山の霊異記 赤いヤッケの男 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057339

作品紹介・あらすじ

赤いヤッケを着た遭難者を救助したため遭遇した怪異、山の空き地にポツリと置かれた大きなザックから夜出てくるモノ……自らも登山を行う著者が、山で訊き集めた数々の怪談実話。新たな書き下ろし2篇収録。

感想・レビュー・書評

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  • 安曇潤平『山の霊異記 赤いヤッケの男』角川文庫。

    山岳怪談短編集。書き下ろし2話を含む、28話を収録。面白いことは面白いが、反面、似たような話もあり、飽きが来る部分もある。その中でも表題作の『赤いヤッケの男』は秀逸。

    山という文明社会から隔絶された過酷な世界を舞台に様々な怪異が描かれる。一歩間違えば死の淵が待ち構え、はからずも命を落とした山屋たちは自らの死に気付くこともなく、ただひたすら山をさ迷うのであろう。

  • 背筋がひんやりとする怪談はもちろん、山の情景の表現が美しい!!山登りを擬似体験できます(笑)
    それと同様に怪談もしっかりしてるので普通にこっわ!!!となるし、たまに感動系のお話もあって強弱の付け方が◎
    一つ一つの話の書き方も工夫がしてあるので飽きずに読めた。
    シリーズ化しているようなので引き続き読もうと思います。

  • 山好きな作者が自分の足で各地を回って取材した、山に関する実話怪談集。
    怪談自体も背筋がゾクッとするものが多く、夏には最適かもしれない。

    しかし、登山をしてる身からすると、この小説の凄さは山の描写が繊細で自分が歩いているかのように景色が想像されること。春夏秋冬それぞれの日本の山の持つ雄大さと、繊細さ。そこにほんの少し怪談が合わさると、なんだか異世界にでも迷い込んだ様な感覚に陥ることができる。

    その意味では、他の現代怪談集とは一味違う作品。

  • 前作を読み終えた途端、2冊目を渡された。

    山登りをする人はほとんど怪異に合っているのかってくらい、怖い話がわんさか出てくる。著者は、この本を読んだあとに、山をもっと好きになってくれればってあるけど、好きになるかな…怖いが先にたつかな…。

    山の怪異って、ずいぶんはっきり知覚できる話が多い印象だった。日本の怪談は、音は聞こえるけど姿ははっきり見えない、確認できないけど感じられるみたいな、霞がかったような話が多い(ように感じる)けど、この本には、前を歩いている親子が、すれ違った登山者が、実は!ってパターンもあって、会話したり一緒に山登りしたりしてんだよねえ。

    怪談って、ある程度パターン化していて、途中まで読むとだいたい話の展開がわかってしまうんだけど、わかっててもやっぱり怖いし、最後まで読んでしまうよね。

  • 暑い日が続くので、夏の定番。
    怪談の本でゾクッと。

    山好きな筆者が実際に経験したお話から、人から聞いた話。
    短いお話がたくさん収録されてます。

    心霊現象ってあんまり信じないんだけど、やっぱりこういうの読むと怖くなっちゃう。
    とりあえず、一人で山には入れないなぁ…と思った。

    そして、日本の山は標高は高くないのに難しい山が多いって知らなかったので、びっくり。
    あと、この本の単行本バージョンの表紙が怖すぎて…!
    amazonで買ったら、暫くそっちのバージョンがあなたへのおすすめで出てきて怖かった 笑
    ______________________________________________________

  • 山は地上とはどことなく違う。
    空気なのか何なのか、上手く言えないけれど
    やはり何が違う。
    幼い頃、母に連れられ割と沢山の山に登りました。
    その影響もあってか、山岳小説も大好き。
    しかし本書の中に出てくるような体験をして、
    果たして再度山に登りたいと思えるだろうか…。

    そこまで恐怖を感じる内容な訳ではないのですが、
    山の不思議さと相まって恐ろしさ倍増。

    山小屋、私絶対泊まれないな。

  • 目次のところに簡単な日本アルプスの地図が載ったが「これはいらないのでは?」と思った。イニシャルでぼかしている話もあるし、載っていない山もある。
    個人的にはミステリーではないのだから位置関係や距離感はぼんやりしている方がいいのではないかと思う。分かる人はイニシャルだけでもすぐに気付くし、イメージが湧かない人には実名と詳細な地図でも実像は伝わらない。

    中身の話は相変わらず面白い。
    しんみりくる話もあるが、前作よりややホラー寄りになったのではないかと思った。前作は心がほんわかする話がもっとあった気がするが、今作は連れて行かれる(引っ張られる)怖さのある話が増えたように感じた。中立(=不思議なだけ)の話も減って、害意や敵意を感じる事象が登場する話が多く、悪い意味で普通の怪談集になってきた感じがする。
    山ならではの「ただ不思議な現象に遭遇した」話が多くても良い気がする。
    また、山や自然の描写は変わらず上手く、どの話にも含まれているので、その点はこのシリーズの特徴として良いと思う。本作は山小屋の描写も多くあってそれも良い。

  • 山は好きだが根性と体力と技術がないので、登山は学生の頃の強制登山くらいしか体験がないが、
    相変わらず文章を読むだけで山岳の風景がありありと目に浮かぶ。
    山の厳しさと美しさ。その爽快さと剣呑さ。
    そして今回も、柔らかい気持ちになる話と怖気に鳥肌が立つ話が盛り込まれている。
    手を差し伸ばされて救ってもらえるのならまだすも誘い込まれてあの世に連れて行かれるのだけは遭遇したくもない(泣)

  • 誰がしていたかはさておき、出歯亀はあかん。

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著者プロフィール

1958年、東京都生まれ。ウェブサイト「北アルプスの風」を主宰。山登りと酒と煙草を愛する。99年、くも膜下出血を発症するも奇跡的に回復する。その後、サイト内にて怪談作品を発表。2004年、『幽』第二号から連載の「山の霊異記」でデビューする。08年に怪談集『山の霊異記 赤いヤッケの男』を刊行。怪談語りにも長けており、さまざまなメディア(怪談TV番組、『R25』、『ほんとにあった怖い話』など)で山の怪談の第一人者として取り上げられるなど活動の場を広げている。

「2020年 『山の霊異記 ケルンは語らず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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