作『メタルギアソリッド2 サンズ・オブ・リバティ』で描かれる「ビッグ・シェル占拠事件」の発生を仄めかして締められている。本作同様、次作も原作の内容は把握しているので、オリジナル部分である「物語を観測する少年」がどのように描かれるのかを楽しみに、次作ノベライズを読み進めたい。




  •  

     ソリッドスネークが人質救出や核攻撃阻止のためにテロリストに占拠された島に潜入し激闘を繰り広げていく。
     その過程で国家の陰謀、テロリストの思惑、自身の出自や生きることへの疑問などが交錯していく。核攻撃しようとしてる悪いテロリストを倒すという単純な話から人質、敵や味方を通して核兵器の開発秘話、テロリストの出自や目的、主人公に伏せられていた味方の秘密や国家ぐるみの陰謀などと大きな話に繋がっていく。

     面白さ
     ・徐々に明らかになる陰謀。
     目の前の敵は悪ではなく本当の敵は国家や権力の陰などの見えないところにいて戦場にいる当事者を操っている。敵が語る自身の生い立ちの不幸は国家間の争いや策略が原因でテロ行為に至るのも当然で悪事の元を辿ると国家や権力者に繋がっていく。

     ・自分の生き方への疑問と向き合い方
     生まれた時から大きな力に操られ、今までの人生は他人に作られたもので自分の人生はどこか分からなくなる中で本当の自分や生き方を探ろうとする葛藤の人間らしさ

  •  著者、野島一人の背景は何も分からない。インタビューなどでは執拗に小島監督ではないと言われているが、そこまで言われると逆に何かあるのではないかと疑ってしまう。でも、小説を書くほどの時間があるとも思えない。文章力は、本書の最初と最後ではレベル違っていて、まだ発展途上な感じがした。MGSの小説は、レイモンド・ベンソンの作品もあるが、そちらよりは面白い。ストーリーの流れが、次のMGS2などを意識しているし、ページ数も多いので、しっかり情報を入れて書けている。
     物語は二つの時間軸で進行していて、MGS2の事件が始まる直前の2009年に、エドワードという青年が一通のメールを受け取る。その中にはシャドー・モセスについての真実が書いてあって、それをエドワードが読むと共にMGS1のストーリーが語られる。メールはたくさんの人に送られていて、ただのメールではなく、サイコ・マンティス戦ではメールを読んでいる人の隠したい秘密が明かされることや、スネークの拷問シーンをちゃんと見ているか見ていないかでエンディングが変わる仕様になっている。そして見終わると、HDD内にあるソリッド・スネークの情報は全て消えてしまう。
     MGS2の事件を間近で体験した人物を出すことにより、MGS1の閉塞感が薄くなる。それが嫌な人もいるかも知れないけど、MGS1と2は鏡合わせの物語でもあるわけだから、MGS1と2を繋げてしまうという企みは良いと思う。

  • 17:ゲームは弟が遊んでいるのを横で見ていた程度なので、実はストーリーをよく知らないのですが、野島さん流(JBのあたり、ちょっと伊藤計劃さんを意識?)のMGS1、楽しめました。今作は「サブスタンス」とのことで、シリーズをかなり客観視できそう。続編も楽しみ。

  • 語り手の設定が神がかっていると思います。このアイディアはずるい

    リキッドが好きすぎてこればっかり何回も読んじゃうマンと化している…

  • 面白かった。
    もうだいぶ前になるMGS1の興奮が蘇った。
    ピースウォーカーの時は、伊藤計劃をなぞってるような気がしたけど、格段に文章が上手くなってる。
    ただ乱丁なのか、誤植なのか、一部助詞が抜けてるのは気になった。
    あと「涙はすでに涸れている」を、なぜ省いたのか?
    それさえあればほぼ完璧だったのに。

  • ゲームメタルギアソリッド1の内容に、一部オリジナル要素を加え、2015年の解釈でノベライズにした内容になっています。
    なのですが、ゲームに思い入れが強かった自分には、内容がかなり原作に準拠しようとした結果、淡々としなっていて、ゲーム内のイベントこなすように読むことに作業感を覚えてしまいました。

  • サイコ・マンティスと、グレイ・フォックスの死に、不覚にも涙がにじんだ。彼らの悲しい運命に、鼻の奥がツンとした。ここまでドラマティックに、あの名台詞が響くとは。こんな物語だったのかと改めて驚き、こんな作品に出会えてよかったと思った。

  • すごい。ストーリーだけじゃなくてゲームの要素を上手く練りこんで、ゲーム発売後の出来事を飲み込んで、新しい「シャドー・モセスの真実」が、きっちり小説になっていた。
    MGS4伊藤版の気配を感じたのは、MGS3長谷版とMGSPW野島版が“ネイキッド・スネーク”で、伊藤版だけが“ソリッド・スネーク”の物語だからかと思ったけど、それだけじゃないような気がする。すごく良い。

    「シャドー・モセスの話なんて、私絶対泣いちゃう」と思ってたけど、涙が出たのは読後1日経ってからだった。
    読んでいる間はストーリーと登場人物それぞれの動きと感情の爆発を追うのでせいいっぱいで、1日かけて反芻していたら登場人物たちの深い哀しみと苦しみが迫ってきたのだった。
    わたしは、俺は、自分は、一体何なんだ…。
    誰かの意志・誰かの精神構造・誰かの遺伝子、そんなものにどれだけ自分は規定されてしまっているのだ、壊されてしまうのだ。
    すぐにぼろぼろと崩れていく自己を、他者と自己との違いを慎重により分けて、必死で成形しながら過ごす毎日だ。
    スナイパー・ウルフの、グレイ・フォックスの、サイコ・マンティスの、ナオミ・ハンターの、そしてMGS4まで続くソリッド・スネークの、苦悩と傷が共鳴する。
    あぁ、大好き。
    そしてやっぱり憎悪と愛情は、私にとって全く同じだ。

    次巻もすごく楽しみ。

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著者プロフィール

著作品「メタルギアソリッド ピースウォーカー」

「2015年 『メタルギア ソリッド ファントムペイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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