蜘蛛男 江戸川乱歩ベストセレクション (8) (角川ホラー文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2009年9月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041053355
作品紹介・あらすじ
好みの女性を狙う殺人鬼・蜘蛛男が現れた。犯罪学の権威・畔柳博士が犯罪を阻止しようとするが、被害者は跡を絶たない。そんな中、明智小五郎が蜘蛛男の正体を見破る。蜘蛛男を追い詰める明智の作戦とは!
感想・レビュー・書評
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体をバラバラにされ惨殺された女性の死体はそれぞれの部位が別々の場所に置かれ発見された。相次ぐ異様な殺人事件と、事件を追いかける畔柳博士。怪人物”蜘蛛男”と”青髯”の正体とは。
物語のつかみから読者の心をグッと掴んできて、その後の畔柳博士を主軸とした事件を追う流れもテンポが良く楽しい。乱歩本人が言ってるように通俗ものっぽい作品なので、キャラクター性の強い人物やケレンのある展開が特徴となっています。また、明智小五郎シリーズではあるけれど、ご本人が登場するのは話が2/3くらい進んでからだったりするし、そこにいたるまで結構規模の大きい犯罪が起こったりと、いつもとは構成が異なっているのもポイント。殺人を「芸術」とのたまう犯人に対して、余裕を見せながら、見せすぎて逃げられたりしながら明智くんが立ち向かいます。てか明智くん遊びすぎ、もっとちゃんと犯人逮捕に貢献しようや。誇大妄想をほんとに実現しようとするヤバ目な思想を持った犯人像や、前半のグロ色の強さはちょっと人を選びそうですが、その分ハマれば一気呵成に読んじゃうはじけた作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸川乱歩の傑作です。
ヒーロー的悪役をうまく描いていて、あっという間に読んでしまった。
面白いんだけど、好みが分かれると思います。
僕には登場人物が芝居がかり過ぎて、ちょっと最後の方は飽きてしまいました。 -
気持ち悪い。
こわい。
だけど、読み進めたくなる。
江戸川乱歩、無償に読みたくなるときがあって、まさに今がそのとき。 -
日本のいわゆる「探偵小説」の原点は乱歩なのではないか。
物語が進むにつれ、二転三転する展開に引き込まれる。乱歩の文は丁寧とは言えないが何か心を捉えるものがある。一気に読了してしまった。少し刺激が欲しい方におすすめします。 -
ミステリだからすきなのではなく乱歩だから好きなんだなぁ。現在の視点ではミステリとしてはたどうにも雑なのだけど、作者が読み手を喜ばす為に力を入れたんだろうなという気がする。パノラマ館のあたりはとくに素敵。久しぶりに一気読み。
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序盤から結構ヒントが与えられていたので、犯人がわかったときはああやっぱりなぁとそんなに驚きではなかったけれど、後半の犯人VS明智小五郎の裏の裏をかく攻防戦にはドキドキハラハラ、手に汗握りながら読みました。
パノラマ館の描写などは猟奇的で美しくて、エログロっていうんですかね、たまりませんでした。この禍々しさは今の小説ではなかなか感じられないと思います。読者に語り掛けるような第三者目線の文体が昔の活劇とか紙芝居じみてて、それもまたすごくいい味が出てるなぁと思いました。
やっぱり乱歩は面白い! -
江戸川乱歩作品集大成、今までのトリック勢揃い!という感じでよかった
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「江戸川乱歩」の長篇ミステリ作品『蜘蛛男 江戸川乱歩ベストセレクション(8)』を読みました。
「岡本綺堂」の作品に続き、昭和初期に発表された作品、、、
「江戸川乱歩」の作品は、『江戸川乱歩短篇集』以来なので5年振りですね。
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猟奇的殺人事件を描いた推理小説の傑作!
好みの女性を狙う殺人鬼「蜘蛛男」が現れた。
犯罪学の権威「畔柳博士」が犯罪を阻止しようとするが、被害者は跡を絶たない。
そんな中、「明智小五郎」が「蜘蛛男」の正体を見破る。
「蜘蛛男」を追い詰める「明智」の作戦とは!
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『講談倶楽部』に1929年(昭和4年)8月から1930年(昭和5年)6月まで連載され、「江戸川乱歩」による"通俗もの"の代表作とされる作品です… 久しぶりにレトロな冒険活劇を愉しみましたね。
東京のY町に開店した小さな美術商・稲垣商店へ事務員としてやってきた「里見芳枝」は、店長の「稲垣平造」と出かけたきり、行方不明となる… 「稲垣」の正体は、「青ひげ」になぞらえられる殺人鬼「蜘蛛男」だったのだ、、、
やがて、「芳枝」は石膏像に塗り込められたバラバラ死体となって発見されたうえ、「芳枝」の姉である「絹枝」も殺害されて水族館の水槽に浮かべられてしまう… この事件を調べていた私立探偵の「畔柳(くろやなぎ)博士」と助手の「野崎青年」は、「蜘蛛男」が「芳枝」に似た女性ばかりを狙って殺人を行っていると考え、警視庁の「波越警部」とともに捜査へ乗り出すが、被害者は跡を絶たない。
そんな中、名探偵「明智小五郎」が現われ、「蜘蛛男」の正体を見破り、徐々に追い詰めていく……。
「蜘蛛男」の正体は中盤あたりには想定できており、終盤は「明智小五郎」と一緒に犯人を追い詰めて行く気分が味わえましたね… 時々、読者に話しかけてくるような独特の語り口もイイ感じでした、、、
現実感はないのですが、物語として割り切れば、とても愉しめる作品ですね… 昭和初期の作品も侮れません。 -
まじかーって感じ
すごい性癖のおっさんシリーズ