宮廷神官物語 四 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041074121

作品紹介・あらすじ

もう一人の、「奇蹟の眼を持つ少年」が現れた! 第二の慧眼児登場かと沸き立つ人々とは対照的に、仲間だと喜ぶ「元祖・奇蹟の少年」天青。けれど「本物はどちらか」を選ぶ試験が行われることになり……。

感想・レビュー・書評

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  • 巷にあふれる偽の慧眼児を一掃するため、一計を案じた藍晶王子。
    ところが、真実を見抜いてしまう少年が現れて……。

    シリーズ第4作。

    ついに1話で完結せず。
    話のスケールが、ますます大きくなる。

    真の〈慧眼児〉を決めるため、勝負する天青と羽汀。
    敵同士の立場でありながら、相手を思いやってしまうそのやさしさに、ぐっとくる。

    慧眼児が嘘を見抜けばそれで終わり、だけではない、シリーズの魅力がよく出た話。
    それぞれの思い、葛藤、思惑が入り乱れる人間模様に、引きこまれた。

    互いを思いやる、天青と鶏冠。
    苦境における、天青の真っすぐさと、鶏冠のポーカーフェイスぶりに、泣けた。

    続きが大いに気になる終わり方。

  • 人気のアジアンファンタジー「宮廷神官物語」シリーズ4作目。
    舞台は、麗虎国。

    優秀だが欲もやる気もあまりなかった若き神官・瑛鶏冠と、鶏冠が見出した奇跡の眼を持つ少年・天青。
    それに、辺地の村にいた頃から天青の兄貴分だった曹鉄。
    友情で結ばれた3人だが、それぞれに試練が降りかかります。

    真実を見抜く力を持った慧眼児については公表されていなかったが、奇跡を起こしたという評判は広まり、慧眼児を名乗るものが相次いで街なかに現れる。
    藍晶王子は騒動を収めようと、その者らを試すことにした。
    中でも、真実の慧眼児ではないかと評判になった少年・羽汀と、天青は競うことになってしまう。
    羽汀は知るはずのないことを知っていた‥
    暴く気になれない天青。

    一方、曹鉄は祖父がかって都にいた身でした。
    自らの出自を探り始めたが‥
    あちこちでいかにも怪しい動きもあり、誰がどんな動機で誰と組んでいるのか?
    先が知りたくなる展開。
    しかし、櫻嵐姫は颯爽としてますねえ。

    とても美しい表紙と人物紹介のイラストに導かれるまま世界に入れる、感じのいいシリーズです。
    衣装などは昔の朝鮮半島風ですが、国の設定は色々と違います。
    朝鮮王朝に神官いないし(笑)
    2018年発行の本ですが、それ以前にビーンズ文庫で発行されてます。

  • 新展開。
    物語が更にすすんで、ますます先が気になる。

  • これまでの3巻は、起承転結の「起」であったのだなぁと思う1冊でした。

    文庫本発刊と同時に読んでる方には、残り何冊あるかわからない状態で読むわけなので、これまでの3冊での話が軽く感じたかもしれないけど、宮廷神官物語が全12巻あるということを知りながら読むと、これまでの3巻が起承転結の「起」として軽い内容であっても今後の「承転結」と続いていくことの期待感で、軽い内容でも納得のものとして読めました。

    そんな「承」の一冊目となる第4巻です。

    相変わらず1冊はページ数としては薄いですが、これまで構築してきた「起」の3巻を思うと、このページ数の薄さにも重厚さを感じます。
    まだ、「承」は始まったばかり!
    1冊1冊の読み心地はライトでも、全12巻での起承転結の物語だと思うと、重なりで深い味わいになるのだなぁと期待度高し。


    ここからは振り返りかつネタバレ。

    読者側としては、3巻の最後で怪しい人物のセリフだけの登場があったので、女性の口調だし、推察すると賢母だろうという状態で読み始める4巻。

    賢母の怪しさ、どんどん増していくんですよね。
    新しく慧眼児(だろう)として現れた羽汀が、曹鉄の両親が火事で死んだことを感じ取るシーン。そのことはその時点でごく限られた人(賢母含む)しか知らなかったこととか。

