KATANA 17 金屋子さまの刀 (あすかコミックスDX)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054390

作品紹介・あらすじ

岡山県の長船に父親と一緒に行くことになった滉。長船三姉妹と再会するが、長女のすぐはの様子がおかしく――!?

感想・レビュー・書評

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  • この『KATANA』、さすがに『ルート3』などには及ばないにしろ、それでも、最新刊が待ち遠しく思えるシリーズもの
    『IPPO』の感想でも書いたが、職人系の作品として一つ上にある、と個人的には感じている
    日本人らしさは日本刀、なんて安い印象は持ってないし、それを他人に押しつける気も毛頭ないが、それでも、日本刀の本当の良さに、もっと、日本人が気付いてくれりゃいいな、とは思う。日本刀は擬人化しなくても、十分に美しく、カッコよく、底が見えないものだ。そう、感じるのは、歴史と作り手の信念が、細部にまで宿っているからだろうか
    この(17)では、ある意味、かまた先生だからこそ突っ込んでいける、日本刀と女性の関係について、が描かれている
    あくまで、個人的な考えではあるが、最高の芸術品を生み出すのに、性別は関係ない、と思っている。人間力が高い、そこが大事だ
    女性じゃ出来ない事も確かに、刀に関わる仕事の中にはあるだろうけど、女性だからって諦める必要もない。女の感性あってこそ引き出せる美しさもあるだろう
    職人の世界に飛び込んだなら、まず、性別を言い訳にしない、その覚悟が持つ事だ。これは男にも言える。女性が男社会に入ってきたからと言って、迫害するのはカッコ悪いにも程がある。男の方が上って言うんなら、女性に優しくできるって男らしさを見せて欲しいもんだ
    しかし、ルール、モラルっつーか、いわゆる、禁忌を蔑ろにしていいかっつーと、違うな、とも思う
    曲がってしまった慣習を変えるのも、もちろん、大事だ。けど、それまで綿々と受け継がれてきたからには、それなりの理由と根拠があるのだから、それについて詳しく知らないのに、性差別の撤廃をお題目にして、伝統をメチャクチャにしてしまうのは間違ってる。壊していいモノと、壊してはならぬモノ、その線引きが出来る者にこそ、伝統芸能に関わる権利があるんじゃないかね?
    創造、調和、破壊、その三本柱がしっかりしている職人には、神様がちゃんと微笑み、加護を与えてくれるもんだ
    この(17)では、長船三姉妹の長女・すぐはの女性かつ刀鍛冶としての成長譚となる「金屋子さまの刀」だけでなく、名話が収録されている
    職人である自分達がお世話になっている器物への感謝の仕方が描かれている「鞴祭り」もオススメだが、個人的には、「介入」が好きだ
    毎度、お約束で、つまらぬ恨みから、ピンチに陥ってしまう滉。そんな彼を救うのは、いつも通り、京崎だ。彼の、親友の強さを理屈抜きで信じ、自力で立ち直る事を疑わず、ドンと構えているトコは、本当に高校生か、と思うほど
    さすがに、BL感こそ漂っちゃいないけど、男の子と男の子を繋ぐ友情には、胸が熱くなる
    友達が信じてくれる自分を信じ、滉は深い絶望の中でも希望を捨てず、どうやったら、このピンチを脱せるか、を考え、行動に移せる。何だかんだで、滉もイイ男なのだ
    また一つ、執念を断ち切った滉。けど、これくらいで諦めるようなタマじゃあるまい、三輪と瑛介は。むしろ、余計に滉を恨み、憎み、新たなる謀略を仕掛けてくるに違いない。滉にゃ悪いが、この攻防あってこそ、『KATANA』は面白いので、今後もガンガン、ピンチになってほしいもんだ。まぁ、大丈夫さ、今回で襲との絆も強まったんだから
    この台詞を引用に選んだのは、やるなぁ、と感心したので。久しぶりに、このシリーズの感想を書きたいって思い立ったのも、このコトバがあったからこそだ。人間かつ職人としちゃ、まだまだ、難のある人だけど、それでも、滉より長く生きてるだけあって、後輩に向けるエールには説得力がある
    見るべきモノを視ず、向かい合うべきモノと対峙もしてないのに、言い訳ばかり並べるのは、ちゃんちゃら可笑しいって話だ。自信なんてのは、難題にぶつかって砕けて、復活して、また激突して、その繰り返しでなきゃ得られん。自分の出すべき答えが分かってるなら、迷う必要なんて、これっぽちもないのだ
    滉順さんも、ここで気力を使い果たさなくなれば、一皮剥けるんだろうが、それはまだまだ先かな?けど、焦る必要はない。父には父の、子には子のペースがあんだから

  • このシリーズ好き〜。いいわぁ。

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