バベル九朔

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
2.84
  • (15)
  • (67)
  • (277)
  • (133)
  • (22)
本棚登録 : 1488
感想 : 237
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041034644

作品紹介・あらすじ

万城目ワールド10周年。新たな幕開けを告げる、最強の「奇書」が誕生!!

俺を追ってくるのは、夢か? カラスか?
作家志望の雑居ビル管理人が巻き込まれた、世界の一大事とは――。

作家志望の「夢」を抱き、 雑居ビル「バベル九朔」の管理人を務めている俺の前に、ある日、全身黒ずくめの「カラス女」が現われ問うてきた……「扉は、どこ? バベルは壊れかけている」。巨大ネズミの徘徊、空き巣事件発生、店子の家賃滞納、小説新人賞への挑戦――心が安まる暇もない俺がうっかり触れた一枚の絵。その瞬間、俺はなぜか湖で溺れていた。そこで出会った見知らぬ少女から、「鍵」を受け取った俺の前に出現したのは――雲をも貫く、巨大な塔だった。
万城目学、初の「自伝的?」青春エンタメ!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • "俺"こと九朔満大(きゅうさくみつひろ)は、五階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしている。祖父が建てたこのビルは三女の母が相続した。小説家志望の俺は会社勤めを辞め、小説一本に絞っている。だが管理人業務は多岐に渡り、毎日苦闘の連続だ。そんなある日、全身黒づくめで目だけがカラスという女が現れて…。

    デビュー前に、実際ビルの管理人をしながら小説家を目指していたという著者の自伝的要素を散りばめた前半部分はさすがに説得力があります。
    "カラス女"が出てきた辺りから例によって破天荒な展開に突入しますが、いつものような軟着陸…とは言いきれない終わり方です。SF小説や幻想ファンタジーなどに耽溺したような人じゃないと、読み通すのは結構つらいかも。
    それと、『バベル』を創り出した人物の持つ能力や、その源が湖にある…という設定などは、正直言って初見の読者には理解が及ばないでしょう。先に「偉大なるしゅららぼん」を読むことをお勧めします。主人公の名前に隠された秘密も、すんなりと理解できますから。

  • 一時中断してしまい読み終えるまでに時間がかかってしまいました。最後まで読み終えてなんとなくわかった気がしました。ドラマは、まだ観ずに録画してあるので早速、観てみたいと思います!

  • TVドラマ化されると知って久々にこの著者の作品を読んでみた。これまでもややファンタジーに振った作品だったが、なんとかストーリーの体はなしていたが、本作はちょっと酷過ぎるんじゃないかい、丸で異世界の話で納得いく結末にもなっていない。同じ京大出身の作家の森見登美彦にしてもそうだが、最近ラノベの影響を受けたのか不条理小説に走り過ぎじゃないかい。やるなら村上春樹のようにちゃんと文学性を持たせてもらいたい。

  • バベル九朔の管理人の俺は、書き上げた小説を応募する直前でカラスのような女に、バベルの世界へ連れてかれる。

  • 他の方々の困惑の感想を読んで、自分だけではなかったかと、ちょっとほっとした。
    著者自身の経験も織り込まれた、古い雑居ビルが舞台の異世界冒険譚。
    状況がイメージしにくくて、他の作品ほど引き込まれなかったけれど、湖、干拓、不思議な力を持った人、東北、というキーワードで、またあの人たちか!と他の作品との繋がりを感じられたのは面白いなと思った。これからも末裔の物語があちこちで見られるとしたら楽しみ。

  • 小説の題名を考え倦ねる主人公が変な世界に連れて行かれる話。

    現実世界の小説に関する悩みと異世界の混乱にどんな関連があるのか、はじめは皆目検討がつかなかった。しかし、それは異世界ではなくつながっていることにだんだん気付く。


    聖書でのバベルの塔は、天におられる神に届く高さを目指して作られた。しかし神様はそれを高慢だと怒り、塔を潰した。実現不可能なことの例えとしても用いられる。

    一方、バベル九朔では、影(無駄)をたくわえて塔が形成され、それがないと崩壊の危機を迎える。

    聖書で塔は高慢さの象徴であり悪しきものとして扱われているようだが、バベル九朔では、不可能なことを目指したって人間臭くていいじゃないか、それが人間だ、というメッセージが含まれていると思う。

  • 「バベル」謎の塔を果てしなく上り、新たな展開、展開、展開。序盤から一気に引き込まれました。キャラの立った登場人物たちの息をもつかせぬ展開、深まる謎。ページをめくる度に「何が待っているんだろう?!」とワクワク感を止められませんでした。最後のシーンも謎が解けて、すっきりします。
    すごくおもしろくて今もお気に入りの一冊です。

  • 母親の持ち物である雑居ビルの管理人として居座りつつ小説家を目指す主人公。
    3年かけて書いた長編を新人賞へ応募しようとしていたその日、雑居ビルに異変が起きおかしな世界へ迷い込んでしまう。それは、雑居ビルを建てた祖父の作り上げた影の世界。しかもその世界が崩壊しかけているという。
    元の世界に戻りたい、かつ影の世界の崩壊も回避したい。全くもって理解できない仕組みの世界に翻弄されながら主人公が奮闘する。

    一言で言うと、不条理系なのか。朝起きたら虫になっていたようなカフカ的な後味。
    結局、影の世界を維持する方法はわからないし、そもそもだれもいないなら精算して貰えば良いのだが、なぜ維持し続けたいのか。そして、自分はパラレル世界で生きていくのか、さらに元の世界に戻した少女はどうなるのか。
    色々わからないことがありすぎて、もやもや。

  • 途中くじけそうになったけどどう着地するか知りたくて頑張った。万城目学ワールド。

  • 万城目ワールドが大好きなのですが、この作品の世界観は難しかった…。大好きな万城目さんの作品を楽しめずに流し読みで読了。残念…。

全237件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

万城目学の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×