メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057407

作品紹介・あらすじ

柳町北署の新人刑事・牧野ひよりは、念願かなって刑事になったものの、仕事はお茶汲みやコピー取りばかり。

そんなある日、所轄内で殺人がネットで生中継されるという事件が発生。
どうやら四年前に起きた事件の模倣犯らしい。
ひよりは上司の刑事から、四年前の事件を担当していた元刑事・夏目惣一郎の話を聞いてこいと命じられる。

メモの住所を頼りに辿り着いたのは、蔦で覆われた大きな三角屋根の古びた洋館だった。
その門前で掃き掃除をする惣一郎に声をかけるが、惣一郎は「断る」の一点張り。
すると謎の老人が現れ、「まあお入り。ちょうどお茶の時間だ」と告げて洋館にひよりを招き入れた。
そこはなんと、退職刑事専用のシェアハウス<メゾン・ド・ポリス>だった!

元熱血刑事、元科学捜査のプロ、元警視庁幹部、元事務員。

老眼、腰痛、高血圧だが、腕は一流のくせ者おじさんたちと事件を追うと、思いもよらぬ真相に辿り着き――。

感想・レビュー・書評

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  • 退職刑事のユーモアミステリーですね。
    警視庁柳町北暑の新人牧野ひより巡査は、暗礁に乗り上げた事件を解決すべく、捜査課長からあるところに相談に行くように命令される。
    訪ね先は、なんと元警察官たちが住むシェアハウス。
    五人の腕利きの癖のある元警察官に翻弄されながらも事件を次々と解決していく。五人も面白くなってきて事件を要求するようになる。
    五話の短篇連作。
    ひよりとくせ者おじさん軍団、それぞれの過去も物語の骨格となって物語が膨らんでいく。そして、最後の物語で過去の謎が明らかに~!
    ぐいぐい引っ張っていく展開に、加藤さんの筆圧を感じますね。ユーモアが最高です。
    シリーズになっているので、読んでみたいです。

  • 意外性はないけど面白いと思いました。
    アットホームな感じですね。
    気軽に読めます。
    時間に余裕がある時に読むのが丁度いいと思いますね。

  • 「テレビデビュー、おめでとう!ひよこさん」
    「ありがとう!てか、テレビ出ているのは、私じゃなくて、高畑充希さんですから。それに、私、ひよこじゃなくて、ひよりです!」
    「そうそう、牧野ひよりさん。ドラマがとても面白かったんで、つい原作も買っちゃたよ」
    「そうそう、高畑充希さん、綺麗で上手いですよね。じゃなくて、貴方だれなんです?」
    「ただの読者だけど。それよりも、まだドラマは第五話が始まる直前(1月31日)なんだけど、このシリーズ一巻目はどうやらそこまでが描かれているようだね」
    「私のお父さんの失踪の秘密が分かって、夏目惣一郎さんの未解決事件にも区切りがついて、このまま私もフェイドアウトしちゃうのかと思いましたよ」
    「最近はドラマも5話あたりで、第1部終了、っていう構成が増えているからね。このドラマ、1話完結方式の刑事もので、退職刑事たちと新米女性刑事が協力して事件を解決するという目新しさもさることながら、原作と見比べることで、脚本の上手さや、プロデューサーの手腕も分かるという面白い作りになっているんだ」
    「そんな説は初めて聞きました」
    「元鑑識課の藤堂さんが言っていたろ。『謎を考えるとドーパミンという物資が分泌される』って。だから私は、小説で既に明らかにされた謎を追うよりも、その裏に隠された謎を解く方が好きなんだよ」
    「それはそうと、早くその『作り』とやらを言ってください。まるで、シェアハウスのおじさんみたいに勿体付けるんですね」
    「この文庫本は、最後の3話が書き下ろしだというところに謎を解くカギがあるんだよ。それに発行は去年の1月だ。ということは、テレビドラマ化が決まったから急遽話を書き継いだというのが正しいだろうね。ということは、脚本家は約半年かけて、全話を書いただろうし、ドラマ制作部は半年かけて準備して来たことになる。まあ、テレビドラマとしては準備期間があった方だろう」
    「それがどうしたんですか?」
    「原作の中の、かなりテレビ向けに狙っていると思われる、ひよりお気に入りのバーでのエピソードがそっくり抜けている。ここで、原作者は『肩透かし』を食っている」
    「そうなんですよ!草介さんが出てこないんですよ。毎回、方言が変わりながら出てくる、ナナはどうでもいいんですけど」
    「その代わり、藤堂さんの元奥さんを準レギュラーで出したり、酒屋のスパイのお兄さんも新キャラとして出てくる。第2部で活躍するのかもしれない。ともかくちょこちょこ変えているんだ」
    「第1話なんか、犯人がごろっと変わっていたし、第3話は犯人の職業が変わっていたいたり、3話、4話共に原作には出てこない殺人事件を付け足している」
    「原作で詳しく描いている部分はさらっと流して、いろんな所を膨らましている。それが俳優の力演もあって、活きているように思える。文字で読ます原作と、1時間でメリハリつけて映像で見させるテレビドラマとの違いがよくわかるんだ。脚本家や制作部の思惑、いや努力が見えるようだよ」
    「そういうことなのね。それで、私の恋はどうなるのかしら?」
    「えっ⁈自分の倍以上生きている52歳の夏目さんとの恋は有り得ないじゃなかったの?」
    「だって、惣一郎さんを西島秀俊さんが演るなんて、聞いていなかったから‥」
    「あのね‥」
    2019年1月31日記入