    そんなん、賢母がその情報流してるじゃん!と、読んでる側は思うわけです。
    が、それまでの間に羽汀は、側室・蝶衣と景羅の息がかかっている者だと判明しています。
    果たして、蝶衣・景羅と賢母は同じ側の人間であるのかどうか?
    どうもここが仲間であるとは考えにくい。

    蝶衣や景羅が画策するのは分かります。
    『息子を王にする』『そして権力を握る』という分かりやすい目的のため。

    しかし賢母が藍昌王子と敵対する形になるのは腑に落ちない。
    自分の息子は王になっているわけだし、実権を握らずとももう権力は握る立場にあり、今のままで十分死ぬまで安寧だと確定している人なんですよね。
    じゃあ、何も危ない橋を渡らずとも良いわけで。
    じゃあ、藍昌王子や鶏冠・天青と対立しなくても良くない?てことは、黒幕じゃないんじゃない?
    と考えられるわけです。
    4巻目にしてここまで怪しい空気出してくるのは、全12巻の物語にしては早すぎるしね。

    そんな風に、賢母が藍昌王子にとっての敵になるとは考えられないわーと感想を持つ4巻中盤ですが、
    後半には牢に一度捕らえられた曹鉄が、処分を免れて、賢母の元で軟禁の対応になります。
    そこでの賢母の様子からするに、やっぱり中盤までで感じた怪しさというのは、物語を楽しむためだけのものだったんだよね!
    賢母は敵ではないよね!
    とほっと一安心。

    このまま賢母敵説で進めていくには、配役として適切じゃないでしょ〜と思う中盤だから、ここでちゃんと「敵じゃないですよ」と回収してくれたことは、すっきりと4巻読み終えられて、進め方のバランスがいいわ榎田ユウリ!と拍手を送りたい気分に。

    この後で、やっぱり賢母が敵だったとなったら、更なる愕然とした気持ちを味わうことになるので、それはそれで物語としてはよし。(でも気持ちとしては、賢母はいい人であってほしい)


    賢母についての流れを語ってしまったけど、
    後半からはどんどん罠に嵌められていくような暗い流れへ。
    羽汀が真なる慧眼児であると主張され、また認められてしまうということは、羽汀が出てきた時点でそうなるだろうと考えていた流れ。
    必然ではあるけど、この小気味良いほど罠に嵌められていく流れに身を置く感覚というものを味わうのは、どこまで深く落ちていかなければならないのかという不安さえも生じてきます。

    その暗い不安の気持ちのまま、天青は一度宮中を去らなければならなず、「これからどうなるんだ」というハラハラと「天青ならばどうにかなる」という気持ちとないまぜに終わりに向かいます。
    そんなラスト、都へ向かう時にお世話になったあの一座と再度出会うという演出、最高すぎるでしょう。

    起承転結の「承」たる1冊にふさわしい1冊だったな〜。

  • 騙し騙されの宮廷で純粋な心を持つ天青。とても良いですね!!!!! 曹鉄のバカヤローがやらかしたり苑遊さんがいいところ持ってったり鶏冠が美しかったり(←)、いろんな感情が入り乱れる巻でした。 もう次は5巻なのか…はやいなぁ。

  • 鶏冠、曹鉄、天青 それぞれがお互いを思い、天青の心の成長が一番強く感じられた。鶏冠が天青に感謝していると言った後、「苦を知る者だけが…」「空腹を知らぬ者は…挫折を知らぬ者は…」のくだりは個人的に印象深かった。

  • 慧眼児の存在をベールに包んでいるものの、城下では慧眼児の奇跡の眼の話題で持ちきり。そうなるとやはり出没するのは偽者である。
    雨後の筍のように巷に溢れたニセ者に頭を悩ませた藍晶王子の苦肉の策(本人は面白がっていたけれど)で、巷に溢れた能力者の力の見極めをすることになった。
    すべてニセ者と思われたその中に不思議な力を持つ少年が現れたことから、騒動は始まる。

    曹鉄の出自の謎。
    出奔させられた天青と、体よく宮城を抜け出しちゃった櫻嵐姫の旅路はいかに。
    先が気になります。

  • 面白かったー。もちろんビーンズ文庫版は読んでるんだけど、何度読んでも面白い。そして、めっちゃいいところで終わる。早く続きが読みたい。

  • 天青が追放されるとなった時はハラハラした。
    帰郷といえど、いつ戻れるかわからないのは辛い。早く続きを買いに行こうと思う。

  • 再読。

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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