死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)
- KADOKAWA (2016年10月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (516ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041036211
感想・レビュー・書評
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震災時、仙台在住だったが恥ずかしながら本書に書かれた内容は知らなかった。原発賛否の意見はあるとは思うが、命がけで行った原発との闘いは日本人なら知っておくべき内容であると思う。
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著者は何度も繰り返し丹念に取材を重ねたのだろう。
生々しい描写が伝わってくる。
一歩間違えれば我々の住む世界は変わっていたかも。吉田所長を始めとする現場の職員達の奮闘に拍手を送りたい。
それにしても、悪戦苦闘する現場と頓珍漢な政治家・本社との乖離はいつの時代でも変わらないのだろうか。
今回のコロナ対策でも同様の事が言えると思う。 -
とても読みやすいです。
本当に感動しました。
1人でも多くの人に読んでいただきたいです。 -
インフラに携わっている技術者なら読んで感動すること間違いなし。同じ立場に立ったら、自分なら?と何度も考えた。巻末に朝日新聞の粗末な批判についての記事があった。新聞だからといって、無条件に信頼することの怖さを知った。
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映画「Fukushima50」の原作にもなった。原発賛成か反対かを問わず全ての日本人に読んでもらいたい、感動の事実。ノンフィクションの傑作。
東日本大震災による福島第一原発の全電源喪失という想定外の事態。原子炉の暴走、放射線量が増加すれば東日本には人が住むことが出来なくなるような危険な状態。
被害を食い止めるために現場で戦った東京電力の職員たちの実話。本店であったり原子力安全委員、時の民主党政権など、そちらの行動とは関係なく使命感から現場に残り活動を続けた職員たち。
本書の中心は所長の吉田昌郎。彼は2013年7月9日58歳にして食道癌、脳出血による闘病の末亡くなっている。
夫人の言葉「あの時に福島にいたっていうのは、なぜ1億3千万人の中からパパが選ばれたのか。若い頃から運命を受け入れることをずっと言い続けた人だったので、こういことがやっぱり決められていたんじゃないかと思うんです。」
吉田が所長であったから日本は救われたと言っても過言ではないように思う。
吉田ほか死の恐怖より使命感が打ち克った人たち。本書は貴重な記録だと思う。
それにしても時の総理大臣はイラ〇の愛称の通り現地に急に来て怒鳴り散らして掻き回すばかり、その後の心ない発言も含め、映画ではきっと悪役になるだろう。 -
ありがちなフレーズだけど、この人たちの戦いの日々は、知っておかなきゃいけないことだと思う。忘れちゃダメなんだ、俺は。
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あの時、どんな人たちが危機に立ち向かっていたのか。それを知りたくて読み始め、読み終わってもいない中で、土地勘が知りたくて、事前に地図の確認も計画もせず、お盆休みを利用して日帰りで震災後8年も経過して恥ずかしながら初めて被災地を訪ねました。
この本と共に現地で感じたのは、安全神話などないこと、経済的に恵まれた状況や自然、科学を過信しないこと、常に謙虚に対策を検討することの大切さ、危機に直面した時の人の振る舞い、などなどたくさんのこと。
今でも帰宅困難地域の家の門は柵で立入を禁止されていることがわかります。これを目にした瞬間、ここで育った人々の同じ場所で同じように振り返ることが許されない思い出、そこに住む人々の何気ない日常を奪うことになってしまった事実がバァーッと胸に迫り、グッと苦しくなりました。
対応にあたられた、今もなお対応される方々に感謝の気持ちを持つようになりました。
今では科学的に安全であることが証明されている農産物、とても美味しいのに、ありもしない因縁をつけてくる、ごく一部の隣国や左がかった風評被害などに負けず作り続けて頂きたい、福島を応援したい!と思いました。
この事実を一冊の本に書き上げてくださった門田隆将さんに感謝とこれからも応援していきたい気持ちでいっぱいです。