イコ トラベリング 1948-

  • KADOKAWA
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041072110

作品紹介・あらすじ

1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【~ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。「現在進行形、今を進むという事!」急展開で変わっていく価値観に戸惑いながら、イコは必死に時代をつかもうとする。そして「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになる。でもまだ、日本からの海外渡航が許されない時代。手段も理由も見つからないまま大学を卒業したイコに、ある日大きなチャンスが巡ってくる……。「魔女の宅急便」の著者・世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長をエスプリとユーモア溢れるタッチで描く著者の原点ともいうべき作品。87歳、角野栄子は今も現在進行形だ!

感想・レビュー・書評

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  • 角野栄子さんの中学生の頃から大学卒業後までの自伝的小説。
    戦時中の抑圧された日々を経て戦後の自由な日々の中、勢いがあってたくさん興味はあるものの何をしたいか見つからない、思春期特有の焦燥感が伝わってくる。
    現在進行形で生きたい、何かしたいと思っているのに、まだ手をつけてないままだったり、好きなことだけ選んで苦手なことは諦めたりする姿に親近感がわいた。
    出会った人達との関わりや、自分にできることに一生懸命に取り組むうち、自分の道を見つけていく等身大の様子が良かった。
    戦後の日本の様子が描かれているところも面白かった。

    イコみたいに、夢を語って行動して、自分の道を見つけたい。現在進行形で生きていきたい。
    今からでも大丈夫、と背中を押してくれる本。

  • うわあ好きな作家さんがコラボしとる〜!
    胸熱。
    好きな物語とイラストのコラボとか。最高やん、やんやんマチ子(あ、関係ないけど、あの羊ちゃんアニメ地味に大好き。笑
    ボーボーやんおもろかったなあ
    読もう近々。

  • 913-K
    リクエスト図書展示コーナー

  • 2022/9/28

  • 戦後、外国に憧れる普通の女の子の移ろいを描いた作品。自分が何をしたいのかわからない、モヤモヤしていて、自分のお役目を目つけられないままのらりくらりと生きていく姿にすごく共感できる。
    モヤモヤを晴らす果てない旅、という意味では「耳をすませば」に少し似ているかなぁ。

    戦後の鬱々とした感じや、社会主義を連呼する教師がいたり、外国には簡単には行けなかったり、女子が大学を目指すのも数名という現代とはかなりギャップのある世界観で面白い。

    演劇をやって人生を謳歌するおチヨさんや、留学の夢も叶えた優秀なトンちゃん、高校を1度辞めてから大学へ挑戦する前川さんなど、魅力的で輝いていて、我々の何倍も考えてがむしゃらに進んでいたキャラクターたちがすごく良かった。

  • 話題になったからか品薄が続いていたけれど、2/10に再販がかかったようで楽天ブックスでは普通に変えました◎

    海外に行くお話かと思っていたけれど、イコさんの中学〜大学生までの日本でのお話。戦後日本を舞台にしたものと思えないくらい、いい意味で今風で読みやすいお話だった。
    数学がだめだから大学受験は3科目で受けられる早稲田に....ってそんな平成の学生と同じことを戦後の高校生たちも考えていたのね。

  • 角野栄子さんの原点というか、こうして角野栄子さんとその作品が出来上がった、という話。好奇心が栄子さんを作ったのかもしれない。

  • 本書より引用

    「行ってしまいましたねえ、嬉しいことなのに、やっぱりさびしいわ……。さびしいけど……行くって事は、帰ってくるってことよね」

    (歩くのよ。進むのよ。出会うのよ。見るのよ。わくわくするのよ。十三歳の時、『現在進行形』そう決めたんでしょ)

    「日本は美しい。それはなくなってない、と世界の人に知ってもらいたい。じゃないと戦死した友人たちに申し訳ない。美しいものを描かないとね。敗けたんですから」

    「私には自由がある。一人だから歩ける自由が」


    やりたいことが見つかったり、それがやっぱり違ったり
    何か見えそうで見えなかったり
    今の私にそっくりで、読み進めていくうちに
    私にも大切な何かがあったことを思い出しました。
    角野栄子先生ありがとうございました!

  • 4.1

  • すごく好きだった。
    どことなく自分に見に覚えのある感情が描かれているからかもな。

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著者プロフィール

1935(昭和10)年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、出版社に勤務する。25歳の時からブラジルに2年間滞在し、その体験をもとにしたノンフィクション『ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて』で作家デビュー。著書に『ズボン船長さんの話』『小さなおばけ』シリーズ、『魔女の宅急便』『ぼくびょうきじゃないよ』『おだんごスープ』『ラストラン』など数多くの絵本・児童文学作品がある。産経児童出版文化賞大賞、路傍の石文学賞、旺文社児童文学賞、野間児童文学賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞など受賞作品多数。

「2017年 『いろはにほほほ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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