  • 良くも悪くも加藤さんらしい作品。
    新人女性刑事と、退職した元警察官たちとが組んで様々な事件を解決する。
    連作短編集なので、軽快に読める。加藤さんらしいクスグリもちょこちょこある。
    ただ印象には残らない。
    続編がありそうな終わり方だが、出たら読むかと聞かれたら…読まなくても良いかも。

  • シェアハウスの背景がもっと色々と絡んでくるかと期待していたものの、シェアハウスの設定でなくともいけそうで、もう一声!といった感じだったかな。
    警察が手を焼いている事件をサクサクッと解決しちゃう感じは、退職した刑事たちの経験からくるものなのかもしれんけど、警察で解決出来そうな気がするなぁーという感覚も抜けきれず。

  • 警察を退職して、シェアハウスで共同生活をしている5人のおじさんたちと、刑事課に配属されて3か月の牧野ひより。
    ドラマのノベライズじゃないかと思うほど、目の前に映像が浮かんでくる。
    おじさんたちのキャラが非常に立っていて、ぶれない。

    シェアハウスにいるのだから、皆、わけあって独りなのだ。
    一人だけ、定年退職ではなくちょっと若くて(といっても52歳)更にわけありそうな夏目惣一郎。
    そして、ひよりにも“わけ”はある。

    リタイア組おじさんたちと、ひよっこの、現場で活躍したい、という情熱がどんどんシンクロして高まって行く(いく?)物語!
    お話の芯にあるのは、「守りたい」という気持ち。
    容疑者たちにもそれは当てはまる。
    章ごとに、それぞれのおじさんの“お当番回”になっている作りも良い。
    ドラマ化されたらいいなあ…
    おじさんキャストを妄想します!
    続編にも期待したい!

    第一話 新人女子刑事(デカ)VS.くせ者おじさん軍団
    第二話 犯罪ウィルス!?連続暴行事件の謎
    第三話 科学捜査が迫る密室OL自殺の真相
    第四話 ペンキ事件と犯行声明文の秘密
    第五話 重なり合う過去 さらばおじさん軍団!?

  • 退職した警察官ばかりが住むシェアハウス、
    という設定だけでもう面白そう(^ ^
    もちろん「無理はある」が(^ ^;

    そこに住むおっさん元警官たちと、
    新米女刑事が色々な事件を解決していく。
    起きる事件はもちろん現代的な訳だが、
    ストーリー運びの印象は「遠山の金さん」っぽい(^ ^;
    いや、お白州で桜吹雪みたいなシーンはないが、
    何というか「時代劇っぽい定型感」があって(^ ^

    徐々に明かされるバックストーリーと言い、
    もの凄く中途半端なエンディングと言い、
    「続編書く気満々」って感じ(^ ^

    ツッコミどころは多々あれど、
    時代劇と思って鷹揚に楽しむのが正解(^ ^
    「ロマンス」の入り込む余地は...あるのか!?(^ ^;

  • 退職した元警察官のオジさん達が暮らすシェアハウス、メゾン・ド・ポリスを舞台に、オジさん達が事件を解決していく短編集。
    テンポがいいストーリー展開や会話が心地よく楽しく読めました。
    バーに現れるナナさんだったり、高平さんのアームカバーの毎話のお約束感もいい味を出しています。
    残り少ないページでどう回収するのやらとドキドキしましたが、読み終えた頃にはオジさん達への愛情が湧いてきており、名残惜しいったらありませんでした。

  • 新米刑事・ひよりと退職した元刑事のおじさまたちとが謎を解く連作ミステリ。

    随分前にドラマ化されていたのを先日観る機会があって、原作小説も初めて読んでみた。
    ドラマを先に観てからだったため、ドラマと小説とで扱われている事件がまったく違うことにびっくりした。どちらも面白いが、ドラマでは原作小説の事件がパーツが一緒なだけで展開や真犯人などが異なっていたので。

    原作小説は、ライトな感じもしてさくさくと読めた。最後の章で残った謎。続きも気になる。

  • 気軽に読めるライトな作品。
    ミステリーとしての面白さよりは、キャラクターを押し出した内容でした。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。2003年「インディゴの夜」で第10回創元推理短編賞を受賞しデビュー。同作は書籍化され大人気シリーズとなり、ドラマ化、舞台化、コミック化された。他著に「モップガール」シリーズ、「アー・ユー・テディ?」シリーズ、『チャンネルファンタズモ』『ご依頼は真昼のバーへBarホロウの事件帳』『風が吹けば』『桜田門のさくらちゃん』『学スクール園王キングダム国』『ゴールデンコンビ 婚活刑事& シンママ警察通訳人』「メゾン・ド・ポリス」シリーズ、『警視庁レッドリスト』などがある。

「2023年 『警視庁アウトサイダー The second act 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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